普通の底

普通の底
普通の底
月村了衛
講談社
2025年4月23日
10件の記録
  • yomitaos
    yomitaos
    @chsy7188
    2025年6月9日
    凶悪犯罪が起こると、犯人がいかに人外的な思想を持つ悪人であるかが強調され、我々「普通の人」とは別の世界に住む異界の生物であることが語られる。 それは「普通の人」である我々は、けっしてそうはならないから安心だよね、というメッセージングでもある。分断してしまうことで、逆に安心してしまう、そんなエンタメをメディアは提供してくれる。 凶悪犯だからそこには明確な悪意や思想・怨恨があるだろう。そんな物語を、我々「普通の人」は求めてしまう。なぜなら、我々にはそんな物語がないのだから、凶悪犯にはなり得ないと思えるから。 この本で語られる川辺優人という人物の物語は、有り体に言って普通である。2025年という時代から見ると、どちらかと言えば恵まれた人生を送っている。たしかに主体性がなく、選ぶべきでない選択をなし崩しに選んでしまっている面はあるが、それほど珍しいというわけでもない、この希望のない時代に合った人間だと思う。 彼自身が独白しているとおり、その言葉はとても薄っぺらい。恨みも厭世観も、怒りも哀しみも、すべてが薄っぺらい。しかし、意図せず罪を犯してしまう人間は、大抵こんな薄っぺらい理由で道を踏み外してしまうのではないか。きっと自分が罪を犯してしまうときも、こんな薄っぺらい理由なんだろう。読後しばらく、暗澹たる気持ちになった。
  • ひろるり
    ひろるり
    @hiroruri
    2025年6月9日
  • だまや
    だまや
    @bunko_ymd
    2025年5月23日
  • もる
    もる
    @moru_book
    2025年5月15日
  • それが生き残るための第一条件だと信じ込んで「普通であること」を追い続けたある青年の手記。そうなっているから、周りもそうだから、というだけでいとも容易く剥がされてしまう倫理、その暴走の果てに──。うまくやっていると思っているときすでに、底への転落は始まっているのかもしれない。
  • ソナチネ
    ソナチネ
    @sonatine
    2025年5月8日
  • yt
    yt
    @yt
    2025年4月26日
    人間に失格なんてない。 ただ普通になりたかっただけなのに。 普通なんてなかった。 薄っぺらいとしか表現できない今を、小説に証言させている。 親ガチャも、中受も、トー横も、闇バイトも。 ラストの覚書も上手いとしか言いようがない。
  • 木村久佳
    木村久佳
    @kuCCakimura
    2025年4月22日
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