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どんなプロの書評より皆様の感想が沁みます。 ただ眺めているだけで読みたい本が溜まっていくの、誰が責任とってくれるんやー
  • 2026年8月26日
    贈与を巡る旅
    贈与を巡る旅
    「あの、今分かりました。なぜ、僕が「恩送り」という言葉が嫌いなのかが、今、ようやく分かりました」(p53) 交換は即時決済、贈与には時間が流れているから失敗が発生し、行き場のない返礼義務の感覚が痛みとなって倫理が生じる。 「おそらく僕らが想定している、意味の伝達、という形の言語を獲得したのは、笑い、音楽、踊りの後、あるいは途中なのではないだろうか」(p93) 大切なものは目に見えない、大切なものを見るために儀式がいる。 「僕らにとって、価値あるものとは一体何なのでしょうか」(p164) 儀式のデザインを徹底的にやる、価値を生み出すのが魔法なら、私も魔法使いになれる。 魔法の使い方は奈良のチロル堂が教えてくれました。
  • 2026年8月24日
    ナチュラルボーンチキン
    「ていうか、楽しいって何だったっけ」(p17) 人生を楽しめない全Netflix民に捧げられた讃歌。 私たちは、これからもスマホとともに生きていくんだというドンデコルテ的な世界を、欲望しつつも希望が持てない。 「この貧しくなった日本では、それなりのお金がないと惨めな思いばかりする」(p111) こんなにも結婚や出産が難しくなってしまって、どうしてくれようか。 「対象は分からなかったけど、とにかく万物に謝らなければ自分は重力に抗うこともできなくなってしまう気がした」(p207) 何も成し遂げず、ただ朽ち果てていく、みんなそうなんだよ、わかってるって。
  • 2026年8月21日
    マザーアウトロウ
    「私はきっと、この瞬間をずっと恐れていた」(p54) 人を人数ではなく関係性でカウントすることで、子ども産む産まない問題に挑む。 「発狂するような喜びも、発狂するような絶望も、もうこの世界にはないという事実に、私はどこか安堵しているふしもある」(p76) 誰にも話さなかったこと、いつか誰かに話すかもしれない。 誰にも話さないこともたくさんあるだろう。 「今となっては藪の中か」(p157) 誰だって昔から今のままだったわけではない。 そして韓国料理は美味しそう。 悪いことしようぜ。
  • 2026年8月16日
    YABUNONAKA-ヤブノナカー
    「小説に関わる人々は皆、小説の力と、小説の無力さについて日々考え、打ちのめされ続けているからだ」(p41) 正しさを考える時代の波が来ていて、その反動が次に来るかと思うと怖いけど、おそらく必然で戦争になる。 「彼女は自分も含めこの件に関わった人々全てに罪悪感と当事者意識を持ち悔い改めることを望み、私はできることとできないことはあると割り切らねばならないと自省した」(p298) 寂しい憎らしいとどうでもいい人間関係で狂っていくのは馬鹿らしいと、不思議と勇気が出てくる。 「そもそも人生とは常に攪乱の中にあり、その中で何を決定的なものとしていいのか分からないのだという諦めに似たあの達観を得られたことで、私は何かを諦め、何かを受け入れ、何かを切り捨てることができたように思う」(p482) 切り捨ててしまって、子どもに切り捨てられる。 悲しいけどそれでいいのかもしれない。 打ちのめされ続けて現実が遠い。
  • 2026年8月6日
    夏への扉〔新版〕
    夏への扉〔新版〕
    「あなたの会社では、猫の冷凍睡眠を引き受けてくれますか?」(p27) どこかのタイミングで人を信用しなければどこにも進めない。 「これはすごい、これこそ技術というものだ。ひとの発明を盗んだなどというものじゃない。天才の仕事だ」(p252-253) タイムトラベルすれば輝かしい未来が待っている。 それが実際の西暦2000年だったら、がっかりするね。 科学考証とかゆるいので、SF的飛躍を楽しめました。 「子供はたった一体の人形のためにでも、あるいは象のおもちゃひとつのためにでも、燃えさかる建物の中へ戻るのだ」(p363) 親友の娘との関係性の変化は、やはり少し気持ちの悪いものだった。
