「ぼくが君に見せてあげたもの、あれはみんな本当なんだ。神もなければ、宇宙もない。人類もなければ、この地上の生活もない。天国もない。地獄もない。みんな夢──それも奇怪きわまる馬鹿げた夢ばかりなんだ。存在するのはただ君ひとりだけ。しかも、その君というのが、ただ一片の思惟、そしてこれまた根無し草のようなはかない思惟、空しい永遠の中をただひとり永劫にさまよい歩く流浪の思惟にすぎないんだよ」 p.185 岩波文庫

ゼミの先生にもらった本 サタン ー下界の人間というのは実におもしろい。もちろん、そうはいっても、もともと人間というやつ、これはまたおそろしく鈍感で、無知で、けちで、自惚れで、病気だらけのがたぴし野郎、いやはや、なんともみすぼらしい碌でなし野郎ばかりだということはわかっているのだが、