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どんなプロの書評より皆様の感想が沁みます。 ただ眺めているだけで読みたい本が溜まっていくの、誰が責任とってくれるんやー
  • 2025年10月9日
    会話の0.2秒を言語学する
    あっ、この人、今しゃべり終わりそうなサインが出てるな、次は私のターンだな。 で、しゃべるまでが0.2秒。 ゆる言語学ラジオの人がゆるく詳しく語ります。 「あのー」「えーと」「うーん」の違いとか考えたこともなかったけど、自然と使い分けてるのすごいね。 読めば読むほど人の言葉選びはLLMなんだなって思えた。 会話のやり取りでキャッチボールされている呼吸のような合図もすぐに機械学習できそう。 AIもフィラーやジェスチャー入れるし。 悲しいような、やっぱそうだよなという諦めなような。 ここからもう一歩ジャンプするような論は可能だろうか、考えたい。 これでもうアグリーとかコンフリクトとか言う人に偏見を持ちません!
  • 2025年10月7日
    なぜ重力は存在するのか 世界の「解像度」を上げる物理学超入門(マガジンハウス新書)
    「電子は、確率によって位置が決まる波だ」 「なんやねん」(p182) 重力理論のおさらいにReHacQでおなじみ、信頼と実績の野村泰紀。 オッペンハイマー創設の理論物理学グループを引き継いでいる著者だからこそ、きちんと原爆についても触れています。 コペンハーゲン解釈から並行世界へ。 自然科学も自由だ。 あれっ、あんまり重力の話してなくない? ま、いいか。
  • 2025年10月4日
    本当に感動する サイエンス超入門! アインシュタインの相対性理論とは何か
    相対性理論のおさらいに信頼と実績のニュートンプレス社。 同時性の不一致、事象の地平線、質量欠損とか、とにかくワードが強い。 インターステラーやほしのこえ、不思議惑星キンザザを観る前の科学考証にぜひ。 おなじみの光時計の図(p78)もわかりやすい! 総裁選? なんですかそれは
    本当に感動する サイエンス超入門! アインシュタインの相対性理論とは何か
  • 2025年10月4日
    ハジケテマザレ
    ハジケテマザレ
    イタリアンレストランの控え室に従業員が溜まる。 社員もバイトも朝までグタグタ飲む。 いつまでも続くかのような居心地の良い居場所と家族みたいな仲間と。 戦うか逃げるかだけではない、第3の選択肢をみんなで考える。 正解はない。 感想が難しいので、連想した歌詞を引用。 「いつだって自信がなくて」 「適当に生きてまた出かけて」 「未来のことなんて今だけは言わないで」 (HANA「Blue Jeans」)
  • 2025年10月1日
    セルフィの死
    セルフィの死
    目次もなく不穏な数字から始まるもんで、最初から没入感と中毒性ヤバ。 「どうやら菜食主義もマインドフルネスも面倒臭い中年女の性根を変えることはできないらしい」(p30) 分人として、ネットと現実でどう振る舞うかの模索はいつまで続くのか。 「自意識と承認欲求——私はやはり、紛れもなくこの二人の子供で、そのせいで愛情や幸せを感じることができず、喜びを人と分かち合うことができない」(p126) 誰もが気づいてる問題を誰も解決できないとき、人はただ放置して進展を見守ってしまう。 自撮りを文学的に咀嚼した意欲作で、めっちゃいい。 「撮るあなたを撮るわたしを」の大山顕と対談してほしい。 スタバやアップルストアのようなキラキラしたものとの戦いも楽しい。
    セルフィの死
  • 2025年9月30日
    死んだ石井の大群
    「これより、第一ゲームのルールを説明いたします」(p14,p229) 使い古されたデスゲーム設定にもまだ新展開があるとは。 なぜ石井だけなのか。 なぜ殺すのか。 気になったらもう読むしかない。 コンテンツとしてデスゲームが欲望される理由についても考える契機になった。
    死んだ石井の大群
  • 2025年9月28日
    俺の文章修行
    「いけずの旨い人が客を興奮させ、熱狂させ、或いは感動させることができる」(p109) 町田康の不可解な文章の理由がわかってもうた気がする。知らんけど。 気楽なエッセーの雰囲気でどぎついとこまで連れてかれてもうた。なめとんな。 三宅香帆とゆうてることがいちいち同じでおもろいなぁ、それぞれアウトプット全然ちゃうのに。日本語で言へ、しょうむない。 人を救うために文章を書くて。ほんま誠実で泣かせるやん。 読めばただ書きたいゆう感じが生じるやんけざます。 そういうことやないねん。 なんやちゃうんかいな。
  • 2025年9月24日
    爆弾
    爆弾
