普通の底
33件の記録
- 丸天斎藤@marutensite882026年3月19日読み始めた読み終わった常に周りの目を気にしながら「普通」から落ちる若者の気持ちを手記という文章で伝えるちょっと変わった小説。 なんでこの主人公はこんなに自分がないんだろうという小さな違和感がトー横、最後の闇バイトにいつの間にかつながっていって、安定した社会のなかに紙一重で隔てられている闇が活写されている。
てのひら@back_patting2026年3月8日読み終わった主人公自身が犯罪に至る経緯と半生を手紙という形で読ませるフィクション。一度か二度の関わりがあった程度の人間にこれまで積み上げたものや未来を奪われるはめになるのが怖かった。途中から実話か?と思わせるリアリティ。奪われないために他者から奪うのは論外ではあるが、社会が悪いのも確か。落とし穴から逃げたとて、心身を損なう可能性もあるだろうし、基を正さなければ救えるものも救えない。
あんこちゃん@anko2026年1月17日読み終わった借りてきた久々に強烈な読後感。黄色い家のように生育環境や本人がそこまで異常だったわけではないのに一つ踏み外した先の闇が深すぎる。 主人公のことを他人事に全く感じられなかった。というかたまたま落ちていないだけで、自分がとろうとしてきた姿勢はほぼ同じだった。一冊の本で与えられる衝撃カンストしてる。









みーる@Lt0616pv2025年11月25日買った読み終わったあまり期待をせずに読んだが、それなりに楽しめた。川辺優人の人生を川辺からの手紙という形で追っていく。物語の結びではジャーナリストの松井による覚書で川辺という人物像を分析している。本作の解説代わりにもなっている。 この松井の覚書は非常に濃厚であり、ここから読んでも楽しめる。 川辺はきっとどこにでもいる「普通」の人間。波風を立てず敷かれたレールの中で恵まれた人生を送りたい。川辺の行動原理は理解できる。 世渡り上手だと思った。しかし、その行動の根底に潜むのは「他者との比較」。人は誰しも誰かと比べて生きているが、川辺の場合は「周りと比べていいかどうか」が芯となっている。現に川辺は良い大学、良い会社としきりに言う。「そこに行きたい」思いではなく、「そこだと見栄や体裁がいい」評価で動く。「自分が悪いのでしょうか?」と川辺はよく言っていた。川辺の決断には心からの思いや覚悟がない。最善の選択をしようとするからうまくいかなかったとき、誰かや社会のせいにする。川辺は決まって菊地や高井戸の誘いを断り切れない。波風を立てずに迎合した結果、最悪の未来が来る。それをまた他者のせいにする。ただ、自分も川辺のような立場になればそうではないとは言い切れない。 松井の覚書にあった「臆病な優越感」という言葉は、まさに川辺の人物像を言い表していると思う。結局は優越感なのだ。他者より優れていると実感することが生きる源。しかし、挑戦や冒険などは決してしない。 現代は「他者の動向がはっきりと見えすぎてしまう時代」だと思う。他者や社会への解像度が高すぎる。昔は社会そのものがぼんやりとした雰囲気を作っていた。周りもある程度同じような選択をして同じような生き方をする。本当の意味で自分だけの決断や選択はなかったように思う。コミュニティが限られており、いい意味で狭い世界に生きていた。それがしんどい人もいたとは思うが、今はその何倍もしんどいと思う。いろんな人とつながれると言うことは、つまりいろんな人と比べてしまうことになる。「多様性だ」と言われて決断を強いられる。ネットで同年代の活躍を見てしまい焦る。選択肢が矢継ぎ早に流れ込んでくる。自由が故に逆に決断ができない。おまけに生成AIの進化で「考える」という過程が抜け落ちた。考えなくてもいい、でも馬鹿にはされたくない、みんなよりもほんの少しでいいから上にいたい。そういう若者が「闇バイト」に「考えることなく」染まっていくのではないだろうか。川辺はまさに現代の若者をトレースしたような存在であった。本当の意味で川辺は悪くない。運が悪かっただけ。川辺は時代の被害者だと思う。でも、否応なしに川辺のような若者が溢れかえる時代がやってくる。今関わっている子供たちだけでも幸せ感じながら生きられるよう、願うしかないのだろうか。本当に考えさせられる作品だった。
n7se@RN_872025年9月10日読み終わった装丁がいけてたのと、タイトルと帯に惹かれて買ったやつ。買わなきゃ良かったと思うくらい、グロテスク。直接的なグロ表現ではないが、現代社会にはびこる潜在的な社会問題と悪意と、様々な要因で余裕を失い視野が狭くなると共に堕落していく精神に対する解像度があまりにも高く、ただ「普通」に生きたかった主人公に、どうすれば普通に生きれたのか教えてくれよ、普通に生活してたのに普通じゃいられなかったけど…と手紙を通じてずっと問いかけられている気がして苦しかった。三通の手紙だけで進む物語形式が面白かった。耐性がある人にはオススメ。

yayano@yaya72025年8月30日読み終わった図書館本どこにでもいそうなのに、この違和感をおぼえる浮世離れした感じの人は身近にはいないなと思えた。子どもの時からこんなに処世術を考えてこれたなら、きっといくつかの決定的な分岐点でも「普通でい続ける」選択をできたはずなのに。相手になめられてはいけない、弱みを見せてはいけない、そのような無意識の優越感が、曇りをもたらすのだろうか。小説がめちゃめちゃリアルだからこそ、自分との違いを見つけたくて仕方なかった。





yomitaos@chsy71882025年6月9日読み終わった@ 自宅凶悪犯罪が起こると、犯人がいかに人外的な思想を持つ悪人であるかが強調され、我々「普通の人」とは別の世界に住む異界の生物であることが語られる。 それは「普通の人」である我々は、けっしてそうはならないから安心だよね、というメッセージングでもある。分断してしまうことで、逆に安心してしまう、そんなエンタメをメディアは提供してくれる。 凶悪犯だからそこには明確な悪意や思想・怨恨があるだろう。そんな物語を、我々「普通の人」は求めてしまう。なぜなら、我々にはそんな物語がないのだから、凶悪犯にはなり得ないと思えるから。 この本で語られる川辺優人という人物の物語は、有り体に言って普通である。2025年という時代から見ると、どちらかと言えば恵まれた人生を送っている。たしかに主体性がなく、選ぶべきでない選択をなし崩しに選んでしまっている面はあるが、それほど珍しいというわけでもない、この希望のない時代に合った人間だと思う。 彼自身が独白しているとおり、その言葉はとても薄っぺらい。恨みも厭世観も、怒りも哀しみも、すべてが薄っぺらい。しかし、意図せず罪を犯してしまう人間は、大抵こんな薄っぺらい理由で道を踏み外してしまうのではないか。きっと自分が罪を犯してしまうときも、こんな薄っぺらい理由なんだろう。読後しばらく、暗澹たる気持ちになった。




高橋|青山ブックセンター本店@frog_goes_home2025年5月10日読み終わったそれが生き残るための第一条件だと信じ込んで「普通であること」を追い続けたある青年の手記。そうなっているから、周りもそうだから、というだけでいとも容易く剥がされてしまう倫理、その暴走の果てに──。うまくやっていると思っているときすでに、底への転落は始まっているのかもしれない。







yt@yt2025年4月26日読み終わった人間に失格なんてない。 ただ普通になりたかっただけなのに。 普通なんてなかった。 薄っぺらいとしか表現できない今を、小説に証言させている。 親ガチャも、中受も、トー横も、闇バイトも。 ラストの覚書も上手いとしか言いようがない。






















