西巷説百物語
12件の記録
𓇌𓅱𓇌@dccxxiv___2026年8月31日読み終わった再読鍛治が嬶 (船幽霊の後) 野狐 林蔵と又市が上方から姿を消してから十六年後 (帷子辻/天火の後) p.206 人は哀しくて哀しいと言う訳ではない。哀しくて泣く訳でもない。 人は、泣くことが出来るから哀しくなるのだ。哀しいと表現出来るから哀しくなれるのだ。 可笑しいから笑うのではない。 笑うことが出来るから可笑しく思えるのだ。 哀しいとか嬉しいとか楽しいとか苦しいとか、そうした感情は、内から湧き出るものではない。人と接することで、他人に対して表現することでやっと明らかになるものなのだ。 p.610 「此処がええのや。此処にはな」 お妙も居る。 一緒がええのやろ。 その方が淋しくないやろ。 あの世でゆっくり詫びたらええわ。 お妙は許してくれるやろう。優しい娘やったから。 此処で朽ちるとええ。わっしも一緒に朽ちるから。此処で一緒に朽ちるから。 朝日が差した。 みるみる明るくなる。 何てことはない。 陽光に照らしてみれば忌まわしき関寂野もーーー。 ただの野っ原だ。 p.611 大坂を出よう。 陽が昇るから化け物は退散だぜ。 林蔵は差し込む朝日を見詰めて。 眼を細めた。 朝の光は、少ォし眩し過ぎるで、 わっしは一人で向こうに行くわと言い残して、靄船の林蔵は踵を返し、果ての知れぬ荒野の果てのその先に向けて、一目散に駆け去った。これで終いの。 金毘羅さんやで。 ほな、さいなら。
mimitome@mimitome2026年1月31日読み終わった西ということで旅行先の京都で買い求めた(本当は大阪で買うべきだったけど)。最初のいくつかの話は京都のバーや喫茶店で読むことになり、物語と合わせて旅先での記憶と情景が残ったのは悪くない。2025もこれで終いの金比羅さんや、って感じの年末の京都であった。ベスト3は以下の通り。 3.野狐 巻末の作品なので集大成感があってよい。お馴染みの台詞が飛び出してきた時には感動した。ウルトラマンタロウの世界線にウルトラ兄弟が揃ったような全員集合感もぐっとくる。 2.豆狸 主人公めいた人物が一文字屋一派に最終的にしばかれるのが基本的な構造であったがこの話は違ったように思う。何だかじんわり胸があったかくなるような気持ちになった。京極さんらしくない最後の一行が実によい。 1. 鍛冶が嬶 八重大好きおじさんの狂気の話。愛し過ぎるとろくなことない。愛情も程々の良い塩梅がよいのだ。過ぎたるは及ばざるが如し。じゃないと嫌われちゃう。刀を研ぐ描写はすごいと思った。いつまでも残る。 素敵な友人から教えてもらった京極夏彦さんは百鬼夜行シリーズを読み終えて巷説シリーズもここまできてしまった。寂しいような気もするが最後まで楽しく読んでみたい。












