母を失うこと

5件の記録
- Sanae@sanaemizushima2025年10月8日読み終わった今までちょっとハードルが高いんじゃないかなと思って読むのを迷っていたけれど、読み始めると夢中になり読み終わった。 著者の自叙伝的な内容、ガーナでの生活、アフリカの学者たちと巡ったツアー、そういったエピソードから奴隷制の歴史が語られていく。 歴史として残っている内容は、支配者から語られるものであるため、その内容から推測し、想像し、奴隷となった被害者の心情を描いていく。それが読んでいてとても辛い。 支配者というのは、ヨーロッパから来た白人だけではなく、奴隷狩りを行った現地の支配者、貿易商人も含んでいる。 支配者やその周辺者だった子孫であるアフリカに住む人々と奴隷の子孫であるアフリカ系アメリカ人、両者に理解し合えないものがあることを知る。 今は旅行であるにしても“帰還”するアメリカ人である人々はアフリカ人から見れば豊かさを享受している成功者なのだ。 アメリカ人の抱える悩みと、アフリカ人の抱える悩みの溝は計り知れないほど深い。 漠然と、奴隷貿易という言葉は知っているにしても、良い具体的にどのように行われたのかよく知らなかった。知る方法はいろいろあると思うが、この著書を通じて知れたことは本当によかったと思う。