ことばの発達の謎を解く

10件の記録
- 句読点@books_qutoten2025年9月10日読み終わった単語も文法も知らない赤ちゃんがどのように言葉を習得していくのか、というところから、言語とは何か、人間にとって言語を学ぶとは何か、についても追っていく内容。 母親の胎内にいる時からすでに赤ちゃんは母語のリズムを習得し始める、というのは驚いた。それぞれの言語特有のリズム、繰り返し現れる言い回しなどを覚え始めるという。 名詞のストックを揃えることから言語の習得が始まるようだ。そこから物以外の動作の名前も覚え始め、最後に形容詞を覚えていく。 その過程で重要な働きをするのが、似ている物同士を分けるカテゴリー化の能力。言語によって微妙にその範囲が異なるというのが面白い。(日本語の「着る」と英語の「wear」は微妙にその範囲が変わる。put on と wear では全然別の状態だが、日本語ではどちらも着ると表現するように) 何をもって似ていると判断するか、同じようなものだと判断するかは意外と難しくて高度な話なのだとわかった。 日本語を十分に習得した人が外国語を勉強する時に足かせになるのは、日本語のシステムで外国語をとらえようとしてしまうところだという。言語とは世界の捉え方のシステム、パソコンでいうOSのようなもので、言語が違えば見える世界の姿、捉え方、考え方も異なってくる。世界認識の別の捉え方を学ぶのが外国語学習ということなのだろう。言葉だけでなくその言葉が話される国の文化や風習なども合わせて覚えないと正確な理解は難しい。 赤ちゃんが言葉を習得していくプロセスは微笑ましくもあり、人間という生き物の賢さ、スーパーコンピュータにも難しい類推の能力を駆使して、システムを徐々に構築していく様子に感嘆する。実際に子どもを育てるようになったら観察しているととても面白いだろうと思う。