君が見たのは誰の夢? Whose Dream Did You See?
15件の記録
- @sotaono2026年7月31日p9 「イメージというのは人それぞれだから、どのように捻じ曲げて思い描いても、本人がこっそりリアルを修正して帳尻を合わせているのだ。」 p10 「誰もが知っている「世界」は、今ではほとんど眠っているような大人しい生き物になってしまった。冷凍されてはいないけれど、単に「生きている」だけの価値しか残されていない。」 p14 「「誰?誰かしら。誰のことでしょうね。私は存じません。ちゃんと打ち明けたの?だから、眠れるようになったんでしょう?」」 p20 「「羨ましい。結婚したって噂だけれど、本当か?」シマモトは突然質問してきた。狙っていたようなタイミングだ。」 p21 「「ところでさ。」僕は座ったままで、彼に尋ねた、「月はいくつある?」」 p23 「こういうのは、個人的短時間ヴァーチャルというのだろう。」 p24 「「まあ、寝ている時間が、たまたまリアルの夜ですからね。でも、夜行性の動物だったら、逆になる。生き物にとっては睡眠が主活動かもしれない。いや、そもそも生きている間が夜で、死んでいるのが安定した状態なんだから……。動物って苦し紛れで動く、死にたくないから動くし、生き延びたいから子孫を増やしてきた。」」 p25 「「先生と、このようなお話ができる時間を、私は大切に感じております。もう少しだけフランクに言いますと、このような時間が好きです。」」 p25 「彼女が深海から戻ってきた当時に比べて、格段に人間らしくなっている。恐ろしいほどの成長と言わざるをえない。なにもかもが自然になり、ほとんど人間そのもの。しかも、この上なく賢明で、天才で、善良で誠実な人格なのだ。もう人間の出る幕ではない、という言葉しか思いつけない。」 p26 「ケン・ヨウは、ドイツで遺体が発見された解析技師のクラーラ・オーベルマイヤの友人であり、世界を騒然とさせたセンタメリカの騒動の重要な関係者と見られている。クラーラもケンも、今はヴァーチャルで生きているのだろう。この世から足を洗った、というわけだ。」 p30 「「ところで、月はいくつある?」」 p31 「「しました。最近、よく夢を見るって。」「あ、そうなんだ……。実は、私もだよ。」」 p37 「クラリスというのは、トランスファである。ネットワーク上のあらゆる機器に分散して活動する人工知能だ。僕の頭脳に直接話しかけることができ、しかも有用な情報をもたらしてくれる信頼できる仲間といえる。実は、今ここにいる。路地への僕の発言を聞いて、自重してくれた。」 p37 「「もしかして、アネバネ?」」 p37 「「いいえ、ペネラピです。」彼女は答える。実は彼女ではなく、彼なのだが、もうどちらでも良いくらい、記憶は徐々に改竄されてきた。」 p38 「そうだ、チェスは強い。」 p39 「「グアト、起きていますか?」優しい女性の声が聞こえた。夢を見ているのか、と思ってしまったが、クラリスの声だった。」 p44 「カンマパは相変わらずで、神の使いのように凛とした姿勢だった。」 p51 「「ロジの姉です。」」 p55 「「スズコといいます。よろしく……。」恐ろしいほどの笑顔である。彼女の顔をじっくりと見た。つまり、ウグイ・スズコということか。そういえば、口もとは路地に似ているような気もする。」 p55 「「呼び出されたのですよ、この子から。」「この子。」思わず復唱してしまい、ロジの顔を見た。横目でこちらを睨まれる。」 p57 「「仲が良いこと。」」 p57 「「お姉さん?」ロジがこちらを向く。「それって、ジョークですか?違います。私の母です。どうかよろしく!」」 p63 「「スズコさんがウイルスの専門家だからです。」「え?ああ、彼女は医師なの?」「いいえ、研究者です。日本では、新種ウイルスの第一人者といわれる方です。」」 p63 「「でも、ピアニストかと思ったんだ。なんか、指が長い手をされていたから。」「その観察眼には感服いたしました。」オーロラが微笑んだ。「彼女は、一流のピアニストとしても有名です。」「あ、そう……、そうなんだ。ピアノって、うんあの、楽器のピアノだよね?」