愛と欲望のナチズム

愛と欲望のナチズム
愛と欲望のナチズム
田野大輔
講談社
2024年10月10日
9件の記録
  • くりこ
    くりこ
    @kurikomone
    2025年10月22日
    後半は売春をどうナチ党が利用してきたか。 性の解放を謳って婚外性交渉、婚前性交渉を推奨しているから当たり前なのだが、青少年の性の乱れや、女性が外国人労働者と不倫すると言った由々しき事態が発生する(ドイツ人の女性曰く、「兵士は戦地で女を買っているのだからこっちもいいでしょ!」ということらしい。強い!) そこで、ドイツ人の戦意を高めるために売春宿を運営するだけでなく、ドイツ人女性を守るために外国人労働者用売春宿、更には強制収容所にまで労働意欲を高めるため囚人用売春宿を設置し始める。ドイツ人から抑圧された者からも更に抑圧されるのが周縁化された女性の性であり、いつも性のはけ口として尊厳を傷つけられる。 そもそも、人種イデオロギーをあげながら、ドイツ兵は戦地で外国人の女性に売春させていて、やっていることがダブルスタンダード。 「性欲を鼓舞して、戦力を高める」と言った戦時中の政策を見て、改めて性に権力が入り込みコントロールされることが不幸を招くとわかった。これは昔のことではすまされない。買春処罰法や、売春防止法と言った国家権力の性の介入はこれからも反対していきたい。
  • kawazmuri
    kawazmuri
    @01non-kawaz-use
    2025年10月22日
  • くりこ
    くりこ
    @kurikomone
    2025年10月19日
    第二章 健全な性生活 性の解放を求める一方同性愛者を抑圧して行く姿勢について。 ここは、『セックスワークスタディズ』の、なぜ近代社会は性について語りにくいか、にも似たようなこと書いてあったような。 p.67〈性的啓の推進をもとめる声高な主張は、性生活への介入を強化しようとする精神療法の権力要求と結びついていた。それは性の抑圧に悩む人間を解放するかわりに、彼らを一種の性の牢獄に閉じ込め、国家の用に供するものにほかならなかったのである。…この牢獄は排除のメカニズムを内包していた〉 p.69<人種的に望ましい結婚と健康な子供の出生を奨励することで、ナチズムはそれまでベールに覆い隠され、抑圧されてきた性を白日のもとにさらし、良心の呵責や罪悪感から解放すると同時に、丸裸になった性を権力の網にからめ取って、民族の再生産装置として有効活用をはかったのである。>
  • くりこ
    くりこ
    @kurikomone
    2025年10月19日
    第三章「男たちの慎み」 性の解放を謳いながら、女性をモノ化し(”質の高い”子孫を残すためなら婚外性交渉、婚前性交渉もOK!)、同性愛を排除する過程を読んでいると、ホモソーシャルな空間は、ミソジニーとホモフォビアがセットで動くってことがよくわかる。 しかし、「同性愛が感染する」って言説、那覇市議会で参政党議員が、「トランスジェンダーは感染する」って言ったのと同じ。同じ極右同士、酷似しててぞっとする。 ちなみに性に介入していく手法を考えたのもあの悪名高きヒムラ―だったとのこと
  • Blue moon
    Blue moon
    @mimosamimi
    2025年10月19日
  • くりこ
    くりこ
    @kurikomone
    2025年10月17日
    田野先生の本、三冊目。 第一章「市民道徳への反発」 ナチ党=婚外性交渉を嫌悪してると思ってたのだけど、むしろナチ党は、性欲の充足を奨励するため既存の性規範に反するような「性の解放」を唱えてたらしい(ただし同性愛は撲滅すべきであり自慰行為でさえ精子を消費するからという理由で危険視されていた。これはレビ記に両者とも記載されてるからキリスト教価値観も含みつつということだと思う) マジかー!!
  • かくり
    かくり
    @kakuri000
    2025年9月23日
  • くりこ
    くりこ
    @kurikomone
    2025年9月20日
    田野先生の本面白いので順に読んでいく予定  あと、参政党の研究に役立ちそうなのでナチスに関する本重点的に読みたい。
  • 汐入
    汐入
    @yogishaninotte
    2025年7月19日
    ナチスが性的な欲望をいかに国家統治に利用したかを論じた本。注釈と参考文献のページが多いので厚さに比して本文自体はさらっと読める。 ナチスといえば人種差別と強制収容所だけども、この本のメインは性、愛、生殖なのでもっぱらゲルマン民族を対象にした政策の話になっている。そういうわけで他民族、他人種の人権を蔑ろにする者は自民族の人権もゴミみたいに扱うという例がこれでもかと出てくる。あれだけ特別視していたゲルマン民族に対して奨励するのが自分たちの「繁殖」と「育種」(原文ママ)ってなんなんだよ…… ナチス・ドイツ自体はもう100年近い昔のことになってしまったけど、現代でも十分足を掬われそうな言説がたくさんあり、げんなりしつつ薄氷の上に私たちは立っているのだなあと思わされた。
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