大人になったジェインはずっと聡明で理性的。どこかで崩れることはあるのだろうか。後半は一気にロマンス展開。ロチェスター様の謎がずっと分からない。下巻どうなるの〜〜！

「このときわたしの心は、天国と地獄についてそれまでに聞かされてきたことを、初めて真剣に理解しようとしていた。そして初めてひるみ、迷っていた。後ろ、左右、前へと目をやって、まわり中が底知れぬ淵であるのに初めて気づき、現在という、いま立っている一点だけが感じられ、あとはすべて、形のない雲とうつろな深みーーつまずいてその混沌に落ちて行くことを考えて、心は震えていたのだ。」 生と死についてはじめて考えるとき。

『ジェリコの製本職人』の余韻がまだ残っていて、主人公が読んでいた本『ジェイン・エア』を手に取る。第1章から、本がすきな10歳の少女が主人公なのだと知り、もうすき。いじめっこから身を隠すため出窓を秘密基地のようにして、透明なガラス窓と真紅のカーテンの間に座り鳥類図鑑を読む。ああ、愛おしい。図鑑に書かれる海鳥しか住まない寂しい岩や岬のこと、シベリアやアイスランドなどの寒々とした海岸のこと…それらを好奇心いっぱいに読むジェイン。この少女はどんな風に成長するのだろう……もうだいすき。