凍

26件の記録
阿久津隆@akttkc2026年9月20日読んでる布団に入ってベルンハルトを開くと「葬式」「恐ろしい」「いらだたせ」「不気味」とたちまち辛気臭い言葉が並んでいて「そうだその調子だ」といううれしい気持ちになるのだが、不意に p.78,79 長い夜々彼は、まだ光が点り、話が交わされ、読書がなされている祖父母の部屋のドアにすき間が空いているのをこよなく愛した。祖父母がふたりで寝ているのを見て楽しんだ。「羊がいっしょに寝ているみたいだ」と感じた。ふたりの呼吸がふたりをひとつに結び合わせていた。 とあってびっくりするというか、『石灰工場』でも感じたけれど、ベルンハルトには優しいふたりの関係みたいなものをちゃんと信じているようなところがある気がして、そういう面が見えると、どういう気持ちで読んだらいいのかわからなくなってぎょっとする。逆に辛くなるというか、罵詈の言葉だけのほうがずっと明るく感じる。








阿久津隆@akttkc2026年9月17日読んでる宿の女将が皮剥人と話していて夫は刑務所で、逮捕のきっかけは女将による告発で、だから夫が戻ってくるのを恐れていて、という話が出て、このエピソードは覚えている気がして、でも『凍』で読んだよりももっと最近に読んでいる気がして、ではベルンハルトのどれだったかと考えても思い当たるものはなかった。
阿久津隆@akttkc2026年9月16日読んでるp.25 彼の食べ方は、動物のようでも労務者のようでもない、とはつまり本能に発した食べ方ではないのだ。ひとかじりひとかじりが、自分に向けられた嘲笑だとでもいうかのようだ。彼は目の前のミートローフは「死体の一部だ」と言った。その言葉を発しながら、ぼくをみつめた。ぼくは、彼の期待に反して、その言葉に嫌悪感を催さなかった。ぼくはたえず死体の肉を相手に仕事をしているので、何に対しても嫌悪感を催さなくなっている。そのことを画家は知るよしもない。「人間が口にするものはすべて死体の一部だ」と彼は言った。彼ががっかりしているのが分かった。子供じみた失望から彼の顔には苦しげで落ち着きのない表情が浮かんだ。 失望が子供じみ過ぎている。
阿久津隆@akttkc2026年9月15日読んでる続きを読むと「ここは耐え難いほどの静けさだ。女将はぼくの頼みに応えてカーテンを全部はずしてくれた(いつものことだが、部屋にカーテンが掛かっているのが我慢できない)。女将を見ると吐き気がする。子供の頃屠畜場の開け放たれた扉の前で戻したときと同じ吐き気だ」とあってたちまち文句ばかりなのでウケた。
阿久津隆@akttkc2026年9月14日持って帰ってきた@ 本の読める店fuzkue 下北沢下北沢の席について本棚を見上げると『凍』が目に入って『凍』は初めて読んだベルンハルトでとにかく陰鬱という印象で、たしか、陰鬱なだけで何をどう楽しんだらいいのやら、というような印象で、ベルンハルトは『推敲』で面白くなってそこからはどんどん読んでいったわけだが一周してまた読んでみたら今度はずっと面白くなるだろうかと思ってリュックに入れた。








阿久津隆@akttkc2026年9月14日読み始めた再読中p.5 研修医の仕事は、面倒な腸の手術を参観したり腹膜を切開したり肺葉を縫合したり足をノコギリで切断したりすることでは尽きない。実際それは死者の目を閉じてやることや赤ん坊をこの世に引っ張り出すことでは終わらない。研修医の職務は、切り落とした一本あるいは半本の足や腕を肩越しに琺瑯引きのバケツに投げ入れることではすまない。だがまた常時主任医師や下級医や下級医の助手の後をついて回ることや彼らの巡回に金魚の糞よろしくぶらさがることでも尽くされない。誤った事実をまことしやかに取り繕って見せることだけが研修医の仕事ではないし、「膿は問題なくそっくりあなたの血液に吸収されますから、大丈夫すぐ元気になりますよ」と告げることだけが研修医の仕事ではない。そしてそれ以外の嘘八百を並べることだけが職務ではない。また絶対に治る見込みのない患者に「よくなりますとも!」と声を掛けることだけがその仕事ではない。研修医の仕事は、切開と縫合、結紮と忍耐の修練だけからなるものでもない。 こう始まって、迫力ある〜! と思ってうれしくなって数ページ読んで寝た。













