新版 慶州は母の呼び声

8件の記録
- もぐもぐ羊@sleep_sheep2025年6月8日かつて読んだふと思い出した『戒厳』を読んでて思い出した本。 四方田氏がソウルで知り合った日本人の中に、日帝時代は朝鮮総督府に勤め戦後は引き揚げてから外務省に勤め定年後ソウルに引っ越してきて住みはじめた人物がいた。 おそらく利権がらみでは?と睨んでいるのだけどその人について詳しく書かれていなかったので大して親しくしていなかったのだろう。 森崎和江は朝鮮半島が日本の植民地だった時代に大邱で生まれ育った。 生まれた当時の大邱は日本だったが敗戦後は韓国になる。 顧客は日本が占領支配した朝鮮半島に対する罪悪感と表裏一体の関係になり苦しんだようだった。 彼女の弟はその苦しみから日本に帰国後しばらくして自死してしまった。 日帝時代に朝鮮半島に住んでいた人たちは世代や階級によって記憶はそれぞれ全く異なること、戦後も特に罪の意識を持つことなく生きていけたのが特権階級に属していた人間の方だったのかと思うとその構造にグロテスクさを感じた。 尚、この新版で解説を担当している松井理恵さんは『慶州はわが母の呼び声』の韓国での出版の際に韓国語に翻訳した方で、解説も読みごたえがある。