    「でも、爆発したって、べつによくないですか?」(p19) 心理戦と地道な捜査が交錯する不完全情報ゲーム。 「厳しさと優しさを併せもち、科学的合理性と直感の両刀使いで、最後は気合と根性と使命感が事件を解決するのだ」(p80-81) 警察は寝ないでがんばる。 「保身を考える時点で捜査機関の本分からは外れている」(p151) さまざまな組織内の力学もはたらく。 「破滅的な犯罪へ踏みだす一歩がそこに象徴されていた。社会の隅っこから、社会の外へ」(p296) 容疑者も覚悟は決まっている。 誰の心にもある爆発物が、何によって起爆され、何によって解除されるのか。 かわぐちかいじ「ハード&ルーズ」からの引用のとおり「すべての人間は自らふさわしいものを得る」(p228)のだから。 75点は高得点じゃないか。
  • 2025年9月23日
    おまえレベルの話はしてない
    2人の棋士、それぞれの章。 「大学にもいかず、彼女もつくらず、将棋だけにかけて生きてきて、二十六歳で放り出される」(p18) つらくて悲しくて、まわりからは変質者にしか見えないのが青春だ。 「逃してはいけないと自分で決めたものを逃してしまうことに慣れたのはいつからだろう」(p65) 「届かないものに手をのばすためになにをどこまで捨てたのか」(p92) あきらめることを、あきらめたことを、自分でどう折り合いをつけるのか。 「こんなことばじゃ引きとめられない」(p45) 自分でも解決していないくせに、ことばにしたら人を助けるかもしれない。 松本大洋「ピンポン」とはまた違った観点で、とても面白かった。
  • 2025年9月16日
    戦う姫、働く少女
    「アナ=負け組ポストフェミニスト、エルサ=勝ち組ポストフェミニスト」(p27) ポップカルチャーに見られる労働の問題について考える。 シェリルもクシャナも花もマーフもかぐや姫もみくりもリツコもエイミーもキキも、もちろんエルサもナウシカも分析されます。 グロテスクなパロディとしてのキッザニア、素直という日本独特のジェンダー概念、用いられるさまざまな観点もつくづく面白い。 終章では意外な映画を挙げて、連帯の可能性を探るという意欲作。 やはりタタラ場で生きねば。 「この「生きねば」という呼びかけの残酷さを正しく理解すること」(p192)
    戦う姫、働く少女
  • 2025年9月13日
    黙って喋って
    黙って喋って
    「お前は黙れ、ほんでお前は喋れ」(p252 あとがき) 恋愛しかない18短編。 出てくるセリフがそのまま各タイトルになっているので、読みながら「それな」と思える仕掛け。 言葉がどんな無意識や思惑から出てきたかが丹念に探られている。 いつだって、この言葉のすれ違いが問題を起こすんだ。 からだ中にこびりついたいろんな感情が丁寧に解きほぐされる快感があった。 それにしても登場人物みんなコミュ力高すぎるやろー。 大野には頑張ってもらいたい。
    黙って喋って
  • 2025年9月11日
    江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす
    「闘争の幕はおりた。全共闘も、楯の会も、自由と禁忌も、湾岸戦争も、敗戦後論も」(p280) 江藤も加藤もよく知らないのに読んでしまった。 おそらく想定された読者ではなかったが、時代の空気は感じさせてもらえました。 太宰や川端、大江、三島、石原慎太郎、吉本、柄谷、竹田青嗣などなど周辺環境が濃い。 「そもそも批評とは、なんだろう。それは世界の自明性が壊れてしまった後で、作品(=批評の対象)に感じる「意味」を媒介とすることで、他者との関係を作り直そうとする試みだと思う」(p223) 著者の誠実さが伝わってくる。 それにしても戦後からもベトナムからも、ずいぶん遠く離れてしまった。 歴史家ならざる歴史学者への批判も忘れていない。 言い続けてほしい。歴史学のために。
  • 2025年9月9日
    涙の箱
    涙の箱
    最後に泣いたのはなぜだったか。 たくさんの涙の類型が旅路のように紹介されたけど、どれも見覚えがない。 特別な涙があるらしい。 見えない涙もある。 悲しくても泣けない人が泣きたいと思っていた。 一つの演劇から着想を得て、とても深いところまで連れてきてもらえました。 感想を書けば書くほど遠ざかってしまうタイプのやつだ。 「それらすべてを乗り越えてきた自分が、どれだけ強い人間だったのかがわかったよ」(p55) たくさん混ぜて純粋になろうと思った。
  • 2025年9月8日
    ゾンビ化する社会 生きづらい時代をサバイブする
    「わたしたちはゾンビになりたいのかもしれない」(p117) ゾンビの効用とは。 「間違っていても誰かが決めたことに従いたい」(p143) 脳科学者と社会学者の脱線しまくる雑談が面白い。 「個人を豊かな内面を持つ存在として扱うと、演算量が膨大になり過ぎて処理できないので、属性でラベルを貼って人を記号のように扱うんです」(p99) 生贄の原因は計算量の不足だった。
