あのころなにしてた?

12件の記録
- 漆野凪@urushinonagi2025年9月8日読み終わったコロナ禍に日常が飲み込まれていく様子が描かれた日記。タイトルとその描写も凝っていて、「あのころなにしてた?」は基本的に青で描かれているのだが、「ころな」の三文字だけ黄色で描かれている。 この本の言葉選びがいいのはもちろんのこと、綿矢りささんの想像力の豊かさに驚かされた。「好きな人の息の通り道が可視化できるのは、なんだか面妖だ。もしいま自分が学生で、片想い中の何々くんがマスクをへこませてたら、ときめく気がする。」という文章なんて、その最たるものだ。 「以前は自著の読者の方々から共感が欲しいと思ってたけど、今は共鳴したいと思う。自分の中に潜んでいる物語を探し当てるのに必死になっていたけど、最近は書き手より、むしろ読み手に脈打つ何かが潜んでいて、文章で読者の敏感な神経に触れたら、共鳴が返ってくるのではと感じている。」という記述にも納得させられた。共感ではなく共鳴。いい言葉だ。私の言葉も、いつか、誰かの心の一部を震わせられるだろうか。
- oto@sakana__books2025年6月13日読み終わったコロナ禍はじめの1年を綴った綿谷さんの日記 未知のウイルスへの不安や世の中の混乱も今となっては懐かしい 後書きの文章がすごく良かった。 なんとか前を向いて肩の力を抜きながら、ちゃんと生きていこうと思う。 ところどころ出てくる綿谷さん直筆のイラストが可愛かったです。
- 芝生@grass-sbf2025年6月8日読み終わった日記ものも好き。コロナ禍に期間を絞ったものもいくつか読んできたけど、同じ世界に、同じ日本に生きていた人たちなんだなという実感が増して、味わいも増す。それは苦味かもしれないけれど。
- myk.sk@reads-4404102025年3月24日読み終わった2020年、コロナ禍の作家の日記。東京のすさんだ空気感が伝わるけれど、いま読むと馬鹿げた騒ぎにも思えて、戦時下に細雪を著した谷崎潤一郎はまちがっていなかったのかもしれないと感じざるを得なかった。
- くり@kurikiroku2025年2月13日読み終わったああこんなことあったなあ、世の中こうだったなあ、と2020年を思い返さずにはいられなかった。 この本、時代が変わって100年後とかに、コロナ発生当時の世間の様子を知る良い資料として読まれそう。 あとがきが一番面白かった。面白いっていうか、文章が小説ぽいのがやはり、好き。色々な例えが出てくるところ、言葉の並びもリズムも内容も、綿矢文学って感じで。 想像力が『ドアの前に「来ちゃった」してくる存在になってしまった。』って、すごいよね。小説家って感受性が研ぎ澄まされてるんだろうね。