アレグリアとは仕事はできない
20件の記録
yomitaos@chsy71882026年5月4日読み終わった@ 自宅お仕事小説ってずっと需要があるジャンルだと思うが、労働者視点を貫きつつ、安易な役割設定でキャラ物化させていない小説って、じつはあんまりない。津村記久子作品は、デビューからずっとその路線を貫いていると感じる。そこが好きで、仕事でうまくいかないときや、働き方に悩んだときのために、いつもそばに置いておきたくなる。 会社勤めをしている人で、複合機にイラついたことのない人はいないはず。自分が使うときは面倒くさそうに動くクセに、たまにしか使わないエライ人の前では従順。忙しいときに限ってサボりはじて、カスタマーサービスを呼ぶと元気に動き始める。 「何なんだよお前!」とキレそうになるが、そんな姿を見た同僚は「機械相手に何を本気になってるんだ」と蔑んだ目で見てくる。この分かってもらえない断絶は、仕事を辞める理由に相応しいレベル。 この物語では、複合機ことアレグリアはずっと不遇だ。きちんと修理されることもなく、延命処置を施された上でなし崩しに生きさせられる。それはきっとアレグリアにとっても本意ではない。この機械があることで、本質的には誰も幸せになっていない。 働いているとそんなことばかりだ。この視点は、経営者目線の小説では得られない。ビジネス書からも得られないだろう。社会でもっとも数の多い「労働者」が本当に読まないといけないのは、津村作品なのではないかと思う。
読書猫@bookcat2025年8月3日読み終わった(本文抜粋) “ミノベは道具や機械が好きだった。彼らは、その特徴を研究し、うまく協調するようにしてやると、どんなに態度の悪いものでもそれなりの範囲での力は発揮してくれるようになる。それは、移ろいやすい人間の気持ちなどよりはよほど誠実なもののようにミノベには思える。“ “だからそうしてそれを口にしてくれなかったんですか。 ミノベは、眉間を押さえてうつむいた。先輩の在り方。物事を悪しざまに言わない、焦らない、どんな時も他の社員の利益を優先させる、ということ。その深層にあった、何か呻きのようなものを、ミノベは聴いたような気がした。まだ手遅れではないんですと先輩に伝えたかったが、彼女はその言葉すら拒んでいるように思えた。” (「アレグリアとは仕事はできない」より) “この若い男もおそらく、働くようになるとこういった尊大さはへし折られるのかもしれず、それにはそれの陰気な痛快さもあるが、それを人間全体に当てはめると、本当に人生は劣化していくだけなんだな、とニノミヤは考える。“ (「地下鉄の叙事詩」より)





