「ほかに、どのようなピアノをご存知なのでしょうか?」」 p64 「スズコとランチの約束をした。メッセージを送ったら、「嬉しい!」と即座にリプラィがあったからだ。」 p69 「スズコは微笑んだ。そういえば、その唇の形がロジに似ている、と気づいた。」 p70 「ピアノの話をしようと考えていた。実は今でも楽器職人だとも、最後まで言い出せなかった。」 p71 「セレナードのようだけれど聴き覚えはない。鍵盤の上でしなやかに踊る彼女の指をしばらく眺めていた。「月が、ご覧になれますよ。」こちらを見ずに彼女が言った。「月は、望遠鏡がなくても見られると思いますが。」「地球の月はね。」」 p74 「月が二つある惑星といえば、火星である。比較的地球に近い。名前を知っているはずだが、どうしても思い出せなかった。」 p74 「もともと僕は、この一人の環境、つまり孤独を愛していた。他者に関わらない生活が長かったし、それが自分の自由の根源だとさえ考えて生きてきた。それが、ロジに出逢って、情報局で働くようになり、この歳になって大きく人生の進路が変わってしまった。」 p77 「濃厚接触と言いたげだったが、表情は変わらなかった。」 p78 「だが、そもそもバランスを取るために存在するようなもの、バランスを取るために生まれるようなものは、この世に存在しないのだ。」 p82 「「最近、夢を見ない?」」 p84 「「ねえ、一緒にキョートへ行きましょう。」」 p84 「「虎穴に入らずんば虎子を得ず。」「虎子かぁ……。この場合、何が得られる?」「相手の目的がわかると思います。このウイルスに関係するようなことかもしれません。実は、少しだけ疑っていること、というか、ある仮説を私は持っています。」「どんな仮説?」「うふふ。」ロジはにっこりと笑顔になった。「何?うふふって……。びっくりしたぁ。どうしたの?なんか、人格が変わっていない?」「そう?薬のせいかしら。」普段見られない可愛らしい仕草だったので、あえて追求しなかった。そのうち、その仮説を教えてもらいたいものだ。」 p87 「ちなみに、ロジから聞き出した情報では、スズコのパートナ、すなわちロジの父親はアメリカにいて健在。二人は正式には結婚をしていない、とのことだったので、スズコの姓はウグイではなく、ムグルマというらしい。」 p91 「「なるほど、そういうところが良いのね。」」 p91 「「確信できなくても、予測できます。濃厚接触しているのですから、一番に疑われます。」「そうぁ……。」「ぼんやりしている部分との落差が激しい。」「え?」「寒暖差が激しいと、作物は有利なんですよ。植物が比較的よく育ちます。」「は?」「痺れるんでしょうね。」」 p93 「どのような経緯で現在の人格が出来上がったのか、と説明することは、たとえ本人でも不可能なのだ。また、仮に説明できるものだとしても、現在の自分の持っている価値、つまり能力的なポテンシャルに影響はしない。相手にどう認識されようと、自分は自分でしかない。」 p99 「「マガタ・シキのものといわれているブロックのケースもですか?」」 p108 「「それも、正しいと思います。」「そう、間違ってはいない。うん、でもね、正しくしたいとか、間違いたくないとか、そんなことはどうでも良いんだね、この際。」「何が大事なのでしょうか?」いや、それがわからない。」僕は微笑んだ。「自分を納得させることは難しいね。」」 p109 「「フスが、新細胞、新臓器について発表したようです。臨時ニュースが流れています。」クラリスが教えてくれた。」 p109 「この細胞の名称は、ニュータイプではなく、「ラストタイプ」と命名された。」 p114 「「ところで、冒険の夢を見るとお話になっていましたね。」」 p115 「「実は、マガタ博士から、共通思考について説明を受けたことがあります。もうずっと昔のことですが。」」 p116 「「それは、人々が見る夢の集合であって、無数の夢が混ざり合う体験だそうです。」オーロラは続ける。「そう聞きまして、私は、そもそも夢というものを体験したことがなく、マガタ博士に、夢とは何か、と質問しました。博士のお答えは、夢とは人格の再生です、というものでした。」」 p116 「「前者だと思われます。