紺青のわかれ

3件の記録
- ぬ井(3匹のペンギン文庫)@omomochiroom2025年9月15日読み終わった文体、ストーリー、人物、小道具…小説を構成するすべてが絢爛。読むというより浸る、耽るという感覚。短編とは思えぬほど登場人物が多く関係図も複雑で、深読みするとキリがなくて、読んでも読んでも読みつくせない。 「冥府燦爛」の、生身の人間のいない冥界の地下商店街というのが今日のvaporwaveにも通じる暗いノスタルジーがあって好きだな〜。 最後の「朝顔に我は飯食ふ男哉」は、前半は3人のおじさんの秘密結社めいた日常が楽しげで、そこからどんどん愛憎劇の色が濃くなる展開が見事だった。
- りなっこ@rinakko2025年1月20日かつて読んだ久しぶしに塚本作品を読んだら短篇も読み返したくなった。華麗な文章で語られる10篇は更に凄惨さを増していき、濃ゆい毒気にくらくらする。 登場する綺羅をまとった男女は概ね、人でなしな仕打ちを誰かにしているのに、何故か男たちは赦されているところが相変わらず流石だ。 そんな中で「与那国蚕は秋の贐」の美貌のモデル鳥奈の悪への振り切りっぷりが、まさに毒蛾でいっそ見事だった。 他、美しい迷宮を見出してしまった主人公の痛切さを描く「冥府燦爛」は、短い作品だけれど、離れがたい夢の儚さ(と、ルビw)が溢れていて好きだった。