若冲、川を下る
10件の記録
kohhee@kohhee2026年9月18日読み終わったタイトルや売り文句には疑問が残るが、内容としては真心のある散文だった。身も蓋もない言い方すると、方丈記の冒頭「行く川の流れは絶えずして〜」みたいな話。「リバー・ランズ・スルー・イット」。タイトルは『川は下る』とかのほうが内容には即している。 タイトルや帯の「若冲」は完全に売るための仕掛け。たしかに全体の3〜4割ほどは若冲に関する記述だが、この散文の真髄はそこになく、若冲は後景というか土台というかでしかない。 では前景に何が描かれているかというと、まあ多分「人は死ぬんだ」ということ。そしてむしろそれは作中で「事件」としてあつかわれている、トミオカさん、著者の父、秋野さんなどの死で描かれているのではない。 ボート部のOBたち、若き日の著者に若冲を見せてくれた人たち、父の友人など、死が描かれないけれどまあ常識的に考えればもう死んでるだろう人たち、著者に過去を語ってくれた人たちの描かれない死によってこそ描かかれている。 そしてその前景によって、後景の若冲も「歴史」から「過去」に変容する。歴史とは過去が化けてでた姿だったんだと気づくことになる。そして著者も読者もいつか過去になる。 著者の筆致はまったく仰々しさがなく、歴史を過去に置き換えるというこの散文の効果に一役かっている。歴史を人物を風景を、まさに素描のように淡々と、その巧みな粗密で描いていて、真味がある。


kohhee@kohhee2026年8月20日買った@ ジュンク堂書店 池袋本店1767年の画家と僧侶の旅と友情。と思ってめくってみたら、なんだかボート部の思い出話が始まった。私小説と歴史小説の混淆? でもなんか、歴史の人と死んだ人とこれから死ぬ人の話って雰囲気がして、なんとなく購入。


