後者であれば、定見の再生であり、人格の再生とはいえません。夢を見る体験とは、新たな人格が生まれる現象であり、夢を見るごとに、自分が増えていくのだ、と博士はおっしゃいました。共通思考は、そのようにして、人を生み出し、思考をも創出し、思考しyぁ会を形成するものだそうです。」」 p117 「「夢を見ることが、新たな人格を形成する、これがすなわち、生産なのではないでしょうか?」」 p117 「「凄いというのか、何だろう?もっと、極めつけといっても良いね。信じられない。そうかぁ、それは、ちょっと、思いつかなかった。もしかして、人間の頭脳って、一人では窮屈で、別の人格を作りたいという欲求を持っているのかな。もっと自分がコントロールできる人格を生み出したい、という欲求。それがあるから、夢を見るのか。たしかに、エネルギィ的に無駄なことをしている。休めば良いのに、夢を創出しているわけだから……。」」 p119 「「大変です。国立博物館から、ケン・ヨウ氏の遺体が盗まれました。」」 p125 「「私の友人であるトランスファに、ここに入る許可を与えてほしいのです。」」 p126 「「たった今、ドクタ・マガタからメッセージが届きました。グアトにも届いていますか?」」 p128 「「お会いできることを嬉しく思います。」」 p131 「「貴方は、一人ですか?」」 p131 「「いいえ、貴方が何人いるのか、ときいています。」」 p158 「「助けにきます。もう少し我慢して下さい。」という女性の声だった。」 p158 「「クラリスが来た。」僕は、ロジの耳もとで囁いた。ロジの瞳が素早く僕を捉える。でも、声には出さなかった。オーロラが、この場所を発見したのだろう。」 p161 「「お見事です。」クラリスが言った。」 p174 「「子供の精神は、親の頭脳から作られるものではありません。」」 p175 「「何が面白いのですか?」ロジとクラリスが、同時に同じセリフを発した。」 p177 「「王子はそれで死んだわけではない。殺されたんだ。」」 p181 「「マガタ博士が、グアトさん、ロジさんと会ってお話がしたい、と伝えてきました。ただ、情報局には知られたくない、とのこと。」」 o189 「したがって、クジ・マサヤマとマガタ・シキは、血のつながったそれぞれの子孫の生態から、一人の人間を合成して生き返らせた。人類の歴史において、これは空前絶後の実験だったはずである。」 p189 「マガタ・シキは、一度だけ出産をしたという。それがミチルだった。ミチルは若くして亡くなったが、マガタは、その細胞を保存し、未来に希望をつないだ。いずれ、人間の再生が可能になることを確信していたからだ。」 p190 「彼女の最大の能力は、技術に対する先見性だといわれている。しかし、その意見は、見る角度が少しずれているのではないか。マガタは、未来を予測したのではない。彼女が未来を作ったのだ。だから、彼女が予測したとおりになるのは、むしろ当然のことだった。」 p190 「「ウイルスです。」スタッフが答える。」 p191 「「今回のウイルスに、クジ博士やマガタ博士が関係している。なんらかの情報を持っているはずだ、といえる。」」 p192 「「あのスタッフは、誰なんです?」「オーロラだろう、きっと。」「その可能性が、かぎりなく百パーセント。」クラリスが言った。」 p192 「この二人が、いつか喧嘩をしそうな気がして、憂鬱になる。」 p194 「どこから現れたのか、白いドレスに大きな帽子を被ったマガタ・シキが現れた。」 p194 「「お久しぶりですね。」彼女の赤い口が微笑んだ。青い目はロジへ移る。「偽物のマガタ・シキに会われたのね。私も見たかった。ご無事でなにより。」」 p194 「「多くの指導者たちは、人類が永年存続することを願い、また、人々にその実現を約束してきました。しかし、何故存続するのか、人類の存続にはどのような価値があるのか、という点を説明した者はおりませんでした。何故でしょうか?」」 p195 「「簡単なことです。生きることに価値があるのではなく、考えることに価値がある、との認識に立脚すれば、すべての矛盾はなくなります。ヴァーチャルで生きようとしている人たちは、生きようとしているのではなく、考えようとしています。