
ベンケイ
@benkei0127
麦酒と読書とマラソンが趣味の単身赴任中のおじさんです。好きな作家は、坂口安吾、小島信夫、古井由吉、後藤明生、大江健三郎、村上龍、村上春樹、堀江敏幸、高橋源一郎などなど。
- 2026年7月31日
野火大岡昇平読み終わったこの中編ともとれるコンパクトな長編小説が、『金閣寺』や『砂の女』などとともに長らく戦後日本文学の金字塔と呼ばれてきた理由が、読んでみてわかった。ずっと大岡自身の悲惨な戦争体験を脚色し綴った戦記にちかいものと思っていた。違った。これは確かに「小説」だった。それも世界文学級の。 終盤に至るにつれ、主人公のおかれる極限状況に目眩がした。人は殺したが、食べてはいない。きっとこの倫理観の是非だけが問われているのではない。人間そのものが問われていて、それこそ「小説」のもつ凄みだと思う。 - 2026年7月9日
美学への招待 増補版佐々木健一読み終わったああ、これは名著!美学という学問の過去、現在、未来が新書のコンパクトさで一望出来る。とは言え記述は時系列な美学史ではない。日常の身近な事柄から、美学的課題が抽出され、その語りのうちに近代美学の成果と批判、さらに新美学の展望が見出される。 忘れもしない、旧版の刊行は2004年3月末。その年、私は拙い卒論を書き終え、京都の私大の美学•芸術学専攻を卒業し、就職した。入社式に向かう新幹線の駅の書店で、出たばかりのこの本を買った。が、どういう訳か、それから20年以上読まずじまい。社会や生活に揉まれるにつれ、いつのまにか自分のなかで美学は学生時代の青臭さの象徴となり、近寄り難くなった。その間に本書は増補版に生まれ変わっていた。 久しぶりに、青春に触れた気がした。 - 2026年6月28日
一九八四年(新訳版)ジョージ・オーウェル,高橋和久読み終わったああ、なるほど、確かにこの小説はすごい。ジョージ•オーウェル。こんな天才がいたのか! 1949年刊にして、あたかも2020年代の現代社会のことが描かれているかのようにも感じる作中世界に、ざわっ、とうすら寒さを覚えながらも、正直「ああ面白い!先が読みたい!」とひたすら読み進めることのできた自分のいまこの境遇こそ、まだまだ自由であり、あくまで平和であると、読後の興奮がやや鎮まってから思えた。 - 2026年6月9日
月と六ペンスサマセット・モーム,William Somerset Maugham,金原瑞人読み終わったサマセット•モームには通俗作家との評もあると言う。確かにこの作品もある意味、通俗的かも知れない。 けれども不惑を過ぎたあたりからだろうか、物事に対する受け入れ方が妙に素直になって(カッコつけることに対する諦め?)、本作、深く感動しました! モームの語りの構成が憎いほど秀逸! 今回、金原訳で読んだけど、飾らない訳文が終始心地よかった。 そうね、私はいまだにしがないサラリーマンだけれど、きっとまたいつか会おう、ストリックランド。 - 2026年5月19日
- 2026年4月21日
存在の耐えられない軽さミラン・クンデラ,千野栄一読み終わった初めて手にしたのは高校生のとき。難解さに挫折。 20年近い時を経て、あらためて読み始めると、読んでいるさなかから多幸感を覚えるほど、その哲学的語りに惹き込まれた。 ああ、なんてメランコリックで甘美な小説だろう! いまはまだ読後の余韻のなかにあるからだろうが、 すべてのページが愛おしい。 - 2026年3月21日
みぞれ重松清読み終わったたまに無性に重松清や宮本輝や、あるいは上原隆が読みたくなるときがある。大概なんとなく調子がよくないときが多い。そんなわけで久しぶりに手にした。 書かれた時期がやや古くなってしまった短編集だが、相変わらずどれも上手い。その切実なリアリティに、ささやかではあるが、そっと背中を押してもらえる感じ。 それにしても、かつては重松清の描く中高生が主人公のお話に共感を覚えていたのに、いつのまにか子育てに悩む若い父親の物語に相槌をうつようになり、今回特に胸を打たれたのは、どれも40代の中年男性が主役。久々に読んだら自身の加齢も感じました笑。 - 2026年3月12日
まちがえる脳櫻井芳雄読み終わったタイトルから想像していた内容とは若干異なったが、知的興奮に満ちた一冊。脳について知りたいと手にしたはずが、読後の感想は、脳とは何と未知なる領域か、ということ。その深遠。薄い新書だが、脳に対する理解が揺さぶられる。 - 2026年2月26日
オリガ・モリソヴナの反語法米原万里読み終わった三宅香帆さんのオススメで読み始めた。 冒頭から引き込まれた。いつの世も、時代や世界のうねりに無名の人生が巻き込まれていく。それでもなお、理不尽や不合理に抗い自身の生を生きる凛々しさよ!題名が秀逸! - 2026年1月31日
自分を変える1つの習慣ロリー・バーデン読み終わった年の初めは自己啓発本で。それもゴリゴリの正攻法の啓発本を! 噂通り、当たり前の努力の必要性を訴えてくる。愚直なまでに。でも、これを望んでいた。「自分を変える方法」は実はこの本を読む前から知っていた。 40代もいよいよ後半戦がスタート。まだまだ自分を変えていきたい!
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