蛇の言葉を話した男

8件の記録
- Motiyama@10010KY2025年9月18日読み終わった以前ある作家が紹介した記事を読み、何気なく借りたのだが… 今、読むべき本だった。 新しい文化、権力と宗教に心酔して従う人達と、古い因習と精霊を狂信して排他的に生きる人達が両者共、滑稽に描かれている。 信じるものの中身が変わっただけでやってる事は同じじゃないか、とウンザリする主人公は「蛇の言葉」を操るヒーロー…でもなく、善き日々や仲間も徐々に失われ孤独を深めていく。 エストニアの社会を寓話的に皮肉を込めて描いた小説、という触れ込みだったが。分断が叫ばれて、各地で戦争が起こり、AIという従来の生活常識を変える仕組みが急速に広まりつつある今の世の中、に奇妙に付合していると感じた。 この小説に出てくるどのキャラクターの立場を取るのか、を考える事で、これからの自分の生き方に示唆を得られるように思う。 そしてどの立場を選んだとしても、絶対的な正解などないのだ、という現実にも気付かされる。全ての立場に光もあれば闇もある。 ある人にとっての「光」は他者から見たら惨めな錯覚、かもしれない。しかしどの光を浴びてどんな闇を引き受ける(又は目を背ける)のかを選ぶのは自分…だとも言い切れないな、というところまで考えさせられる。 自分にはどうする事もできない大きな潮流に飲み込まれており、それに気づいていないだけではないか。 しかし気づいていたとして、流れに身を任せられないのは相当に生きづらいだろう。 気づいていて、考えてもいるが、何もしない、というのも滑稽で哀れだ。 「蛇の意見では、誰もが、滑稽に生きる権利も、思いつきに任せる権利もあるのだ」 蛇の立場が一番しっくりくるなあ、と感じた一文。 その蛇たちの行く末はどうなるのか…は小説を読んでみてくださいませ。
- fuyunowaqs@paajiiym2025年3月21日読んでるおもしろすぎる 半分以上読んでしまった 中盤で不愉快な展開が続いて楽しい。しばらくはそのフラストレーションも味わいながら読み進めていたが、この流れがずっと続くのはキツ……と弱気になりはじめたギリギリのところで、状況を変えるような出来事がたたみかけるように描かれてすっかり痺れてしまった。作者による物語のちからを疑ったことを恥じた。 あと100ページほどしか残されていない。読み終わりたくない。おもしろすぎる。ずっと振り回されていたい。
- fuyunowaqs@paajiiym2025年3月21日読んだ🌟読み終えてしまった 信じられないほどおもしろかった ありがとうございました 読後の興奮冷めやらぬ中、ページにしたがって解説へ進んだら内容が難しすぎてしわくちゃになった。時間をおいて再挑戦した。原書がエストニアで出版されたのは2007年。本書は「2013年刊行のフランス語版」を邦訳したものらしい。重訳と知り残念に思ったが、巻末に掲載された「フランス語版訳者による解説」がすばらしくて、あらためて本編をじっくり読み返したくなった。むしろ重訳であることに感謝した。海外文学の翻訳作品で、書かれた国の歴史や文化的背景を紹介しながら、作者の立場や意図、本国での読まれ方まで、こんなにもくわしく説明してくれる解説文は近年あまり読んだことがなかったので、うらやましく思った。つぎは暑い季節に読みたい。 この本はたまたま書店で現物を見かけて、タイトルと造本に惹かれて購入した。本を買うときはかならず出版社の公式サイトを見て選んでいるが、本書の内容紹介は忽略で興味をいだかせるような美点がない。あまりに酷い。オンラインで先に見ていたら手を伸ばさなかったと思う。この作品を読むことができて幸運だった。
- fuyunowaqs@paajiiym2025年3月20日読み始めたおもしろすぎる 苦しい 混乱している 巳年に読もうと軽い気持ちで1年ほど積んでいたものを読み始めた、ら、1ページ目からもう虜になった。どうしたらいいか分からないからこれ以上おもしろくならないでほしい。扉の絵とデザインがものすごく格好よかった、それすら忘れるほど物語のちからが強い。神話の弔いを見られるのかもしれないと落ち着かない気持ちで期待している。