そうではありませんか?」」 p196 「「現在は、生きることは、一つの選択肢になりましたね。」マガタは微笑んだ。「二百年まえから、私はそのように、命というものを理解しております。あるときには、生きることが、その人格にとって足枷となり、また間違った思想を導く結果となりました。そう言った残念なケースを幾つも観察してきました。人間の虚しさとは、結局はその命にある。生きているから、これほど虚しい存在なのか、と感じてきました。」」 p198 「「私が決めることではありません。共通思考が、自ら判断します。」」 p198 「「貴女に、聞いてもらいたかった。」マガタは即答した。「命への拘りは、けっして悪いことではありません。えてして、それが重荷になるというだけ。重荷を背負うことは、誇り高い生き方ともいえましょう。」」 p198 「「共通思考を体験できませんか?」」 p198 「「できます。」マガタは、即答した。「よく、それを思いつきましたね。ヴァーチャルでは現在は入れません。私のところへいらっしゃれば、試すことができます。」」 p199 「「そのお話ですか……。」マガタは、目を大きくした。楽しそうな表情に見えた。「私が持っている、所有しているというわけではありません。その二人は生きています。いずれも、私の身近で生活しています。ここへ呼びましょうか?」」 p201 「「グアトさん、ロジさん、はじめまして。私は、ジュラ・スホです。」右の少年が名乗った。高い声だが、響くようなトーンで、美しい楽器のように感じられた。」 p202 「「僕は、ミチルといいます。」もう一人が名乗った。ファーストネームだけだった。少年に見えたが、その声は高く、少女かもしれない、と思えた。」 p202 「「マガタ博士と一緒に暮らしているの?」ロジが尋ねた。「はい。」王子が答える。「ミチルも一緒です。」」 p202 「「では、また、お会いしましょう。」マガタ・シキの声だけが聞こえる。「貴方は、興味深い人。きっと私になるでしょう。あなたは、私でもあるのよ。」」 p203 「そう、いろいろな対象について、人間はあまりにも脆すぎるのだ。」 p204 「「キョートでマガタ博士に会ったとき、月が綺麗だったね。」」 p210 「連想されるのは、初めてマガタ・シキが現れたときである。それは、神が姿を見せるようなショッキングな体験といっても良い。たとえるなら、自分の前に、自分が現れるような場面ともいえる。」 p210 「「あなたは私になる」といった現象も、簡単に起こりうる。それどころか、「私は誰にでもなれる」のである。すなわち、個人という存在が曖昧になり、人々が液体のように混ざりあって、多少の濃淡が分布するだけの溶液になるのか。共通思考というのは、人々を混ぜ合わせる器?」 p214 「マガタ・シキは二百年以上も生きている。」 p214 「マガタ・シキの研究に浸水し、伝説の天才を招き、研究を進め、夢を実現しようとした科学者たちは、現在も彼女の周囲に大勢いることだろう。」 p215 「たとえば、最も近いのは、夢だろう。」 p215 「人間は夢を見る。何故、こんな無駄なことをするのか、と不思議な現象である。夢は、個人の人生にはほとんど干渉しない。夢が社会を変えることはない。だが、そのレベルが少しずつ増して、夢で見たことが、個人の思考に少しずつ、知らず知らずに干渉し、影響を及ぼすようになるとしたら、どのような社会になるだろうか。そして、夢が思考に干渉するのと同様に、思考が夢に干渉する。すなわち、個人の思考によって、その集合によって、夢が少しずつ形を変え、作り直されていくとしたら……。そのシステムは、ぞっとするほど素晴らしく、美しく、そして恐ろしいし、その仕組みは、塑像を絶する複雑さの上に成り立っているはず。」 p216 「マガタ・シキの思考のスパンは、きっと宇宙的な未来を指向しているのだろう。」 p216 「これも、初めから予測されていたことだろう。マガタ・シキのデザインの一環であった、といえる。」 p217 「悪い方向へ移行する危険も、幾度かあったはずだ。関わっている者の私利私欲と結びつくようなズレである。だが、マガタ・シキという理想のシンボルが、それを防いだといわれている。」 