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どんなプロの書評より皆様の感想が沁みます。 ただ眺めているだけで読みたい本が溜まっていくの、誰が責任とってくれるんやー
  • 2026年10月10日
    新・消費論
    「いわばマーケターたちは、マクロな経済構造の変化を表す枠組みを、ミクロな消費者心理を表すものへとすり替えることで、自説を都合よく説明するための万能のツールを獲得したのです」(p80) 報われ消費についても、だまされてはいけない。 「消費は悪いものだという観念は、実のところ私たちの社会における様々な議論の中に内在しているものなのです」(p124) 性的消費って、確かによく考えると不思議な言葉だ。 過去の議論とは異なる構図を作ってくれたら、全然違う社会が見えてきそうで期待しかない。 「東は動物的に享楽に耽る消費者を肯定的に描き、宇野は消費を介した自己幻想の迷路に落ち込んだ消費者を批判的に描く」(p184) ↓この辺、読んでいる人はぜひ!
    新・消費論
  • 2026年10月7日
    夏蚕の翅
    夏蚕の翅
    「ここではないどこかへ行きたいと願う反面、生暖かい閉塞感を捨てられないあどけなさ」(p30) 北海道の小さな港町で根付いたキリスト教は、信仰の有無にかかわらず何かを救う。 「分類が必要?」(p104) 蚕のように不器用で、一人で生きていけないのが人間だ。 「死への親しみはわたしの生のありようの一部で、分ちがたい、古い毛布のようなものだった」(p170) 美しくなくていい、欠如と痛みを引き受けて生きるのも人間だ。 したっけ!
  • 2026年10月4日
    骨と鎖
    骨と鎖
    「二人は何も話さずでたらめに走った」(p47) リリィシュシュの色合いでしか読めない、子どもの閉塞した世界、息苦しい。 「学校生活、というよりも対人関係に対して予てより抱いている漠然とした諦念が、無気力という形で色々なものを鎮火していた」(p72) タイムリープやタイムカプセルが、どんな願望を表象しているのか。 時間を移動したって、何も変わってないじゃないか。 「身体は、望みたくもないことを望むように強制し、忘れたいことを勝手に記録してしまう他人だった」(p153) 心も体も思いどおりに動かない、自由意思は幽霊のように世界を傍観していた。
  • 2026年10月1日
    バラバラな世界で共に生きる
    「自分たちの「ことばづかい」に目を向けるという具体的な方針は、かつての秩序が失われ、分極化が進み、ますますバラバラになってしまった世界の中で、それでも私たちがどう生きていくのかを考えるための手引きになるはずです」(p8) 自己の偶然性を認識して連帯の契機を生み出すローティ入門。 「どうやって会話を継続させることができるのか」(p133) アイデンティティポリティクスでは会話が終わってしまうから。 「まずは自身がマジョリティ側として果たすべき責任を全うしなければなりません」(p165) 対テロ戦争において焦点化すべきもの。 われわれという範疇を広げること。 「その場かぎりかもしれない、見ず知らずの他人と、なにかを共有したり、本質において一致するのではなく、あくまでバラバラのままで、しかし共にいることに耐え、できればそれを楽しむこと」(p193)
  • 2026年9月29日
    繰り返すことの民俗学
    「自分のこととはいえ、ここまで書いちゃって大丈夫なのかな? と思うことも正直あるのですが、書いてみるとやはり、自分のやっている研究が自分自身の日常と本当の意味でつながっているのだな、と実感できました」(p6) ありふれた日常から乖離してしまった民俗学を、焼畑、津波、クィア、強迫症の観点で取り戻す。 会社員しながらフィールドワークへ出て、日々繰り返される当たり前の日常を対象化する。 「一緒に何かを食べる、という民俗学が重視してきた共食のあり方は、規範的な家族のあり方を越えていく可能性も含んでいるのではないかと思う」(p134) 日常を生きてるんだから、日常に資する研究であってほしい。 「私は民俗学とは、一見何にもなさそうな人も含めて、必ずしも言わないけれども、実はみんないろいろある、という部分に目を向ける学問であるとも思っている」(p181) 実はみんないろいろあるんよ。
  • 2026年9月28日
