行け広野へと

行け広野へと
行け広野へと
服部真里子
本阿弥書店
2014年9月1日
4件の記録
  • 雪
    @12yuki85
    2025年8月14日
  • 巽
    @Tatumi
    2025年6月7日
    三月の真っただ中に落ちてゆく雲雀、あるいは光の溺死 終電ののちのホームに見上げれば月はスケートリンクの匂い なにげなく掴んだ指に冷たくて手すりを夏の骨と思えり 夜の渡河 美しいものの掌が私の耳を塞いでくれる 花曇り 両手に鈴を持たされてそのまま困っているような人 春だねと言えば名前を呼ばれたと思った犬が近寄ってくる 野ざらしで吹きっさらしの肺である戦って勝つために生まれた キング・オブ・キングス 死への歩みでも踵から金の砂をこぼして 冬晴れのひと日をほしいままにするトランペットは冬の権力 ひとごろしの道具のように立っている冬の噴水 冬の恋人 執拗に赤子の性器たしかめる仕草でコーヒースプーンを拭く 感覚はいつも静かだ柿むけば初めてそれが怒りと分かる 封筒のおかあさんへという文字の所在なく身をよじっている夜 感情を問えばわずかにうつむいてこの湖の深さなど言う 櫂を漕ぐ手に手を添えて炎暑から残暑へ君を押しやる力 こときれて真珠をこぼす首飾り春が終わるまで遊んでおいで 酸漿のひとつひとつを指さしてあれはともし火 すべて標的 草原を梳いてやまない風の指あなたが行けと言うなら行こう かっこいい
  • 服部真里子の短歌の魅力を言語化するのはとてもむつかしいのだけれど、あえて言うなら日常の小さな裂け目からもうひとつの日常が眩く射し込んできて軽い眩暈をおぼえる、そんな感じかもしれない #短歌
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