

yt
@yt
どんなプロの書評より皆様の感想が沁みます。
SNSはReads一択。
ただ眺めているだけで読みたい本が溜まっていくの、誰が責任とってくれるんやー
- 2025年8月26日
- 2025年8月24日ネコは(ほぼ)液体である ネコ研究最前線子安ひかり,服部円読み終わったネコと仲良くなりたい。 小1の自由研究「ねこはみぎきき?ひだりきき?」で受賞、43才でネコに関する博士号を取った著者。 最新の論文39報が紹介され、ネコのツンデレの秘密も明らかに。 他にもネコにはゆっくりまばたきしようとか、マグロをあげようとか、定説とされていた考えを実証した研究者が世界中にいたんだね。 読めばネコとの接し方が変わる。
- 2025年8月20日春期限定いちごタルト事件米澤穂信読み終わった名探偵の重圧に耐えかねて小市民を目指すも。 ついつい謎を解決してしまう葛藤が新しい。 会話には出てこない、言語化されない応酬が秀逸だ。 三つのココアに六つのカップを。 狐でも狼でも、自由に青春したい。
- 2025年8月19日宇宙は何でできているのか村山斉読み終わった素粒子が多すぎる! とにかくいろいろあることは分かりました。 さらに物質間で働く4つの力が紹介されるが。 重力、電磁気力まではいいよ。 しかし強い力と弱い力(strong/weak interaction)って、雑では? カミオカンデとか加速器とか、よく作ったよな、尊いな。 宇宙人が見たら、ここまでやる?って思うのでは。
- 2025年8月14日きみはメタルギアソリッド5:ファントムペインをプレイするジャミル・ジャン・コチャイ,矢倉喬士読み終わった「チクショウ、だってコジマだぜ、メタルギアだぜ」(p9) イギリスからもソ連からも侵攻され。 さらに良かれと思って侵攻してきたアメリカが何千回と爆撃を繰り返すアフガニスタンの短篇集。 この世界の片隅でも生活は続く。 実験的な形式で描かれた現実が重すぎてつらい。 「職務内容は以下の通り」を読むだけで過酷だ。 イスラム文化を知れるのが常に紛争の合間であることもつらい。 サルに戦争させるとか、何やってんだ。 ドローン兵器をドローンで撃ち落とすとか、何やってんだ。 LLMに書かせた文章をLLMに要約させるとか、何やってんだ。 インシャーラーとしか祈れない。
- 2025年8月10日
- 2025年8月9日宮崎駿の「罪」と「祈り」藤田直哉読み終わった父と母、科学と自然、対立軸から各作品が読み解かれる。 先行研究もたくさん参照されていて良い。 一貫しているように見えるアニミズムの微妙な変化を捉えて語られるのは、そのまま著者の人生観だ。 ジブリ作品におけるネコの系譜も説明される! 「超越的・俯瞰的立場から世界や歴史を見下ろすことを否定し、虫の目で地べたを這いずり回ることを重視」(p151) 宇野常寛「庭の話」と同じこと言ってるな。
- 2025年8月8日アラン・ケイアラン・C.ケイ読み終わった「同時に参照したい情報が大量にあり、画面に収まりきらなくなることも少なくないので、われわれは"ウィンドウ"という、物理的な画面内の仮想の表示枠を開発した」(p70) パソコンを作った人の1977〜1984年の論集。 コンピュータをメディアとしてとらえ、その機能はコミュニケーションと夢想を増幅して人間の能力を拡張すること。 「コンピュータは運転するべき車なのか、それとも書くべきエッセイなのか」(p117) 優れたUIは紙や粘土のようにユーザが作り変えられるものだ。 未来予測には経済的価値はあるかもしれない。 でもそんなことは瑣末でつまらないじゃないか。 歴史が追認するなんて、つまりはその程度の発想だったわけで。 その点、理想のダイナブックはまだ完成していない。 コンピュータ開発の方向はもう違ったものになったようで、歴史はアランケイに追いつけなかった。
- 2025年8月5日丸の内魔法少女ミラクリーナ村田沙耶香読み終わった「もう世界を守る必要もない。全員残業で死ね」(p39 「丸の内魔法少女ミラクリーナ」) 魔法少女27年目、36歳会社員の表題作含め4短篇。 時代に流されて生きていると村田沙耶香に描かれてしまう気がして、背筋が伸びます。 「私は、自分の初恋を葬る準備を、着々と進めていたのだ」(p80 「秘密の花園」) 一行先も予想できない期待と怖さに、なもめました。
- 2025年8月2日ほくほくおいも党上村裕香読み終わったやられた。 予備知識なしで読めてよかった。 前作「救われてんじゃねえよ」と同じく、思ってた「ほくほくおいも党」では、またしてもなかった。 見てよこの表紙とタイトル! 甘党女子の日常系「ふつうの帰宅部」の話かと思うじゃん。 すべての子どもが親をまなざして生きており、今の時代感がなくては描けない、とだけの感想にして、あとは読んでください。 「あのひとは、家族に関心なんてない」(p122) 「この家には絶望的に会話が足りていなくて、でもだれもがその足りなさをどうにもできずにいた」(p208) 「おいも」にすら必然性があって痺れた。 歌野晶午のあのミステリは、思い出さざるを得ない。