  • 2026年8月2日
    せんそうって
    せんそうって
    「誰も教えてくれなかったのだろうか」(p15) 反戦のために広島や沖縄へ行く。 平和のためにはどこへ行けばいいのか教えてもらえた。 「パレスチナと沖縄が重なりあう」(p61) みんな戦争の被害者で、その被害者が加害者になって、その連環の外にいる人はあまりの能天気さを露呈する。 「聞き手は、信頼を得るよりも前に、語り手によって信じられているのだと」(p118) 対抗するための言葉の力を信じるしかない。 私たちにはそれしかない。 問いに答えてはならない。 「わたしはあなたと話したい」(p187) 愚かな詩が平和をつくる、異言のように聴こえるかもしれないが。 もう見捨てられてしまった本土から、沖縄へ何ができるのか。 早々
  • 2026年7月30日
    推したちとどう生きるか
    「推し活は批評を求めていないかもしれない。だが、推し活はたしかに日本文化と深いかかわりがある」(p23) 未熟を愛でる文化を江戸、大正までさかのぼって考える。 童謡、甲子園、宝塚を経てアイドルへ。 ガチ恋粘着獣や超かぐや姫!までと幅広い。 「私たちは、推しを通して、ポストフォーディズム時代の夢を見る」(p164) 母性の暴走と推し活をつなげつつも、推しを肯定する著者の態度表明がいい。 「日本は永遠に傷つかないミッキーの身体ではなく、傷つきいつか死ぬアトムの身体を選んだところから、推し文化を始めたのである」(p197) ディズニーやジャニーズから、アメリカをどうしても語りたいという欲求もいい。 誹謗中傷だらけのSNSが変わる兆しとなるか。 タオルは回さない、かつてのTwitterを再び。
  • 2026年7月27日
    ぼくには笑いがわからない
    「言語が人間存在そのものだという世界認識をしていても、自己と社会のあわいに言語が立ちはだかって靄かかかる不快感をどうにもできないときだってある。ぼくにはおもしろい話ができない」(p55) M-1を目指して、成功したってひな壇に座るだけの、くだらない、流行ってない文化の行く末。 甲子園だって同じだ。 「ひとが恋に落ちる瞬間を見たような気まずさと背徳感と、ほんの少しの羨望」(p88) それでも舞台には何かがあると信じることは、青春の一言では片付けられない。 「笑わせたら勝ちだ」(p216) 悲しいことばかりで希望もないけど、なんか人はそういうの好きなんよね。
  • 2026年7月25日
    海の底に雨は降らない
    「だれかの人生を奪ってでも書きたいと思ったら、それはその作家が『書くべき』小説なんちゃいますか」(p78) 小説家が小説家を描くとき、緊張が走る。 何かが開陳されるのではないかという予感だ。 小説で世界は変わらない。 でも世界の物語にカウンターを当てることで、少しずつ上書きしようという挑戦があった。 「わたしと父のあいだには、過去しかない」(p256) 逃げるというコマンドを表示させること、表示されてもそれを選ばないこと。 ほんとうのことを見極める旅に連れて行ってもらえそうな予感。
  • 2026年7月23日
    脱法
    脱法
    「大丈夫、終わらないバッドトリップはない」(p31) ドラックきめても露悪的にならない著者だから、このテーマでも信頼できる。 酔いをどこまで許容できる社会にするのか。 「仮に覚醒剤みたいな単純な化合物がつくれないなら、化学者なんて名乗ってはいけない。そこら辺の風邪薬とは酸素がひとつ違うだけですから」(p105-106) 多くの証言がひとつの文化を教えてくれた。 ドラックかっこいいという雰囲気がないのは意外で、愚行とも不道徳とも言い切れない。 「彼らは法から逃れていたわけではなく、むしろ法に向かい合うために半合成カンナビノイドを販売していたのだ。しかし今やその戦いは頓挫しつつあるように思える」(p244) オーバードーズより大麻1吸い500円。 サントリーがストゼロを売っていることは忘れない。 「普通の姿を装ったものこそがあなたを蝕んでいくだろう。あるいは救うだろう」(p249)