    幸福についての世界でいちばん冷酷なお知らせ
    幸福についての世界でいちばん冷酷なお知らせ
    「・・・女性たちよ、男性がなぜあんなに必死で寒いオヤジギャグを飛ばすのか、広い心で理解してやってほしい」(p77) まずは進化論のおさらいが必要で。 それから幸せを目的から手段へと入れ替える発想転換をする。 「幸せは宝くじのような大事件によって得られるものではなく、チョコレートのようなささやかな楽しみという名の小雨に濡れることなのだ」(p142) 甘味の感覚が近い。 ずっと甘さを感じていることは異常で、ずっと幸せを感じていることも異常だ。 「つまり、ほとんど無意識のレベルでお金を考えるだけでも、ほかの人を助けようとは思わなかったり、他人からもまた助けてもらおうとはしない傾向があるのだ」(p220) 幸せを追い求める必要がなくなるライフハックは強い。
  • 2026年9月25日
    コンサートの呼びかけ
    「自分の内部に転がっているいくつかの箱を振ってみたが、どれもからっぽだった」(p38) 子どもを育てているときに起こること全部。 運命共同体としての家族と、何も共有していない仲間と、どこまで追いかけても解決する気がしない旅。 「どれほどの年数が過ぎても、立ち止まってばかりだった」(p108) 良質。 (コンサートの呼びかけ) 「おのれの内側から湧く力ほど強いものはない。そして俺は認めざるを得なかった。他人によって引き出される力もまた強いのだと」(p144) 壁に行き詰まったらどうすれば良いのか、さっぱりわからない。 (遠泳) 「運良く特別なものを受け取ると、受け取ってすぐは心の底から正しく丁寧に扱おうって思うけれど、どんな魔法にも、どうやっても予測がつかない、なぜか使い手に不利に働く呪いが一緒に発動する」(p181) 子どもの友達との距離感、とんでもなく親密だったり、どこまでも他人だったり。 (魔法の指輪ーマジックバングルー) 「私たちはばらばらになっても、絶対に自分のためになるやり方がある」(p198) なかなか伝わらない大事なこと、他人とは相容れない。 (危ない雨ではないのに)
  • 2026年9月23日
    帳の向こう
    帳の向こう
    すべての人に暇を! 「会社員であるだけではなく、阪神の批評家でもある時間をもつことは、人間が生きていく上ですごく大事なことじゃないか」(p59) ゆとりの時間を何としてでも死守したい。 これ何の時間?というツッコミにももう笑えない。 「何が自分の魂へのご褒美かって考えて、つかんどかないと生きるのは難しいですよね」(p74-75) 「10代の頃から今日まで、消費社会が喧伝する快と実感の快の差異をずっと考えてますよと」(p203) 選挙にも民主主義にも、かける時間がない私たちのこれから。 「誰も良いとは思っていないけど他に道がないシステムの中で、生きるために成果を上げ続け、且つ、心身は奪われないようにするという、非常に複雑な営みを続けなければならない」(p237) 外部の影響を受けない春日、それを人はボケと呼ぶ。 外部の影響を受けることで向上し続けるモンスター、山里。 脚注も必読。
  • 2026年9月21日
    やさしくておそろしい 法哲学講義
    「古今東西の文芸・芸術作品を具体例に生命倫理や法哲学を考える」(p10) 人間に対する深い理解をもって、表面的で形骸化した倫理、道徳、規範に挑む。 「そして、私が主張したいのは、たとえ自分にとって奇異に見えるものであっても、他者が深くコミットしている文化を尊重したい、ということです」(p111) 懐疑的な著者だからこそ生命倫理の違和感に反応できる。 「なぜ私たちが、かくも頻繁に、偽物のレトリックを使ってまで、死者を主語に据え、あたかも死者がまだ生きているかのように語るのか」(p228) 死を受け入れるには人類は未熟すぎた。 「20歳の時には、大学教授になるか、ラーメン職人になるかは、死ぬほど重要な問題かもしれない。しかし、60歳になれば、どちらでも同じことだったと気づく」(p245) 何事も、着実に。
  • 2026年9月15日
    イオラと地上に散らばる光
