文化はいかに情動をつくるのかーー人と人のあいだの心理学
文化はいかに情動をつくるのかーー人と人のあいだの心理学
バチャ・メスキータ
唐澤真弓
高橋洋
紀伊國屋書店
2024年8月28日
15件の記録
こたつ@pgrpgar2026年1月12日読み終わった感想紹介日本では「水」と「お湯」を別の言葉で表現するのに対し、英語では「(hot)water」と同じ「water」で示すように、言語によって似た言葉の示す概念に差がある。 そうしたとき、自分の「怖い」とか「怒っている」とかいう身体的な感覚(情動)と言葉の概念の結びつきも、言語とか文化によって違ったりするのかな?と思って調べてみたら行き当たった一冊。 まずめちゃくちゃ面白かった。専門書っぽいが、筆者の実体験や実験協力者のエピソードを多く織り交ぜて説明されているので、心理学に明るくなくても「うんうん、そうだよね」と読み進められる。(翻訳書なので若干そういう読みづらさはあるが) 著者の考えは終始一貫して「情動(emotion)の種類や善し悪し、それを示すことによる目的などはその人の生活してきた文化によって異なる」という論。 読んでいくうちに「喜び」「怒り」「悲しみ」「驚き」みたいないくつかの基本感情は人類共通に持っているとか、情動は自分の内側から外に示すものとか、愛や幸福や自尊心は何よりも善いもの、怒りは悪いものとかという先入観が崩され、いかに自分のフィルターを通してしか相手を理解しようとしてこなかったかを思い知らされた。洋画や洋書における会話を読んでいるとき「そんなわざとらしく褒めたりする?」とか「みんなすぐ怒りすぎでは?」とか常に若干の違和感があった理由もわかった。 同時に、これまでの各人の置かれた文化によって情動のあり方が異なるのであれば、いきなり欧米でうまくいっているからといって同じ交渉術とか教育論とかコーチングをそのまま持ち込んでも上手くいくわけないとも思った。本書の表現を借りれば、今までワルツを踊っていた人たちのところで、いきなりタンゴを踊り始めたり、サンバの音楽を流すようなものだからだ。新しいことを取り入れるのは必要だが、先にある文化にどう馴染ませていくかが大事なのではないか。 人も同じことだ。日本においても外国人の受け入れが進んでおり、「ダイバーシティ」とか「インクルージョン」とかいう言葉が盛んに取り上げられるようになった。外国人に限らず、日本人同士でも、その人の持つさまざまな背景によって感情のあり方やコミュニケーションの取り方は変わってくる。その人の背景によって感情のあり方が違うとなると、もう相互理解は絶望的なように思えるかもしれないけれど(筆者もその恐れについては本書で言及している)、こうした壁の乗り越え方も本書はちゃんと示している。 これからの人間関係や社会のあり方を考える上で、多くの人に読んでほしい一冊。何度も読み直したい。

こたつ@pgrpgar2026年1月9日読んでるマジで面白いぞこの本… 「喜怒哀楽みたいな感情の種類は万国共通でしょ?」みたいな前提条件がぶっ壊されるので、教育とか社会の見え方が変わってくる。図書館で借りたけど自費購入を考えている。 読み終わったら感想書く

ジクロロ@jirowcrew2025年10月15日ちょっと開いた「より「自然な」情動などというものは存在しない。普遍的に正しい情動も、普遍的に間違った情動も存在しない。存在するのは、特定の文脈や基準に照らして正しかったり間違っていたりする情動だけだ。だからあなたの情動が何をなし遂げようとしているのか、そしてそれが相手の情動が導こうとしている方向といかに異なっているのかを自問してみよう。」
高尾清貴@kiyotakao2025年4月6日読み終わったインサイド・ヘッドをもっと深く楽しめるようになる本。 一言で言えば、「情動は世界共通のものではない」という帯の一言がサマリーになるけど、それを裏付ける豊富な具体的なケースにとても価値のある本。 以下、引用。 『しかし、このような頭部に宿る情動のこびとたちというアイデアは、はたして妥当なのだろうか? 私は本章で、情動概念を理解するためのまったく新たな方法を提示した。これはOURS型情動モデルにきわめて近いものだ。情動概念とは、私たちが直接、もしくは観察を通して経験してきた文化的なエピソードの組み合わせを意味し、情動カテゴリーに関する文化的な伝承によって補完される。』
こまきさん@komaki06091900年1月1日読み終わった@ 自宅情動とは何か。ハワイ語には「悲しい」にあたる言葉がないと。 私たちが紡ぐ「愛」と他国のそれが及ぶ言葉の範囲が違うらしい。 情動は言葉ではなく、文化の中で蓄積されてきたコミュニケーションの在り方だというのはとても面白い。














