小名浜。子供の頃からずっと身近にあった地名。福島に生まれ育ち、震災時に（そしてその後も）そこに居合わせなかった者としても読まねばと思う。装丁を目にした瞬間泣けてきたのははなぜだろうか。

「啞者」 とても好き。読みながら最近の港湾労働者、予備校講師、回転寿司店員の方々のストライキのことなどが頭を過ぎる。

私的絲山秋子祭、開催中。

「背教者」

冒頭の、ホテルのベッドに横たわる描写からしてもうおもしろい。

「不貞」

『転落』読了。久々にカミュの言葉浴びてる。

某政党（世代間の分断を煽る非科学的な日和見政党）からの出馬歴もある某医師の、優生思想に塗れた醜悪なポストがSNSに流れてきた。以前、共産党の宮本徹さんが紹介されていていつか読もうと思っていたこの本、今こそ読まなきゃだなと思う。

砂漠に吹く乾いた風みたいな小説だなと思って読み進めていくと、その風のなかにも微量ながら確かに水分が含まれていることに気づき、最終話に至ってその湿度は隅田川や冬の軽井沢に舞う粉雪のなかで静かに最高潮に達する（あくまでもさりげなく）、みたいなことを思った。佐々木敦さんの解説もよい。

出獄。

逃亡。

おもしろい、という言葉が適切かわからないけどおもしろすぎて溜息でた…。訳者・奈倉有里さんの解説に、「ひと息に読める小説」にする為に作者が膨大な量を削ったとあったけど、納得の密度。

春の憂愁、イルトゥイシ河畔、キルギスからの歌声。