駈込み訴え 太宰治集 (古典名作文庫)

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siu@rain07302025年10月27日読み終わった最初は大好きな声優、鳥海浩輔さんの朗読で知った。太宰治ってハードル高いなぁと思っていたけど、読みやすくでびっくり。人間の嫉妬とか憎悪とか、自責と他責がコロコロ入れ替わるところとか、美しい人だと言っておきながら自分がその人の視界に入らなければ貶すところとか、見返りを求めてしまうところとか、ありのままの人間の姿が見られて嬉しい。

-ゞ-@bunkobonsuki2025年8月24日口述筆記で書かれたことで有名な太宰治の『駆け込み訴え』。本作はタイトル通り、駆け足で、喘ぐように吐き出される文体が特徴。 イエス・キリストを神の子でも聖人でもなく一人の人間として愛したユダの苦しみが、読者の共感を呼ぶ。師の清濁を憎しみ、慈しむ姿勢は、裏切り者と言い切るには酷なほど純情である。 偉大なる師を傍で眺めるという文学作品は、中島敦の『子路』でも見受けられる。孔子と子路の関係は、本作のイエスとユダにそっくりだ。 しかし、ユダが清濁併呑しながらも裏切ったのに対して、子路は孔子へ疑問を投げかけながらも最期まで信じ切った。両作を併読して、師や弟子を比べてみるのも面白い。





