反解釈 (ちくま学芸文庫 ソ 1-1)

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- ishiguro_reads@ishiguro_reads2024年11月3日読み終わった良い。 内容ではなく形式を、意味ではなく構造を、という「反解釈」が書かれたのが1964年であることは、そのあまりの現代性に感嘆する。 千葉雅也の『センスの哲学』は、これに呼応して、その具体的な手つきを示した本と捉えることができる。 本書の中に含まれている〈キャンプ〉についてのノートもとても良い。キャンプとは、大げさに誇張された振る舞いや、過度に装飾の多いけばけばしいファッションなどを意味する。また、わざとらしさ・俗っぽさ・泥臭さを意識的に活かした芸術表現もこう呼ぶ。 設計者はしばしば、装飾を評価する言葉を持っていない。「趣味」とされるような非意味的な意匠は尚のことである。世俗的に流行するある感覚を、反解釈的に設計に取り込むことはとても刺激的だろう。具象的なモチーフを用いることも肯定する手立てになる。 本書で評されるゴダールの「女と男のいる舗道」は大好きな作品だが、反解釈的証言に触れてから観ると、さらに味わうことができそうだ。