かかとを失くして 三人関係 文字移植

3件の記録
- ishiguro_reads@ishiguro_reads2025年2月28日読み終わったマイルドにしたデヴィッド=リンチ映画とでもいうような、困惑と不協和音を読書中に感じる。 翻訳者である〈わたし〉が主人公となり、旅行中の自身の生活の描写と翻訳文が交互に繰り返される。なめらかに翻訳することは、文章の意味を伝えても単語の手触りを削ぎ落としてしまう。彼女は全体のことを考える余裕などなく、単語ごとに逐語訳する。旅行先のひととの会話もお互いの間にある透明な衝立に向かって壁打ちをしているようだ。 文章ではなく単語を、意味ではなく手触りを伝えるのも、たしかにコミュニケーションには違いないのだろう。