文と本と旅と
13件の記録
torajiro@torajiro2025年10月25日読み終わった私小説家上林暁の随筆集。上林暁氏のことは作品も読んだこともなく、お名前も存じ上げなかったのだけど、古書店で偶然見かけてなんとなく惹かれて購入したものだったのですが、良かった。「文」「本」「旅」「酒」「人」にまつわる文章が選ばれたもの。小説家デビューする以前に文芸誌の編集者だったという経歴を持っていらっしゃり、大正から昭和前半の文壇の交流の様子が随所に描かれていて楽しかった。手元の初版本の帯には「じっくり噛み締めれば味が出る」という言葉が付されていて、確かにめちゃくちゃに感情を動かしてくる文章というのでは全然なくて、じっくり味わって読みやすい文章なのでふむふむと読み進めていたら、これは本人の自分の文章への評価で、編集も経験した人で私小説家としてどこか自分だけでなく自分の文章も俯瞰するような感じがあったのかなと味わいました。氏が『改造』編集記者時代に作家の元に原稿を取りに行ったという作品がたまたま我が家の積読にあったので次はその本を読もうと思います。










