
空色
@kagimusume27
本が好き
本を読んでいる人が好き
本のある場所が好き
旅と毛糸と空が好き
- 2025年7月24日穴 HOLES (講談社文庫)ルイス・サッカー読み終わった穴、ですよ。題名が、穴。 どういうことなんでしょう? しかし、これ以外の題名は考えられない事は、読めばわかります。 主人公のスタンリー・イェルナッツは、運が悪いばっかりに、無実の罪で、一年半の穴掘り更生キャンプに行く事になり…(これ以上は教えられない) 感想は おっっっもしろい!! 1回目は、喉の渇くのも忘れて読み進め、 2回目は登場人物の性格や容姿も頭に入った上で、再びカラッカラのまま読破 3回目で、ふと 主人公を薄く包む、強い守りのバリアの存在に気が付いてしまいました。 つまり、今のところ3回楽しんだという事です。どうやらこの物語には続編やスピンオフもあるようなので、探して読んでみます。
- 2025年7月24日ヒルズ・エンドI.サウスオール読み終わったのっけから不穏なムードなのだけど、 語りはどこかの第三者で、 とんでもないことが起きている主人公達への目は至ってクールで達観的。 こんなこと起こる訳ないって、誰だって思ってる。正確には、起こるかもしれないけど自分達のところじゃないって思ってる。大火事だって台風被害だって、何処かの誰かの出来事だって。ところが、第三者が語ることで、他人事にしてきた自分の隠していた蓋が開けられてしまうような気分になる。 そんなクールに言ってるけど、大変なんだってば!って、まるでその場にいる人みたいな気分になってしまう。これは罠?? ただし、この物語の大事なところは、リーダーもヒーローもいない集団が、自分達の知恵と力だけで生き抜く所なので、未曾有の大災害について語る為のものではないのだろう。 子供と呼ばれる人達が、どんなに必死に生きているのかを、大人と呼ばれる人達はつい忘れてしまう。本当に、大人は子どもだったことを見事なくらいにすっかり忘れて生きているのだ。 ヒルズエンドを読めば、子供が大人くらいに完成されてて、大人が子どもくらいに不安定だと気がつくことになるでしょう。 私もその1人です。
- 2025年7月24日穴 HOLES (講談社文庫)ルイス・サッカー
- 2025年7月24日ヒルズ・エンドI.サウスオール
- 2025年5月31日泥棒をつかまえろ!オットー・シュタイガー,高柳英子読み終わった積読から引き出した今日の一冊、 まさかまさかの逸材でした。 表紙は夏のアルプスの山々を背に広がる美しい村の写真。 タイトルは 泥棒をつかまえろ! スイスと日本の様々な細かい違いについてはそのまま受け入れて読み進みます。ここにつまづくと大事な事を拾い忘れてしまう。 例えばタバコとか。スイスでは、未成年の喫煙は好ましくない、とされているだけで、体育館の裏で一服していたからといって退学になったりしないようです。 例えば、朝の小鳥の群れのことを考える。 何十羽も集まって空を飛び回る小鳥達にはリーダーらしきものはなく、ただみんなが飛ぶ方へ集まって飛び回っているのだとしたら、その本能は人間にもあるのだろうか。ただみんなが行く方へ集まって行くという習性が。 でもそれが、暴力的なことだとしたら? 誰も何も考えずに破滅へ向かうのだろうか。 いやいや、今まで何度も向かってきているではないか。 こんな恐ろしい事が、もし本能に組まれているとしたら、どうやって阻止すれば良いの。 1人の繊細で勇気を秘めた少年の語りで進むものかだり。この男の子は思慮深いけれどまだ何者でもない。でも、ちょっとませた女の子なら、その魅力に気が付いてほっとかないもんね。めちゃくちゃ衝撃的な内容なのに、うまくそんな10代の恋の絡みも入っていて面白い。 捨てるために読んでるのに、また本棚に戻りそうです。
- 2025年5月20日七つの人形の恋物語ポール・ギャリコ,矢川澄子,金子國義私が読んだのは、王国社の装丁版で、印象的な装画は縦石修志さん。視覚から入るインパクトは強烈で、私にとってこの物語にはこの絵しかない。 1950年代に書かれたものらしいけれど、読み始めればすぐににその頃の湿って猥雑なパリの空気の中に入り込める。気持ちが良いかどうかは別にして。冒頭から絶望に満ちている。何しろ、主人公の名前がムーシュ。ムーシュというのは蠅、という意味があるようだけど、主人公が、蠅ってどういうこと。 ムーシュはブルターニュ人の魂で、操られているはずの人形たちを7つも受け入れる。この人形たちは、実際、あやつられているのではなくて、完全にそれぞれ独立した一人一人別の人格で生きている所が重要。 愛なく育った心が救いを求めて分かれて行き、残ったのは本当に凶暴な荒ぶる魂だけなのか。破滅を救うのはいつも清らかな心を持つ者なのは何故なのか。清らかで無垢な心は、優しく穏やかな場所へはどうして辿り着けないのか。読みながら考えるのは常に、幼少期の愛は無条件に溺れるほど与えられるべきだと言うこと。無垢な心はその絶望を救い負の循環を断ち切る為に与えられる試練なのだろうか。 ずいぶんひどい。 とは言え、この物語は最初から最後まで読み手の心を掴んで離さない、恐るべき素晴らしいストーリーです。
- 2025年4月5日夏の庭湯本香樹実読書記録 前に一度読んだ事があったのに、忘れていた!でも忘れていて良かった。もう一度読めたから。 「夏の庭」…って、江國香織さんみたいな題名だけど全然違っていた。副題でThe Friendsって書いてあるのを、読み終わってから気がつく。主人公は12歳の少年3人と死にそうなおじいさん。(死にそうって噂のあるおじいさん)12歳くらいって、死って言葉、世界、感覚に、どうしようもなく取り憑かれるように惹かれてしまう時期かもしれない。危うくて、頑なで、見えないものや未知のものを、いないと知りつつ信じて、怖れて、失敗してしまう。自分という地層の下の方に忘れてきた感覚。今日思い出した。つまり前にも読んだので2回目! そして2回目の涙だと思う。 もう一回忘れてまた読みたい。
- 2025年4月3日ヒルベルという子がいた改訂版ペーター・ヘルトリング,上田真而子読書記録です ヒルベルはあだ名。ヒルベルは病気で変わっていてひとりぼっち。どこにも行くところがなくてホームで暮らしている。 本当に扱いにくい子供みたい。きっと近くにいたら困ってしまうかも。でも、読み進むうちにどんどんヒルベルが好きになってきてしまう。ヒルベルは、言葉でうまく表せなくても、たくさんの事を感じて多くの事を知っている。 ライオンの群れの中の話なんて素敵過ぎる。ヒルベルを連れてきてくれたお爺さんがいい。それに対応するマイヤー先生が、いい。挿絵もすごくいい。 作者はドイツの作家で、訳者はエンデのはてしない物語も訳しておられます。 もう一回読んでみよう。
読み込み中...