ヴェニスの商人

6件の記録
- ショートストップ@tabine_sora2025年7月25日読み終わった旺文社文庫 大山敏子訳を読む 「だが、おまえ、みすぼらしい鉛よ、おまえは、なにかを約束するというよりは、おどしているようにみえるが、おまえのその青白さが、雄弁よりももっとわたしの心を動かすのだ、だからわたしはこれを選ぼう」 「つまり、正義だけを求めてゆくのでは、われわれはけっきょく救われないのだ。われわれは神に慈悲をお祈りする。そしてその祈りこそは、われわれすべてに、互いの慈悲をほどこしあうことを教えてくれるのだ」 「パッサーニオウ、その指輪をあげてくれないか、もちろん君の奥さんの命令もわかるけれど、でもあの人はそれをあげるだけの値うちはある。それにぼくとの友情も考えてみてくれ」
- RIYO BOOKS@riyo_books2022年12月29日読み終わった慈悲は強いられるべきものではない。恵みの雨のごとく、天よりこの下界に降りそそぐもの。そこには二重の福がある。与えるものも受けるものも、共にその福を得る。これこそ、最も大いなるものの持ちうる最も大いなるもの、王者にとって王冠よりふさわしき徴となろう。手に持つ笏は仮の世の権力を示すにすぎぬ。畏怖と尊厳の標識でしかない。そこに在るのは王にたいする恐れだけだ。が、慈悲はこの笏の治める世界を超え、王たるものの心のうちに座を占める。いわば神そのものの表象だ。単なる地上の権力が神のそれに近づくのも、その慈悲が正義に風味を添えればこそ。