歯車 他二篇

8件の記録
- Autoishk@nunc_stans2025年7月8日読んでる読み終わった「三十歳の彼はいつの間にか或空き地を愛していた。そこには唯苔の生えた上に煉瓦や瓦の欠片などが幾つも散らかっているだけだった。が、それは彼の目にはセザンヌの風景画と変りはなかった。 彼はふと七、八年前の彼の情熱を思い出した。同時にまた彼の七、八年前には色彩を知らなかったのを発見した。」(「或阿呆の一生」より)
- monami@kiroku_library2025年6月23日読み終わった『羅生門』や『蜘蛛の糸』などの大代表作しか読んだことがなく、そのイメージが強かったので、これらの私小説的な作風に驚いた。 解説にて、「遺書を開く時の厳粛な気持」という表現に頷かされるほど、小説的な面白さよりは芥川という「人間」にたいする面白さ(興味深さ)を感じる。 芥川初心者向きでは無かったかもしれないけれど、ここから芥川を読み始めるのもまた一興かもしれない。
- こんめ@conconcocon1900年1月1日かつて読んだ前日たまたま話題に出たので… 芥川の中でも自死直前に書かれた作品が好きで、特に歯車は個人的に一押し。 まさに今自身がどんどん狂っていっているのに、それを冷静に俯瞰で見下ろしている感じがとても良い。 延々とモノクロームな淡白さで進んでいくのに、終盤、妻が声をかけるところで、急に画面に色がつくというか、ずっと冷静な筆致が急に生々しい現実に引き戻されるところが特に良かった。