p218 「「そのとおりです。しかし、トランスファは、マガタ博士の作られたプログラムを起源とし発展したものであり、すべてのトランスファが、マガタ博士に恩義があります。」」 p218 「「失礼ながら、それは愚問です。私は、貴方に、友情を抱いています。」」 p220 「ドイツのヴォッシュ博士が、その年代だ。そして、マガタ・シキとの邂逅を自身の人生のエポックだった、と語っていた。」 p221 「日本のマガタ・シキではなく、世界のマガタ・シキになってしまったことに、日本人の多くは、少なからず傷ついているのだ。」 p227 「「こんにちは、私はロイディといいます。マガタ・シキ博士のところへご案内するために参りました。」」 p230 「もう覚悟を決めたのだろう。角度というのは、自分の境遇を客観的に理解したときに生じる心理だ。」 p232 「「信じていただけたようですね。」マガタ・シキは微笑んだ。そして、少し上を向き、「ロイディ、どうもありがとう。」と言った。」 p232 「「私の方がさきに、ここに建物を造りました。」マガタは言った。「どういうわけか、後から、いろいろな方たちが上の方をお使いになっているようですね。」」 p233 「「いいえ。私は、生活というものをしたことがないの。」」 p233 「この人物は、人間だろうか。生きているのか?しかし、ロイディよりは人間らしい。話す言葉、表情や仕草にも、不自然さはまったくなかった。落ち着いていて、二百数十年生きてきたと納得してしまう不思議な貫禄があった。ただ、目の前に見えているものは、老婆ではない。青い目、長い黒髪、赤い唇、露出しているのは、顔と両手のみ、あとは白いドレスに包まれているが、長身で痩せている。若くはないけれど、年寄りにも見えない。絵画か彫刻のように、姿勢は均整が取れている。膝の上に置かれた手と指を、僕は見ていた。指輪などはない。ネックレスもブレスレットもない。ただ、頭上に細いリングをつけていて、光を反射するのか、ときどき輝いた。まるで王冠のようだ。ファッションは、古代の様式に見える。博士というよりは女王に相応しい。」 p237 「「無駄なエネルギィ損失が気になるだけです。」マガタは、クッションにもたれ、脚を組んだ。「協力というほどのものではありません。」」 p238 「「大勢に夢を見させるのですか?」マガタ・シキは、僕を見て、微笑んだ。言葉はしばらく出なかった。」 p238 「「はい。」マガタ・シキは頷いた。僕の躰は震えた。寒気が全身を襲った。ここへ、この返事を聞きに来たのだ。そして、期待どおり、思ったとおりの返答だった。確信していたものの、やはり、本人に確認するのが筋であるし、また、自分の中でも、自信が持てない僅かな迷いがあった。それが、今、取り払われた。」 p238 「「そうですか・ありがとうございます。」僕は頭を下げた。「世界は変わりますね。」「変えなければなりません。」マガタ・シキは言った。「え、何故ですか?」「私たち人類は、生きているからです。」「生きているから?」「私たちは、何者でしょうか?どこから来て、どこへ行くのでしょうか?」微笑みをたたえながら、彼女は話した。片手をそっと持ち上げ、指が流れる空気を掴む。「その答を皆さん、あなたも、私も、考えて、問い、答える、一緒に、ずっと、いつまでも、そして、これが生きることなのだと、やっとわかるかもしれない。今まで、なにもかもが、わからなかった。今も、わからないことばかり。でも、考えている。そうでしょう?」」 p245 「「アーカイブのシステムの内部に、初期から含まれていた。つまり、トロジャン・ホースである可能性が十パーセントほどです。」」 p248 「「とにかく、知りたかったら、自分で調べること。」僕は、親友にアドバイスした。」 p252 「「老化?歳をとるってこと?」」 p259 「隠しごとはストレスになる。なんでもすぐに伝えた方が、あとあと悪い事態を避けられる。」 p260 「一人のときと二人のときでは、食べるもの、食べる方法も、違いがある。つまり、時間の消費のし方が違ってくる、ということだろう。」 