私の小説

15件の記録
- Suzuki@finto__2025年3月8日読み終わった★★★★★ 「私はだれか他者に正直になるということができない人間だ。つまらない私の異常さをおもしろくすることはできない。私のつまらないインモラル、私のつまらない反社会性、私のつまらない性癖を。そもそも私たちは創作しているというその時点で加害的で、被害者の顔をすることはむずかしく、フィクションの登場人物にそうさせるように、自分やだれかの人生をおもしろいとおもい、そうなるように寄せて考えること自体危うい、ますます危ういものとなってゆく。人間という生き物の根元的な暴力として「おもしろい」とはなにか?ということがつねに問われているのは、どのような時代においても変わらずまだ見逃されているにすぎない。加害的立場におりながら、加害側のなかで被害者の顔をするためになんだってする、それが私の考える父権的ヒロイズムだ。たとえば我に大義ありと他者の生を矮小化して奪う、身体の芯までフィクションにひたされフィクションにふやけたような私のする、土下座のごときパフォーマティブで切腹めいた自傷的創作がそれである。」(「私の推敲」p87)
- サリュウ@salyu_carefully2025年3月7日ちょっと前に読んだ『ほんのこども』以降の作品は、この人はどこまで行っちゃうんだろう、とこわくなる。この本もそう。ほんとうにこわい人だ。だれがなに言うてんねんという感じだけど、長生きしてほしい。
- 午睡@gosui__zzz2025年3月6日かつて読んだ町屋良平さん『私の小説』がはじめましてで、もっと他の作品も読みたい人。文章に哲学的な難解さを感じつつ、それが心地良くもあり、言葉の深度と密度がとてつもないため、もっと町屋さんの言葉に近づきたいと思った。特に様々な内的事象とそれと対になる事象の間にある揺らぎを捉え、それを言葉にしていく繊細な逞しさが印象的。自分の現在地が混沌の中にあり、その混沌が拡張し続けるなかで内省しながら生きていくのも鍛錬が必要だ〜〜〜。
- はぐらうり@hagurauri-books2024年12月31日読み終わった私のシリーズのうち「私の批評」が川端康成文学賞。自分としては書き下ろしの「私の大江」が大変良かった。純文学作家の苦悩が(読者としては)とても面白い。 『生きる演技』もなかなか難解だったが今回も自省的で難しい。現実と虚構が入り混じるので私小説でもないのかどうなのか。 ご自身では謙遜されているが、大江平野系譜に連なる方なんだろうなと思っている。