余生と厭世
10件の記録
ひなこ@hnk9272026年7月25日読み終わった再読@ 自宅大学生?社会人になりたて?くらいで買った本なんだけど、今思うと読んだ時期が早すぎではないかと思った。前読んだ時はなんか辛気臭いしよくわからない話だな、という感想を持った気がするが、いやいや大事なところが全然読めてないじゃん…! 著者が臨床心理士をやってるだけあって、本当に人の心の中を歩いているような読書体験だった。前半の世界は、凪のように平和で、自分の存在すら疑ってしまいそうな孤独な世界。後半はその世界に柔らかな光がかすかに差してきて、読後感は良い。特にケーキのくだりはとても泣きそうになった。ラストは幸福を予感させる幕切れで、オシャレすぎて悶えた。こういうオシャレさ、本当にフランス。 あなたは実在するんだね、と言えるなら言いたかった。あなたがピアノを弾く時、わたしは耳を傾けているよ、壁のすぐ向こうで。
okataro@okataro0072026年3月21日読み終わったデンマークの臨床心理士である著者が、孤独な老精神科医と患者をめぐる日常の変化を描いた作品だ。 毎日が延々と続くようでいて、残り時間は刻一刻と消えていく。70代の主人公は、自らが営む診療所を閉め、引退する決意を固めていた。しかしある日、新たな患者・ドイツ人女性のアガッツと出会うことで、平坦だった日常に変化が訪れる。 主人公は、アガッツに対してどんな感情を抱いたのだろうか。その解釈は読み手によって様々だ。私はある種のラブストーリーのようでもあり、同時に、彼が手放していた「もう一人の自分」をアガッツに重ね、対話を深めていたようにも思えた。 正直なところ、ラストシーンの行動は客観的に見ればストーキングそのものである。しかし、前を歩くアガッツを「先にある見えない恐怖」あるいは「先行する自分自身」だと捉えると、振り返った彼女に声をかけられるシーンは意味合いが変わってくる。主人公はようやくその恐怖から目を背けず、興味関心を持ってついていく決心をしたのだ。それがどのような結末に導くのかは書かれていないが、その余白がまた良い。 また、本の装丁からも日常の平坦さの中にある静かな葛藤を感じさせる。ザラついた紙質が、印字されている文字に独特の表情を持たせているのだ。シンプルでありながら、本の内容とリンクした優れた装丁だと感じた。








