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Dragonfly's Facility
@mdfs00_novelist-A
  • 2026年4月1日
    博士の愛した数式
    ボロい離れに暮らす、80分しか記憶が保たない老人。その生活に家政婦として入り込むことになった主人公。老人の勧め(というかほぼ有無を言わさない指示)で入り浸ることになる主人公の息子。その「疑似家族」には大きな冒険も起こらない。どんでん返しもない。ただただ、私達は彼らの生活を見る。  その生活を邪魔する者がいても、理由を知れば納得。その者も含めて、私達はその生活を眺める。  その果てにやって来る誰しも逃れ得ぬものを目の当たりにして、ようやく読者は気付く。『博士の愛した数式』が何を指し誰を指すか、そして間違いなくこの疑似家族は幸せであることを。これを裏打ちする小川氏の構成力と下調べの緻密さこそが、本作を名作たらしめている。
  • 2025年11月20日
    十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫)
    所謂『館もの』『孤島もの』と思うなかれ。探偵はあくまでも本土にいる。本土と館、2つの舞台で物語が同時進行し、やがて探偵は一度も島に行くこと無く真相に辿り着く。その2つを隔てる海に当初投げ込まれた謎のボトル、これが最後にどうなったか。  ただ事件と解決を書くだけなら本土の山奥でも良かったはずだ。それも踏まえると、本土と館がそれぞれ何の象徴なのかも想起できるのが面白いところだ。
  • 2005年11月20日
    ハッピーバースデー
    ハッピーバースデー
    『ハッピーバースデー〜命かがやく瞬間~』のリメイク作品。児童書として虐待被害者たる子供の視点で描かれていたその作品に対し、主たる加害者である母親側の更生経緯が追加された。これにより母親の年下上司・なつきが登場。第三者目線で母親の更生を距離を保ち支援する存在(最も、なつき本人にそのつもりは無いかもしれないが)として、その生い立ちもあって物語に厚みを加える。  その分対象年齢が上がっており、元作品で「そばに来ないで。あっちに行きなさい」とあった台詞が本書では「そばに来るなあ! あっちへ行けえ!」に変わるなど、表現が強くされたところがある。  この作品の本当の楽しみ方は元作品と本書をそれぞれ対象年齢時に読むことである。自身の加齢と共に追加された視点を踏まえ、虐待とは何かを考えることになる。虐待は決して他人事ではない、遠い世界の存在でもないと知らせる名作。
  • 2004年2月1日
    ハッピーバースデー
    ハッピーバースデー
    とある一家の再生を、娘(主人公)への虐待を主軸に書き切った名作。これが児童書かと驚くが、物事には必ず理由がある(それが理不尽かどうかは一旦置いておくとして)と示す。  児童書なので表現は平易。故にその残酷な状況が浮き彫りになる。底の浅いSNSの下らぬ表現に慣れ切り、数秒考えれば分かることも察することができなくなった者達はこれを読んで思考を鍛えては如何か。
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