  • 2025年9月7日
    さみしくてごめん
    いつまでも聴いていたい波の音のような文章。 店員が私語している喫茶店もいい。 「わたしたちは、ただ生きているだけでいい」(p89) わかっていることだけど何度でも言ってほしい。 「魔法なんかよりも、よっぽど不思議ではないか」(p94) 森博嗣のような世界の見方と。 「スノードームがわたしにおそろしく感じられるのは、不安をかきたてられるからだ。あの小さなガラスの中に、世界が閉じ込められていることがおそろしい」(p121) 藤原麻里菜のような不器用さが同居している、こんな人はあの人しかいない。 穂村弘だ。 「渋谷の方が、もっとずっとさみしそうだからだ」(p104) さみしそうな渋谷ではツモリチサト展がやっていた。
    さみしくてごめん
  • 2025年9月5日
    〈迂回する経済〉の都市論
    パンデミック下での図と地の反転が契機となる。 経済性だけじゃない都市をどう作るかの論考。 下北沢や早稲田も歩いて、都市に求められる即自性、再帰性、共立性を考える。 場所と空間の対比から、場所を動詞形で捉えて議論もどんどん迂回していく。 街で人の滞留地点や看板をマッピングするとかのフィールドワークも面白い。 ディフェンシブアーキテクチャの研究も、もっと知りたかった。 間接的に早稲田生の生態が浮き彫りに。 わたしもサイゼロやクエストしたい。
  • 2025年9月4日
    エモさと報道
    エモさと報道
    「筆者も筆者だが、あなたもたぶん少しおかしい」(p5) メディアの未来について警鐘を鳴らすも、メディアが無視し続けているというエグさと放蕩。 「報道事業者に求められている仕事だろうか」(p51) 報道事業が民業としてペイできるのかが疑わしくなってきている。 かといってNHKモデルでは時代に全く合っていない。 「エモい記事批判そのものをエモく展開するというパフォーマティブなねじれ」(p59) 大澤聡の朝日批判は必見。 沖縄の基地報道と比較した山本章子との対談も面白い。 信頼できない政府のことを、信頼できないメディアが報道するという地獄。 「筆者はそれでもなお報道とジャーナリズムの可能性に大いに期待している」(p216)
  • 2025年9月3日
    進化という迷宮 隠れた「調律者」を追え
    進化は必然か? 同じ環境では同じ進化が繰り返されるのか? グールドに挑む筆者の研究の歴史。 最初カタツムリの研究と聞いて、なんか趣味の延長で役に立たないやつかな、とか思ってしまったが。 とんでもない偏見でした、進化生物学のど真ん中でした、ごめんなさい。 生物学者のフィールドワークの過酷さも楽しめる。 痺れ薬を飲んで調査とかね。
    進化という迷宮 隠れた「調律者」を追え
  • 2025年9月3日
    新建築2024年11月号/最新プロジェクト
    グラングリーン大阪特集のバックナンバー。 GGNのキャサリン・グスタフソン+鈴木マキエへのインタビューで、ランドスケープアーキテクチュアとは何なのか分かってきた。 「ランドスケープデザインでは人びとがその空間で何をしたいのかをどう調和させるかが課題になります」(p23) 「そこで私たちは桂離宮の築山のような地形をつくることで、緑地を広く感じさせるだけでなく、メインとなる空間を形成し、南北の公園を一体化させながら、さらに建物をできるだけ丘の中へ隠すことにしたのです」(p24) 「すべてが見渡せると、それ以上進む必要を感じないものだ」(p24) 日建設計の貢献に再三言及しているのも、信頼関係が感じられました。 2027年の全体まちびらきが楽しみ。 花色ごとに配置された植栽計画(p48)すごすぎる。
    新建築2024年11月号/最新プロジェクト
  • 2025年9月2日
    物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために
    「過去は常に新たな解釈に開かれている」(p27) 物語は万能でないから、オルタナティブとしてゲームやパズルといった遊びの可能性を探る。 考察や批評というゲームだって良いんだ! 人生には物語性を求めがちだから、物語から距離をおく本書によって、ちょっと拠り所を失って不安になった。 「大人たちはもっと、子どもたちのように成熟しなければならない」(p227) くるりやひろゆきの引用もいいし、ギャンブルを哲学するのに岡野陽一が召喚されるのは、もっといい。
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