  • 2026年7月21日
    「夫婦」不在社会
    「なぜ現代日本の物語から「夫」という自意識が消え、父が不在になり、親子の絆ばかりが過剰に描かれるのだろう?」(p34) 家族というだけでは見えてこないので、親子と夫婦の関係を考える。 「村上春樹という作家を、自分のなかでどう捉えていいのか、いまもよくわかっていない。自分が読み続けるなかで、考え続けたい作家であることはたしかなのだが、そのなかでも私はおそらくこの「眠り」という小説について考えたくて、この作家について何かを書こうとしているのだと思う」(p140-141) 村上春樹に家父長制や戦後日本を背負わせるのは終わった。 文芸批評家の手くせのようで、読書体験からかけ離れているから。 たとえ本人が意識していたとしても、文学からはもう少し無意識の領域に耳をすませたい。 「だからこそ。しかし、だからこそ、だ」(p228) 「私」としての時間を取り戻すためには、意識して時間をかけることしかない。
  • 2026年7月19日
    ゾンビ回収婦
    ゾンビ回収婦
    「この生活のうちのどの部分に、わたしのわたし生活は宿っていたのだろう」(p14) 労働でも活動でもない、制作の可能性が模索され始めている。 NPCとして生きている私には刺さる。 仕事をしても誰も褒めてくれない問題に答えてくれている。 「脳裏にすべてが焼き付いているのだから、ヘッドセットはすでに要件ではなくなっていた」(p149-150) あなたと語りかけられることで、人生を狂わせられる。 客が裏方を引き受けること。 賞賛されなくとも裏方として踊り続けること。 急げ、急げ、結果出せ。 死んでもミスんな、進化しろ。
  • 2026年7月10日
    世界99 下
    世界99 下
    「なんて理想的で、クリーンで、美しく優しい世界なのだろう」(p36) 性欲を捨てたら私たちの関係性はどう変化するのかという、ポーの一族的な思考実験。 「人間の体の中には、孤独が浮かんでいる。それはコントローラーに似ていて、それを掴むのに成功すると、目の前の人間をある程度操作できる」(p164) 見張られる子宮でも人類を維持するべきなのか、答えられない。 正しく怒り続けるのは本当に疲れるので、もう誰も差別や戦争に関心がなくなってくる。 正しさをつらぬくことが人の負担になるとき。 「未来がないと世界が明るい」(p332) ずいぶんと遠くまで連れてきてもらえました。
  • 2026年7月10日
    世界99 上
    世界99 上
    「私が捨てようと努力している未来は、母が生きてきた地獄でもあった」(p231) 誰かを使わないと、誰かに使われる道具になる、差別が日常的な世界。 これが普通に今の状況として描けている。 「世界は分裂したまま、同時進行していて、どの世界でどんな情報や言葉、感覚が注がれるかで違う私になる」(p300) 安全な場所から不幸を楽しむ感動ポルノ。 もう世界はディストピアなんだと教えてもらった。 分裂した世界は統合されるのか。 「孤独ほど抗えないエネルギーはない」(p426) 静かな狂気のまま下巻へ。
  • 2026年7月5日
    夏帆
    夏帆
    「病んでいる人間の目から見れば、より病んでいるのはむしろ世界の方だ」(p20) 中流幻想の中でまさかの闇バイト。 説明するのはとてもむずかしい、いつだってとても長い話になる。 慈悲も偏見も予断も許されない勝負どきが誰にでもある。 「よくよく考えればわかるはずだよ。あるいはもう既にわかっているはずだよ。そうと気がつかないだけで」(p197) 絵本の中の空想と、空想的な現実が不可分になった状態がこの世界の見え方だ。 過去と未来も、原因と結果も混ざり合って眼前にあった。 あと何冊読めるのか。 あと何冊でも読める。
