まだあまり親しくない人との雑談の中で「好きな〇〇は何？」という質問は定番中の定番。映画とか漫画とか趣味性の高いものは興味ない人もいるだろうけど、食べ物を全く食べない人はまずいないから、質問として優しい。優しいんだけども案外悩んでしまう。100%納得できる回答が出来たことがなくて、いつも少しだけ後悔していた。 そんな中で、日記本が好きで読んでいた古賀さんが、ドンピシャなタイトルのエッセイを出版されたのですぐに読んだ。 「日頃から推して、それなりに時間を割いて好きでいるわけじゃない、でも、決めておく。それがコミュニケーションや人生を彩る」という一節に大共感した。プロフィール上の「好き」という感覚を探究する１冊。 私は今後好きな食べ物を聞かれたら、間髪入れずに「肉まん！」と元気よく答えようと思う。

私のバイブル的な本。 若菜晃子さんが暮しの手帖で連載していたものを１冊にまとめたもの。松本や秩父、桐生、下田などのちょっぴり渋い街が紹介されている街歩き本。 文章を読む、書くということに苦手意識があった頃。何気なく手に取って読んでみたら、自分の中にスルスル文章が入ってきて、あっという間に読み終えてしまった。難しい言葉が使われていないからか棘がなく、優しい空気を帯びているのに洗練されている。こんな文章がかけたらいいのにと思った。

私が一番好きな編集者・文筆家の若菜晃子さんによる随筆集の一作目。 個人的な登山スキルとしては、低山をゆるゆる登る程度だけど、それでも、この本を読むと山の空気を吸いに行きたくなる。