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ちさ
ちさ
@chisa_nemui
  • 2025年7月27日
    春のこわいもの
    春のこわいもの
    もう5年もたったのか、とあの頃を思い出しながら読んだ。不穏な空気感が美しい文章で表現されていて、すっかり酔いしれてしまった。 未知なる「こわいもの」がやってきて、世界は確かに変わってしまって、自分の生活だって少なからず影響を受け始める。大切なものを失う人さえいることもメディアで目にする。大変なことになっているな、と思う。 それでもどこか自分ごとではないような、遠い世界のできごとのような気がしていたのに、それはじわじわと私の世界にも侵食してきて、思わぬ形で少しずつ色を奪っていく。そんな「終わり」や「崩壊」の気配が迫る息苦しさを強く感じる短編集だった。 どの短編もいよいよこわいことが起こる、その寸前で物語が終わるからこそ、その先に待ち受けるものを想像してしまって、より強い絶望感を味わわせてくる。それなのに描写はどこまでも美しくて、ちょっと脳みそが混乱している……
  • 2025年7月26日
    アーモンド
    アーモンド
    泣き腫らしながら、夢中になって一気に読んだ。悲しいことや痛ましいことも起こるけれど、愛おしい時間が詰まった本だったなと思う。 ご都合主義的な展開と言えなくもない。でも、上っ面の共感や勝手なレッテル貼りにあふれる世の中を思うと、フィクションの中でくらい「愛」が何かを変えるさまを味わったっていい。 精神科の先生に「感情がなくなったら良いのに、と思いますか」と聞かれて、「はい」と答えたことがある。先生は「失くしてしまうのが悲しいからこそ、愛おしさを感じることができる。それは人生を豊かにすることだ」と言った。当時は「はあ」としか思えなかったけれど、ユンジェの人生をのぞかせてもらったことで意味を理解した気がする。 永遠はないとわかっていても失くしたくないものが、私にもある。それをめいっぱい大切にすることが、私を強くするのだろうなと思う。
  • 2025年7月22日
    透明人間は204号室の夢を見る
    うーーーーーん。私にはちょっと合わなかった…… せっかく良い設定や仕掛けがあるのに、ささっとありがちな方向に片付けられてしまって物足りなさを感じた。 でも、主人公の抱えるこじれた思考回路にところどころ共感する箇所もあってヒリヒリした。他者からの評価に自分を合わせようとするところ、自分に近づく人間の下心を散々思い知らされてきたのに懲りずにまた期待してしまうところなんかは自分を見ているようで。 主人公の担当編集のような、「見出し、手をさしのべる人」でありたいなと思う。嫌なところばっかり目について、嫌なことばっかり記憶にこびりついて、すっかり疲れてしまった。矢印を他人に向けることができるって、すごいことだ。
  • 2025年5月15日
    小説
    小説
    すごい。溢れんばかりの愛を受け取った! 興味本位でReadsを使い始めてから、本を読み終わったら感想を書かなきゃと思うようになった。本の内容をすぐ忘れちゃうから、何がどう響いたのか記録しておきたいし。 それがそのうち、いいねがたくさんつくような、たくさんの人に共感されたり刺さったりするような、すごいことを自分の言葉で語らなきゃ、に変化していた。 でも「本を読むって、そうじゃないじゃん」と思い知らされた。読書の価値、ちゃんとわかっていたはずなのに。目が覚めた〜。 私は自分の輪郭を知るために本を読んでいるのだと考えていたのだけど、それを「意味を増やす」という言葉で肯定してもらえた気分。うれしい。
  • 2025年4月23日
    冷ややかな悪魔
    圧倒的切れ味!!読んでよかった〜。 結婚こそが最大の幸せであり人生のゴール、パートナーがいないなんてもったいない・可哀想……私が気持ち悪さを感じる世の中の思想がそのまま描かれていて、眉間にしわを寄せながら一気読みした。(かく言う私も「持たざる者」なので、気持ち悪いなんて言っても強がりとしか見られないだろうけど) 嘘もつきたくなるよなあ。主人公の行動はさすがにぶっ飛んでるけど、でもフィクションだからって笑い飛ばすことはできなかった。生きにくい世の中だぜ。
  • 2025年3月29日
    爆弾
    爆弾
    とても久しぶりにミステリーを読んだ。登場人物の人数の多さとか展開のスピード感に「あわわ」となりながら読了。 タゴサクの自らを卑下する言葉の数々が、自己肯定感とやらの低い私にはグサっときた。私もビニール袋に入ったごみみたいな存在かも、と思ったら落ち込んでしまって読み切るまで時間がかかった…… でも、それだけ彼の言葉にメンタルを引っ張られていながら「次は何が起こる?」という好奇心でページをめくって、最後まで読み切ったあとで「なるほどね」という感想に着地した私の当事者意識のなさというか、フィクションとはいえ対岸の火事としか思っていないあたりになんだか後ろめたさがある。次のタゴサクはすぐ近くにいるかもしれないし、私の中にだって火種はあるかもしれない。じわじわと体が冷えていくような読後感。
  • 2025年3月19日
    うるさいこの音の全部
    大好きな高瀬隼子さん。なんと巧みな心理描写であろうか……! 反射的に起こる感情があって、そのあとでそれを俯瞰的に見つめる自分が現れて、起こってしまった反射に対して自己嫌悪を抱いて……と、主観と客観を行ったり来たりしながら自分の感情を自覚していく描写が私に刺さりまくり。私も相手や環境によって仮面を使い分けている自覚があるから、その感覚を言語化してくれるのが本当に嬉しいなと思いながら高瀬さんの作品を読んでいる。 でも今作はとても苦しかった。主人公の感情が揺れ動くたびに、私自身の感情も素手でぐちゃぐちゃにかき回される感覚だった。反射に抗わずただ身を任せるばかりでいたらこうなるかもね、というひとつの帰結としてとても納得感があったからかな。 「助けて」って素直に言えたらどんなに良いだろう、と思う。外界と内面の境目をしっかり持てていたら。我ながら苦しい生き方をしているな、という自覚はあるのだけど。難しいな。
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