人間臨終図巻(1)新装版

人間臨終図巻(1)新装版
人間臨終図巻(1)新装版
山田風太郎
徳間書店
2011年11月1日
6件の記録
  • 読書猫
    読書猫
    @YYG_3
    2025年5月16日
    (本文抜粋) "北村透谷 二十六歳没 妻の美耶子からの知らせで、友人の島崎春樹(藤村)と戸川明三(秋骨)が駆けつけると、透谷の屍骸は、彼らのよく知っている小さな家の暗い部屋に横たえられ、三つになる女の子がそばで遊んでいて、「お父さん、ねんね」といった。" "尾崎紅葉 三十六歳没 それから彼は医者に、モルヒネを大量に注射して殺してくれといい、医者がことわると、 「どうせ命がないものが、悶え苦しんで二時間や三時間生きながらえて何になるものか。そんなことをいうのは、死んだことがないからだ。嘘だと思うなら死んでみろ」 と、昂奮して無茶なことをいった。" "パスカル 三十九歳没 かつて『パンセ』で、 「人間は、死と無知について不可抗なので、幸福になるために、それらについては考えないことにした」 「それまでの場面がどんなに美しくても、最後の幕は血にまみれている。最後に、頭上からばらばらと土をかけられて、それで永遠におさらばとなる」 と書いたパスカルだが──。それでも「聖体拝受」のために主任司祭がやって来たとき、彼はさけんだ。 「願わくは、神、永遠にわれを見捨て給わざらんことを!」" "太宰治 三十九歳没 美知子夫人宛の遺書には、 「……永居するだけ、皆をくるしめ、こちらもくるしく、かんにんして被下度(くだされたし)。子供は凡人にてもお叱りなさるまじく。(中略)あなたを、きらいになったから、死ぬのでは無いのです。小説を書くのが、いやになったからです。みんな、いやしい、欲張りばかり。井伏さんは悪人です」 とあった。" "カフカ 四十一歳没 死後、彼の机のひきだしから、唯一の親友ブロートにあてた紙片が発見された。それには、 「僕の最期の願いだ。僕の遺稿の全部、日記、原稿、手紙のたぐいは、一つ残らず、中味を読まずに焼却してくれたまえ」「僕の書いたものの中で、まず一応認めてもいいのは、すでに書物になった『死刑宣告』『火夫』『変身』『流刑地にて』『村医者』『断食行者』だけである。それだけを一応認めるというのは、それが新しく重版され、明日の人々に読まれたいと願うのでは決してない。そんなものがすっかり無くなってしまえばいちばんありがたいのだ。ただ、とにかく一度出版されたものだから、それを持っていたいという人々が所持しているのまで、禁止しようとはしないだけのことだ」 と、書いてあった。" "チェホフ 四十四歳没 トルストイは、彼の信念たる魂の不死を説いた。黙って聞いていたチェホフは、やがてポツリといった。 「そういう不死でしたら、私には不要です」 哀愁と人間愛にみちた数々の名作を書いた温雅なチェホフは、神を信じていなかった。"
  • Cota
    Cota
    @Cota-CAT4rd
    2025年5月16日
  • ア
    @zeight_6
    2025年3月9日
    『鬱の本』より。
  • adumlsya
    @adumlsya
    2025年3月8日
  • 安寧
    安寧
    @anne_____i
    2025年3月5日
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