    「俺たちはマイホームのローンを粛々と返済し、子の教育費をひたすらに積み立て、老齢年金の恩恵を受ける期間もそこそこに、三大疾病のいずれかで死ぬ」(p70) SNSで見つかる偽りの光が今後どうなるのか、このままでいいわけない。 「光として、特別に発見されることがないもの。外部からの観測を必要とせず、ただ、その瞬間にだけ存在するもの」(p204-205) 地上に散らばっているものを、それでも光と名指す態度、気合が入っている。
  • 2026年9月12日
    サンショウウオの四十九日
    「ため息を吐いたのは私か瞬か、判別できないのだから二人とも呆れたのだろう」(p23-24) 会話や接触をすれば分かり合え、境界も少しは曖昧になるのだろうか。 「死が主観的に体験できない客観的な事実で、本当に恐るべきは肉体の死ではなく意識の死ならば、どういったことで意識は死を迎えるのだろうか」(p123) 境界を考えると、意識を気にし出して、ついには死を思うことになる。 何が、どうやって生きてるんだ。 叙述トリックだった。
  • 2026年9月10日
    十戒
    十戒
    「犯人がこの異常な状況で何をしようとしているのかは、分からない」(p197) まずどうしてこんな状況を思いつくんだ。 「ディストピアと化したこの島で、まるで殉教者になろうとするみたいに、わたしは心を抑えつけ、恐怖を忘れようとしていた」(p287) 論理的な謎解き、疑心暗鬼の心理戦、みんなも好きなやつだな。 「もちろん彼らは、犯人の正体を知りたくてたまらなかったのだ」(p313) ネタバレ禁止なんて、戒律ではない。 戒律も、ミステリも、もっと深遠なものだった。
  • 2026年9月7日
    屁理屈と哲学
    森博嗣のエッセイかと思った。 工学に関係しているのかもしれない。 「熱を守るために、三つの建物が存在するのだ。すなわち衣類、家、国家である(p51)」 衣食住の、衣と住の違いを思い出した。 「僕は何の対策もせずにI君を自宅に迎え入れ、マシンガンがないことを立証されてしまった」(p102) ゲームや建築、クイズや虚構など、小説の断片が垣間見れて、ファンにはたまらない。 「人間が愚かだから、君の価値を正しく評価することができない」(p167) 思い出や経験など、属人的な影響がより感じられるのは、文転に関係しているのかもしれない。 やまない雨がやまない。
  • 2026年9月5日
    95%の宇宙
    95%の宇宙
    「自然科学における証明とは、観測や実験によるデータが蓄積され、それによって理論の信憑性が増していくプロセスのことです」(p84-85) インフレーション理論も強いCP問題もホログラフィー原理も、あれよあれよとわからない、素晴らしい体験。 巨人の肩に乗ることができない。 「例えば、もしある一つの状態が、将来の二つ以上の状態に対応しているとしたら、そして終状態がそのどれになるかは原理的にわからないのだとしたら、物理学、というか科学は成り立ちません」(p271) 情報を消し去るブラックホールに落ちる私と、それを見る観測者である著者との間の情報格差がえぐい。 現実を超えた現実、すなわち良い夢を見させてもらいました。
  • 2026年9月3日
    本とは何か
    本とは何か
    「読書パフォーマンスという孤独な営みには、必然的に限界がある」(p36) 読書体験を主体的なパフォーマンスとして、楽譜の演奏のように例えるとしっくりくる。 「書を捨てよ、とは言わない。けれど、いつか本を置かなければならない」(p78) 書店への応援歌でもあった。 「雑誌を読む経験は、都市を歩く経験、テーマパークを歩く経験に似ている」(p112) 「マンガは高度にデザインされた読書パフォーマンスを提供してしまうがゆえに、読書パフォーマンスの理想像を過剰に超えてしまうのだ」(p139) 雑誌やマンガ、楽譜やレシピも参照し、SNSや書店、積読についても考慮して、本らしさとは何かを考えました。 現実も本も難しいからといって、半信とか真顔でボケ倒してます。
  • 2026年8月31日
    方舟
    方舟
    真夏のピークが去った。 「では、まるで休日の夜みたいにダラダラしている僕らは、一体何を待っているのだろうか?」(p150) 犯人が近くにいるはずなのにこの感じは何だ。 「要するに、それだけ特殊な状況だって話だ」(p153) 意志と後悔について、名探偵について、いろいろ考えてとにかく面白かった。 「それに代わる時間はきっと、生涯得られないだろう」(p374) く〜っ! ミステリ特有の脳内物質が!