  • 2026年7月2日
    いい音がする文章
    「意味だけを追い求めて論理化すればするほどに、言葉の本来持つ輝きが失われてしまうということだ」(p83) ずっと音楽の話だった。 著者の音楽的経験が鳴り止まない、うらやましい。 「誰とも共感せず、書きためた詩をそっと机の中にしまう勇気をもて」(p154) ずっと人生の話だった。 人生経験はみんな平等にあるから、よくよく伝わってくる。 「でも、忙しいときほど、言葉が湧き上がってきて暇なときほど何も出てこない、あれ何だろう」(p209) 文章ってとても変なものだと思えた。
  • 2026年6月29日
    多類婚姻譚
    多類婚姻譚
    同じ部署でも、みんなそれぞれしている恋愛は見えない。 「ただ好きな人と穏やかに平和に暮らしていければ充分で、そのことに対して仲間を裏切っているような罪悪感や自己嫌悪も感じている」(p63) 不満はないけど問題はあるという空気感。 形式の大切さと意味について考えた。 「わたしたちは、一体あといくつハードルを飛び越えなければならないのか」(p110) 時代は変わったのに婚姻制度は元のまま。 結婚は地獄なのか。 「将来、経済的に依存してきそうなパートナーって今の時代だと時限爆弾に等しいでしょ」(p206) 心だけじゃつながれないものを見せつけられた。
  • 2026年6月26日
    正欲
    正欲
    前期朝井リョウの到達点。 「繋がりそうなのに、直接的には繋がってくれない断片たち。それらはまるで、思わぬ形で星座として結ばれる前の星のように、ばらばらな位置に顔を出している」(p102) 分断された社会なんだから無理解が進むのは必然。 みんな不安なんだ。 「既に言葉にされている、誰かに名付けられている苦しみがこの世界の全てだと思っているそのおめでたい考え方が羨ましいと」(p183) 名指されてすらいないマイノリティの苦しみ。 是枝裕和の「怪物」と同じように、モンスターなんていなかった。 自殺の方法を一度も調べたことのない人生だけど、嘘をつくことはまったく悪いことじゃないと確信できた。
  • 2026年6月23日
    ひとごと
    ひとごと
    「100パーセントの無知な男の子に出会う可能性は、そのまま平和の可能性かもしれない」 (p35) 批評のようなエッセイのような。 とにかく誰も考えてないことを教えてくれる、あまりにも文学的な何か。 「いま恋愛について語るということがどういうことなのかよくわからないという、無力感のようなものだと思う」(p134) わからないことはわからないと言おう。 現代美術もバラエティ番組も、どんどん語りを蓄積して、今を考えるヒントをくれる有難さよ。 「けれども創造をすべてその個人の立場表明に還元してしまうことは、われわれの世界をひどく貧しいものにしてしまうのではないか、と思うんです」(p264) 「眼がスク」のインタビューは前提知識も読解力もなさ過ぎて、全然わかりませんでした、修行します。
  • 2026年6月18日
    告白
    告白
    「というか俺はもう決まった人間だ。蛇なんて言うものはなんでもないんだ。かつて独楽を回せなくて泣いた日の青空が懐かしい」(p127) 分岐を過ぎてもう戻れない、あほんだら。 いや、引き返し不能地点なんてものは無く、いつだって戻れるのかもとか思いながら屁をこいたりしてた。 「ずぶずぶに落ち込んでいたのにもかかわらず。或いは、ずぶずぶに落ち込んでいたからこそ」(p350) 殺したかもしれない、いや殺してないのかも、どあほ。 こんなに怖いことはない。 どうしても死なんならんのんか。 「雨降る暗い夜よりもっと暗い闇が俺と世間の間にはさまったのだ」(p748) 言葉にならない告白だからこそ、小説でしか表現できないという、作家の確信がある。
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