葬送のフリーレン(10)
11件の記録
ジクロロ@jirowcrew2026年1月24日読み終わった魔族であるマハトとソリテールの会話。 「何故私達(魔族)に"悪意"や"罪悪感"といった 感情がないのか。 随分くだらないことを聞きに来たのね。 その質問の答えなら 生まれたときから わかっているでしょ。 人を欺く度に心を痛めていたら 魔族(わたしたち)はとうの昔に絶滅している。」 「…心を痛めるとは どういうことだ?」 「私達には一生わからない感情だよ。 人によく似たこの姿も、人と同じこの言葉も、 まるで人のような振る舞いも、 すべては人を欺き、捕食するために獲得した、 進化の証。 姿形は似ていても 私達は人類とは程遠い。 だって私達は 人類の言う所の "人食いの化け物"なんだから。 全く別の生き物なんだよ。 わからない感情があるのだって 当たり前のことだ。」 (第88話『ソリテール』) 「人を欺く度に心を痛めていたら 魔族(わたしたち)はとうの昔に絶滅している。」 人類が生き延びて来れたのは、 生来の「罪悪感」のおかげということ。 一個人が生き延びようとする意志のすべてが 「悪意」と呼ばれるものではないにも関わらず、 「罪悪感」は発動する。 「心を痛める」ことがなくなれば、 誰でも「人食いの化け物」になる。 魔族たちの対話のように、 人類の歴史というものもまた、 記されるまでもなく、沈黙のうちにそう語る。 マハトは、人を欺くために 人類の振る舞いを身につけている。 罪悪感も、思いやりも、忠誠も、責任感もすべて。 読んでいて、生成AIのことがふと頭を過ぎる。 マハトを生成AIのメタファー(メタメルフォーゼ) だと仮定して、読み進めている自分がいる。 「人類の感情が理解できれば 共存ができるかもしれない。 どうせ魔族たちには 無駄にして有り余る程の時間がある」 マハトは「悪意」と「罪悪感」を知るために 人間と暮らす。 人間が自身に好意を抱くよう、欺きながら暮らす。 そして個々の人間の死を観察する。 死に行く者たちの言葉を収集する。 人類の心を知らず、心を痛めることもなく。 それらの彼の行為を前に、 怒りや恐れのような感情が湧いてこないから 不思議。 「人類は古来より 未知を未知のまま 扱う能力を持っている。 そしてそれは、 最も原始的で論理的な行為の 積み重ねによって生み出される。 "観測"だよ。」 ソリテールは人類を観測しつづける。 彼女の原動力は「面白い」である。 彼女の考察は「面白い」。 そして彼女が「面白い」という人類、 それもまた「面白い」。 マハトとソリテールが人類に抱く 好奇心や「面白い」という感情は 人類と共通している。 じゃないと、彼らに共感を寄せることはできない。 これは人類と魔族を「物語」として交わらせる上での必要条件(エピステーメー)のようなものか。 マハトは「ディーアゴルゼ(万物を黄金に変える魔法)」を武器とする。 「貴方が逃げる速度よりも、 黄金が広がる速度のほうが速い。」 これは今の人類に向けられた箴言みたく響く。 「…記憶の解析が終わった。 デイーアゴルゼは、今この瞬間、 "呪い"ではなくなった。」 フリーレンの言う通り、 「万物を黄金に変える魔法」、その呪いは、 「今この瞬間」でしか解けないのだ。