  • 2026年8月29日
    娘が母を殺すには?
    「ここに、萩尾望都と山岸涼子の決定的な差異ーー母の代替を同性のパートナーに見出し、永遠のユートピアを描いた萩尾と、母の代替をパートナーに求めることは、ナルシスティックな暴力であることを示した山岸の差異がある」(p72) 母を代替しても、自らが母になったとしても、規範を再生産するだけだ。 母殺しの必要がない理想の母も、母性信仰という幻想が強化されるという問題がある。 こうなってくるともう、よしながふみしかいない。 「いま私たちが求めているのは、対等な夫婦のコミュニケーションが成立している家族の物語であるはずなのに」(p170) 夫婦や推し批評への伏線が張られていて、著者の問題意識が明らかに。 にしても単に夫に責任があるように読みましたわ。 甘いケーキだけが幸福ではない。
  • 2026年8月26日
    贈与を巡る旅
    贈与を巡る旅
    「あの、今分かりました。なぜ、僕が「恩送り」という言葉が嫌いなのかが、今、ようやく分かりました」(p53) 交換は即時決済、贈与には時間が流れているから失敗が発生し、行き場のない返礼義務の感覚が痛みとなって倫理が生じる。 「おそらく僕らが想定している、意味の伝達、という形の言語を獲得したのは、笑い、音楽、踊りの後、あるいは途中なのではないだろうか」(p93) 大切なものは目に見えない、大切なものを見るために儀式がいる。 「僕らにとって、価値あるものとは一体何なのでしょうか」(p164) 儀式のデザインを徹底的にやる、価値を生み出すのが魔法なら、私も魔法使いになれる。 魔法の使い方は奈良のチロル堂が教えてくれました。
  • 2026年8月24日
    ナチュラルボーンチキン
    「ていうか、楽しいって何だったっけ」(p17) 人生を楽しめない全Netflix民に捧げられた讃歌。 私たちは、これからもスマホとともに生きていくんだというドンデコルテ的な世界を、欲望しつつも希望が持てない。 「この貧しくなった日本では、それなりのお金がないと惨めな思いばかりする」(p111) こんなにも結婚や出産が難しくなってしまって、どうしてくれようか。 「対象は分からなかったけど、とにかく万物に謝らなければ自分は重力に抗うこともできなくなってしまう気がした」(p207) 何も成し遂げず、ただ朽ち果てていく、みんなそうなんだよ、わかってるって。
  • 2026年8月21日
    マザーアウトロウ
    「私はきっと、この瞬間をずっと恐れていた」(p54) 人を人数ではなく関係性でカウントすることで、子ども産む産まない問題に挑む。 「発狂するような喜びも、発狂するような絶望も、もうこの世界にはないという事実に、私はどこか安堵しているふしもある」(p76) 誰にも話さなかったこと、いつか誰かに話すかもしれない。 誰にも話さないこともたくさんあるだろう。 「今となっては藪の中か」(p157) 誰だって昔から今のままだったわけではない。 そして韓国料理は美味しそう。 悪いことしようぜ。
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