憲法という希望

憲法という希望
憲法という希望
国谷裕子
木村草太
講談社
2016年9月20日
6件の記録
  • 句読点
    句読点
    @books_qutoten
    2026年8月14日
    武田砂鉄ラジオマガジンなどでお馴染みの憲法学者、木村草太さんの講演録を元にした憲法入門。とてもわかりやすくて勉強になった。憲法についてはいろいろ本読んで勉強したつもりだったけど、この本で初めて得られた視点も多くて、また一段階深く憲法のことを考えられるようになったと思う。 10年前に出されている本だけど、10年前もそうか、安倍政権下でいろいろと不穏な動きがずっと続いていたんだな、もしかしたら今の高市政権以上に危なかったのかもな、とも思う。今も相当だと思うけど。だから尚更今読んでもいろいろ響くものがあった。 全部で4章構成になっており、第1章で、憲法とはそもそもどういう存在か、どういう性質のものかの大枠が説明される。続く第2章、3章では夫婦別姓の問題、辺野古基地移設の問題を例に挙げながら、憲法をどのように使いこなしていけばよいのかを紹介する。そして4章でクローズアップ現代などの司会として活躍した国谷裕子さんをインタビュアーに、それまでの議論のおさらいと補足事項が対談の形で示される。 まずそもそも憲法とはどういう存在か。木村さんは国家権力がよくやりがちな失敗を再び繰り返させないためのリストであるという。その三大失敗は「無謀な戦争」「人権侵害」「権力の独裁」。だから憲法ではこれら3つの失敗に対処するための「軍事統制」「人権保障」「権力分立」が憲法の柱になる。 第二章では、夫婦別姓の問題が中心だが、むしろここでは訴訟をするときに、イデオロギーで頭が固まってしまうとうまくいかないので、冷静に落ち着いて分析して、自分のどのような権利が制約されているのか、誰と誰の間に区別があるのかをしっかりと見定めることで制度の合理性について問う必要があると述べられる。 第3章もとてもおもしろかった。辺野古基地建設はなんらの法的根拠がなく、閣議決定のみに基づいているが、それは地方自治を定めた憲法92条に反するのではないか、という視点から考えている。そして92条とともに重要になるのが住民投票を定めた95条。 当時の安倍政権にこの点を問いただすと、「安全保障や基地建設に関する問題は国が考えるべきことで地方自治体の仕事ではないから、地方がいちいち口をだすな」という内容の答えが返ってきたという。「法律もなにもなしに、強権的な手法で、閣議決定のみで基地を作っても良い。地方自治体の権限はすべて排除されてよい」と考えていることが明るみになる。本当に恐ろしいことだと思った。そして2026年現在、辺野古基地建設は止まることなく続けられている。 「私たちにとって憲法とは、「人権が尊重され、よき統治がなされる社会を作ろう」という希望を実現するために存在します。そうした希望は、人間が人間らしく生きていくために不可欠なものです。決して贅沢な望み、わがままな願いではありません。  しかし、権力者に憲法を守らせるのは簡単ではありません。権力の座に就けば、自分たちの邪魔をする人を排除したくなるものです。権力者が自ら進んで人権を保証し、権力分立を進めていくなどということを期待できないことは、歴史が証明しています。  憲法を守らせるのは、究極的には私たち国民です。私たち一人ひとりが、権力者に憲法を守るように求めていかねばならないのです。もちろん、訴訟で判断を示すのは裁判所ですし、政府の行動に関する憲法チェックをしているのは内閣法制局です。しかし、究極的には国民一人ひとりが憲法を理解し、権力者が不当なことをしている時に、「それは許されない」という声を上げていかなければ、裁判所だって内閣法制局だって、権力者の側に引き寄せられていってしまいます。」p.108 日本の教育では、道徳教育よりも、法学教育が必要だとする木村さん 「道徳はもちろん大切です。しかし道徳は、究極的には人によって考え方が分かれてしまうものです。個人が一人ひとり真摯に向き合って、どうするのがよいのだろうかと考えていくべきものです。それを教育の現場で行おうとしても、教師が望むよい子像を押し付けることになりかねません。  これに対して法律は、そうした道徳も含めた価値観が人によって分かれてしまうところで、最低限すべての人が守らなければならないラインがどこにあるのかを、国民の代表である国会が議論して決めたものです。ですから、まずはそれをしっかりと理解すべきだろう、というのが私の考えです。」p.154
  • はな
    はな
    @hana-hitsuji05
    2026年8月13日
  • vien7a
    @vien7a
    2026年7月29日
  • 『憲法を守らせるのは、究極的には私たち国民です。私たち一人ひとりが、権力者に憲法を守るように求めていかねばならないのです。もちろん、訴訟で判断を示すのは裁判所ですし、政府の行動に関する憲法チェックをしているのは内閣法制局です。しかし、究極的には国民一人ひとりが憲法を理解し、権力者が不当なことをしている時に、「それは許されない」という声を上げていかなければ、裁判所だって内閣法制局だって、権力者の側に引き寄せられていってしまいます』
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