切断島の殺戮理論

切断島の殺戮理論
切断島の殺戮理論
森晶麿
講談社
2024年3月28日
2件の記録
  • 堺屋皆人
    堺屋皆人
    @minahiton
    2025年7月25日
    某メフィスト的な匂いのする、ある意味問題作な民俗学ミステリ。 民俗学×孤島という段階でミステリ好きの心くすぐるド定番食材なので、そこにどんな文化やルール、因習を持ってくるかが作家さんの色になるわけですが、欠損を美徳とする文化というのは中々尖っていて良いなというのが読む前の印象。 そこで殺人事件が起こり、もちろん孤島はクローズドサークル。それもド定番。 そこから何をしてくれるのか……と期待したら、なんだってwwwという予測不能な現象が主人公の身に起こり、この作品に向き合う姿勢(体勢)を変えさせられたw 以下ネタバレ。 正直、真犯人は事件が起こる前から違和感が沢山提示されている(真犯人との会話もね、島の人間なんだろうなって要素散りばめられているし)ため、簡単に見当がつくようになっているので、途中の超展開で「ああ、そういう系でしたかw」となったら、「え、てことは、あの約束って……」というところに興味が移って、最後まで楽しく読んだ。 とはいえ、ミステリは犯人当てゲームではないので、作中言われているように結末だけ見たら解るのに本文も読むのは、過程が見どころだからです。 次々に起こる殺人事件と、主人公達によるダミー推理が面白い。(というか、ダミー推理の方が正統なミステリ的かもしれない) 事件の核心に、美的感覚の違いだけでなく、二つの種族の欠損箇所の違いが活かされていたり、何故島の人間でない被害者の欠損が必要だったのか、など、ミステリとしても楽しく読めた。 ストーリー展開的にも、孤島から無事に脱出できるのかとか王道だけど、やっぱそれが異文化社会の孤島モノの醍醐味で、そこも超展開含めてどうなるんだろってワクワクできる。 余談ですが、あの状況から主人公補正の無い推しが島を出られて(その後も元気そうなのが確認できて)良かったです。 あの約束の結果(行動自体)は予想通りでしたが、グロテスクなホラーエンドを予想していたので、随分アクロバットな方法で一瞬だったのは予想外過ぎたw(寄生獣的な画だったな) 賛否分かれそうだけど、とにかく、色々ぶっ飛んでて読んでて楽しかった! これ、古き良きあの頃のメフィスト賞の匂いめっちゃする……と思ってたら、そういう評価ちらほら聞いて、だよね!ってなった。 続編ありそうなエピローグだったので、あるなら是非読みたいです。
  • ちょ
    ちょ
    @slamp_3015
    2025年6月30日
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