単純な脳、複雑な「私」
10件の記録
トラ@Toreads12342026年6月11日脳科学者の、高校での特別講義。一部難しいところもあったけど、わかりやすく面白い。脳に関する蘊蓄がたくさん。脳の仕組みの精緻さといい加減さを感じられる。自分の理解とズレがあるところがかなりあって、これこそ読書(知識の獲得)の醍醐味。 HPでアニメーション公開していたり、パラパラ漫画が仕込まれていたり、ギミックも凝っていていい。 脳は騙せる。騙せないところもある。騙せば一時的には上手くいくけど、あまりに乖離が酷いと心身のバランスを崩してしまうこともあると思う。この匙加減は難しそう。 自己組織化とか創発とかが理解しきれなかったから、また読む。 「とくに実験科学が証明できることは、『相関関係』だけだということです。因果関係は絶対に証明できません。(中略) つまり脳がそう解釈しているだけ。因果とは脳の錯覚な訳です。」(p.28-29) 「全体をひとまとめに認識するやり方のことを『ゲシュタルト群化原理』と呼びます。」(p.43) 「もう一歩踏み込んで言えば、『正しい』というのは、『それが自分にとって心地いい』かどうかなんだよね。その方が精神的には安定するから、それを無意識に求めちゃう。つまり、『好き』か『嫌い』かだ。自分が心地よく感じて好感を覚えるものに対して、僕らは『正しい』と判断しやすい。」(p.130)
一世@seedo812025年3月20日読み終わった読了。「心」はいかにして生み出されるのか?この問いを脳科学の視点から探求するシリーズ3部作のうちの真ん中に位置する一冊。 他2作同様に著者の池谷裕二氏が、高校生と対話する形式で、意識や認識が「思い込み」や「脳の錯覚」に過ぎないことを論理的に解き明かしていきます。 「自分が感じている現実は、単なる脳のシミュレーションに過ぎないのではないか?」 という理屈をしっかりと池谷先生に解説されると、高校生の情操教育に何らかの影響を与えそうで、少し心配になります(苦笑) 生存率に直結する「痛み」という存在を解消するために「なぜそれが起きているのか」を考えられるだけの脳を得たことで、リカージョン(入れ子式・マトリョーシカ式)に様々なことについての謎を悩むようになった人類。 著者の見解によれば、脳科学的な視点からは、こうした思考は単なる妄想に過ぎない とのこと。もしそうならば、「じゃあ、そんなものか」と割り切ってしまえば、心理的ストレスが軽減される効果があるのか? それとも、むしろ余計に悩んでしまうのか? 読みながら考えさせられました。 2008年にマックス・プランク研究所の研究者がfMRIを利用して行なった脳研究で「人は運動実施の7秒前には脳が予測行動を開始している」と言う話があります。この本の中でも「5秒前の世界があったことをどう証明するのか」という「シミュレーション仮説」のような問いがあります。 そうやって悩むことさえ、もしかしたら脳の錯覚なのか・・とまさに思考のリカージョンが起きる内容。単なる脳の機能の話と思いきや、いつの間にか深遠な哲学的問いにまで導かれる、まさに思考の迷宮へと誘われる一冊でした。 ● 単純な脳、複雑な「私」(池谷裕二、2013年、講談社)









