ヴィジュアル版 沖縄文化論

ヴィジュアル版 沖縄文化論
ヴィジュアル版 沖縄文化論
岡本太郎
中央公論新社
2024年4月22日
10件の記録
  • 句読点
    句読点
    @books_qutoten
    2026年5月14日
    今月の読書会の課題本。前に読んだのは随分前でなんとなく断片的に記憶しているだけだったので、ほぼ初めて読んだような感覚。こんなに面白い本だったか。 岡本太郎のあのギョロっとした鋭い目で沖縄のさまざまなものを観察するとこんな風に写り、また考えるのか、ということが生き生きと伝わってくる。太郎の目の内側から沖縄を見ているような。ごく短い滞在期間にその目は驚くほど深いところまで沖縄の底に流れているものを見つけ出す。外間守善さんの解説にも書かれているように、まさに「天才的な直感と直観の確かさ」によるものなんだろう。 琉球諸島は長い歴史のほとんどを抑圧の歴史として歩んできた。特に離島の生活の貧しさ、苦しさはとてつもない。想像もつかない。その貧しさの中で生活の「余剰としての」文化や芸術など生まれる余裕などなかった。しかし「生きるために」人々は苦しみや悲しみ、怒りや希望を歌や踊りに託して伝えてきた。生きるための芸術。毎年のように襲ってくる台風に備えて、「美しくつくろう」などと思って作ったわけではない、珊瑚礁のゴツゴツした石を無造作に積み上げただけの石垣にもそうした「生きるための芸術」の美しさを太郎は発見する。他にも沖縄のどこにでも自生している植物を使って編んだクバ笠やアダン葉の柄杓、籠、ポーチなどにも。漁に使うクリ舟にも太郎の目は吸い寄せられている。いわゆる琉球文化として紹介される琉球王朝の王宮とか紅型とかそういったものにはほとんど関心を寄せずに。それらは洗練された工芸品としての魅力はたしかにあっても、民衆が生きるうえではあまり関係がない余剰の芸術として太郎には捉えられたのだろう。 「ここにはまるで別な天体であるかのような透明な空間の広がりと、キラキラした時間の流れがある。(中略)私の予想しなかった、人間の生き方の肌理。──現代生活のカレンダーによって画一化され、コマ切れにされた時間とその連続。自然に対する畏怖と歓喜をうしなって無感動に測られる空間。そのような生の条件とはまさに異質だ。 そして、それがかえってわれわれ日本人の根源的な生き方にふれてくる。現代日本は己れの実体を見失っている。こういう根源的な時間と空間をどのように現代と対決せしめるか、ということが実は日本文化の最も本質的であり、緊急な課題なのではないだろうか。」p.22「沖縄の肌ざわり」より 民衆の「貧しいながら驚くほどふてぶてしいほどの生命力」を太郎はそうした生活の中に生きる芸術、文化の中に見出した。そしてそれらの奥底にある「何もないということの凄み」を久高島の聖地御嶽で「発見」し、強烈に揺さぶられる。何もないことの清らかさと豊かさに。人間が原初に持っていた神々との直接的な交わりの記憶がそのまま継承されている姿に。 そしてそれは近代化が進み、画一化された時間の中で生きる「本土の一億総小役人」のような顔をした人たちが忘れてしまったものではないかと。 1972年に、沖縄は本土復帰を果たす。しかし岡本太郎は「本土復帰にあたって」という文章の中でそれを本当に喜ぶべきことなのか、と留保する。沖縄が沖縄独自のものとして持っていた豊かな時間感覚、文化を投げ捨て、「本土並み」になどなってはいけないと忠告する。むしろ沖縄復帰の問題は、本土に生きる人間にとってこそ大きな問題とならなければならないともいう。 「本土の一億総小役人みたいな小ぢんまりした顔つきにうんざりした人は、沖縄のような透明で自然なふくらみ、その厚みのある気配にふれて、自分たちが遠い昔に置き忘れてきた、日本人としての本来の生活感を再発見すべきなのである。」 「沖縄の人に強烈に言いたい。沖縄が本土に復帰するなんて、考えるな。本土が沖縄に復帰するのだ、と思うべきである。そのような人間的プライド、文化的自負をもってほしい。」(ともに「本土復帰にあたって」より) 岡本太郎の流れるような文体、次々と視点が移り変わって、話題も移り変わって、ポロッと飛び出る江戸っ子らしい呟きや軽口に笑いながら、また太郎が感じていたであろう沖縄の透明な風が身体の中を吹き抜けていくような感覚を味わいながら楽しく読める一冊。優れた沖縄文化論であり、日本文化論でもある。
  • クバ
    @nrikni_6ook
    2025年12月24日
    ヴィジュアル版なので、想像と現実を一致させながら読む事ができた。(いい値段) 御嶽の事を知りたくて読み始めたが、八重山の歌、沖縄文化を知ることができた。 「神と木と石」の章は面白すぎてドキドキし、一度本を閉じた。
  • 喜多倉
    喜多倉
    @kitakura473
    2025年10月27日
  • ちょな
    @tefunamu
    2025年10月26日
    元々岡本太郎がどのような視点で写真を撮ったか興味があったので購入した。当時の日本と沖縄の状況を考えると、沖縄の独特な生活が新鮮に映ったのではないだろうか。川端康成の「雪国」がヒットしたように、都会に住む人から見て地方は現在より距離が心理的に非常に遠い場所であったと推測できる。そして従来の日本とは違う文化で生活していた人たちに触れて岡本太郎は心底嬉しかったのだろう。近年、岡本太郎が危惧したように沖縄は近代化し、あの時の文化を徐々に失っている。全てが均一化していく社会に岡本太郎は異議を唱えるが、私は別にそれで良いと思う。近代化社会に適応できない人たちは従来の文化に戻って受け継げば良いだけである。
  • 雪山
    雪山
    @ykym_ykym
    2025年10月19日
  • Takahiro Hirano
    Takahiro Hirano
    @taka_164
    2025年9月26日
    芸術は爆発だ、という有名な言葉に岡本太郎のイメージが引っ張られているのか、こんなに端正な文章を書かれる人だったんだなという驚き。とはいえ、やはり、パワーのある文章だ。 岡本太郎は、沖縄の文化を、大権力を前提にした文明と対比し、生活の必要上から発生した美と捉えているようだ。民藝の考え方にも似た捉え方のように感じる。 と思って読んでいたら、岡本太郎自身が民芸とは違うと言っている。そうなのか。
  • らこ
    らこ
    @rakosuki
    2025年7月20日
  • タイラ
    タイラ
    @mega-man_book
    2025年3月18日
    バイブル
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