p260 「一緒に暮らすようになって、それまで体験したことのない場面に遭遇し、それまで考えたこともなかった他者の気持ちを察するようになった。ようやくこの歳になって学習した、といえるだろう。」 p261 「つまり、一つに決めて選択することで生まれる価値も、たぶんあるだろう。そんな気がする。」 p263 「クラリスも、それに関する研究結果を調べ、確率的に七十五パーセントだと演算した。アミラも、ほぼ同じ数字を出しているらしい。オーロラに尋ねたが、彼女は答えなかった。「ノーコメントです。」と言った。僕たちに気遣っているようだ。」 p265 「「お弁当を食べましょう。」」 p267 「「子供ができました。」」 p267 「「私の子供です。」僕は言葉が出なかった。息を十秒くらい止めていただろう。それから、呼吸を再開し、次に頭の中で、花火が光ったような気がした。」 p268 「「日本で産みました。会いに行きますか?」」 p271 「日本にいる我が子には、まだリアルで会いにいっていない。なにしろ、あと数ヶ月は、羊水カプセルの中なので、見るだけで触れることもできない。ヴァーチャルで毎日確認しているけれど、正直なところ、まだ実感は湧かない。このままだったらどうしよう、と不安になるほどだ。」 p271 「まだ目を開けていないその子は、未来の夢を見ているのだろうか。」 p272 「つまり、スズコもロジも、最初からこのウイルスを保有することの意味を知っていたのだ。それは、人類が本来持っていたものを発現する。」 p274 「人間は、とにかく自分のやり方に拘り、自分の立場に固執する。このしつこさによって、適切な判断がワンテンポ遅れる、ということか。」 p275 「ロジは、子供をどう育てようか、とのプランにいついて、僕と議論したがっている。」 p275 「順調に成長しているので、あと少しで、この手に抱くことができ、そのうち、自宅へ迎えることになるだろう。」 p275 「何事も、思いついてことをすぐに言葉にしないほうが賢明だ。それくらいは、学んでいるのだ。」 p275 「このウイルスは、人間に夢を見させる機能があるのだろうか。」 p277 「「理解できません。」「自分でも理解できないよ。」「すべてが理解できるというわけではありません。」」 p277 「「おめでとうございます。」」
noirlog@noirlog2026年2月13日読み終わった今回は戦争がなくてだいぶわかりやすい話だった。 読んでる途中は、これコロナ禍に書かれたのか?って思いながら読んでたけど、読み終わってみると全然今までの流れの中の事件だった。 200年経ってもあまりにも愚かすぎる企業はあるみたい。 家族のつながりが薄くなるのは個々が自由だってことでもあると思うけど、本当にここまで薄くなるんだろうか。 出産の苦しみはほぼなさそうで、保育器の中で赤ちゃんが育つのを待つし、育児もロボットがやるみたい。 ほぼ永遠に生きるんだから、恋人とずっと一緒にいる訳じゃない。子どもも、関係が薄い。宗教もない。 拠り所がない時代になっていると思う。 ◯◯のために頑張ろうとか、生きようみたいなものがなくて、自分一人で立って生きる時代、という感じ。 というか、もう永遠に生きるんだから、何のために生きるとか、そんな事考えずにただただ生きてる、っていうイメージ。 キョートの話が進んでくれている。 私はあなたです、っていう発言が今回怖かったんだけど、さらりと流された。
もみの木@mominoki2025年11月25日懐かしいメンバーが登場して嬉しい。ただ出てきただけで、詳しいことは分からなかったけど、元気そうで良かった。語りすぎず、読者に想像させるような 余白のある感じもいいね。
朝胡@asahisa222025年4月20日読み終わった@ 自宅あまりにも、惚気回だった。Wシリーズの時から考えても、一番ずっと惚気回だったぞ。 いや、それも衝撃だったけど、いつもと違う構図にも展開される出来事も新鮮で面白かったな。大分WWシリーズの佳境な気がする

もち@noro_302025年4月11日読み終わったシリーズ7作目。 "覚悟というのは、 自分の境遇を客観的に 理解したときに生じる心理だ。" 昔から、森博嗣に 言葉の意味を習ってる みたいなところがあるな。






