幾つか寄り道しながらゆっくり読了した。 完全に”サイバーパンク“なチバシティから一旦江戸の暗黒街へ行ったり、“ザイオン”に戻ってダブを感じたら、今度はロングビーチ、ラスベガスでの犯罪、人生を思う。“すこしふしぎ”というにはハード過ぎるSF短編を経て、“自由界(フリーサイド)“をもう一度登り、そこから一気に読み切った。 読み終わってみると、”電脳空間“やテクノロジーの物語というよりも肉体界(フィジカルサイド)の物語にフォーカスして読んでいたことに気がつく。具体的にいうなら、短編『記憶屋ジョニイ』から続く「街の侍」モリイ・ミリオンズの、人生を解決しようとする、ある意味では復讐の物語。彼女の改造された肉体のフロウにも、”サイバーパンク“の「電撃的文体」、黒丸尚の訳文はよく似合う。 久しぶりに少し苦戦して寄り道しながらゆっくり読むのもなかなか良かったし、寄り道することで、本と本、物語と物語の間に、また新しくて面白い物語もうまれた気がする。それもまたゆっくり”読んで”いきたい。

この小説は『記憶屋ジョニイ』から連なる「街の侍」ことモリイの人生の物語なのではないか。少なくともそれはこの小説のひとつの側面ではあるし、そんな解決しない人生の物語としても読みたいと思った。

鬼平犯科帳2巻を読み終わったところで、江戸から一旦千葉方面へ行ってみようかと思っている。

これも散々読んだSF。未だに色褪せないサイバーパンク。スノークラッシュよりもニューロマンサーが好きかな。時代もだいぶ違うが、サイバーパンクといえば、冲方丁さんのマルドゥック・スクランブルも感心したなあ。