- 2025年7月31日建築知識 2025年 8月号建築知識読み終わった読書ワンルームや家族ライブラリー、ブックカフェ、図書館、書店などなど、建築視点の設計がたくさん。 本棚の設計・配置から、読書に適した空間・照明など、本の悩みをすべて解決。 実例としてfuzkueの料金設計思想も、漫泊の平面計画も、日販の社内ライブラリーも、泊まれる図書館 暁も、文学堂美容室retriも、もちろん数々の書店も出てきます! 読書&蔵書スタイル診断もあり、わたしはAのクマタイプということで籠って生きていきたい。
- 2025年7月30日信仰村田沙耶香読み終わったSF的な思考実験と見せかけて、ほぼ現実を描いているところが巧妙だ。 現代のちょっとした違和感が増幅される8短篇。 「始まりはカルトだって、それで世界中の人が救われたら、それは真実になるわ」(p40 「信仰」) 「受験戦争がそのまま生存戦争になる現代」(p67 「生存」) そして唐突に差し込まれる「気持ちよさという罪」 「私は、そのことをずっと恥じている」(p117) 同じ時代を生きてずっと描き続けてほしい。 たぶん描き続けてくれる。
- 2025年7月29日新しい恋愛高瀬隼子読み終わった義務教育で恋愛を教わるニュータイプに痺れる表題作と、その他4短篇。 「道の先はどんどん暗い」(p32) 女子が居酒屋周辺をウロウロするだけで話が進む、ニコルソンベイカー「中二階」状態の「花束の夜」。 「お返し」も「あしたの待ち合わせ」も、恋愛という概念のギリギリを攻めてきて油断ならない。 最後「いくつも数える」ではたっぷりと高瀬ワールド(職場の噂話によってドライブされるモヤモヤ感)を堪能できました。 「おいしいごはんが食べられますように」以降、給湯室が出てくると、もう緊張するよ。 そういえば大人って恋バナしないよね。
- 2025年7月26日いま批評は存在できるのか三宅香帆,大澤聡,東浩紀,松田樹,森脇透青,植田将暉読み終わったあの日の京都には確かに存在した。 記念碑的イベントと、その前後の記録。 50年間どん詰まりの批評に、優秀な若い書き手をどう呼び込むのか。 それには儲かるシステムが必要だ。 つまり「観客を連れてくること」(p95) 批評の「男子性」についても語られます。 批評とは。 作品や作家を読み解いて社会全体を網羅的に語ること(松田樹)。 世界に対して違う切り口を見せること(三宅香帆)。 政治的に硬直した時代を解きほぐすこと(森脇透青)。 三者の登壇後記がため息出るくらい良い文章。 輝いていて、つくづく書き手なんだなと。
- 2025年7月24日大きな鳥にさらわれないよう川上弘美読み終わったせんそうはもうまっぴら。 でも争いがなくなったら、それはもう人間とはいえないのか? 工場で作られるクローン人間や食糧。 荒廃した文明を使って著者が仕掛けたナウシカ的パースペクティブ。 人間は絶滅した方がよくないか? 「あなたは、ほんとうに人間らしい人間なのよ。あなたは何かを生みだす。そして、生みだすものより多くのものを破壊する」(p258) 破壊を否定しないし、人間性も肯定しない。 ただ描かれる箱庭的世界。 とても意欲的で、こういうの好きです。
- 2025年7月20日いなくなくならなくならないで向坂くじら読み終わった人がそばにいるということ。 その分お金も時間も場所も気持ちもかかるということ。 二人の関係性が表紙に表されている。 「出てって。それか死んで。ああ、死なないで。いやだ。ごめんなさい。出てって」(p125) ただ、だまってそばにいるしかなかった。 楽しいことも悲しいこともそこそこの人生と、めっちゃ楽しくてめっちゃ死にたい激動の人生、どっちも選びたくない。 令和の「TUGUMI」ってこんな感じになるのだろうか。 選挙? なんですかそれは
- 2025年7月17日春のこわいもの川上未映子読み終わった手紙からはじまり、電話で終わる6短篇。 様々な界隈が下敷きにされていて現代っぽい。 「美人であるだけで、その不機嫌も、わがままも、泣き言も失敗も、弱さも強さも、ぜんぶがそろって威光になる」(p45) 恋愛でも従属でもない、ましてや侮蔑や嫉妬でもない、言葉にならない絶妙な感情が表現されているので、落ち着かない感じになります。 春のこわいもの、それは花のない花瓶でした。
- 2025年7月14日私の小説町屋良平読み終わった作家の日常は、登場人物的な私になることだった。 「土下座のごときパフォーマティブで切腹めいた自傷的創作」(p87) 「小説家としてデビューし芥川賞というもっとも注目を浴びる賞をうけてさえ私には社会と私という観点からの批評性が欠けていた。あまりにも無防備に個人で生きてい、それが当然で他者の社会性もぜんぶ演技でそれこそそういうフィクションなのだとおもっていた」(p120) 自分とひたすら向き合っているところが、作家の1番の特徴か。 そして読者にも向き合っている。 「「文体」は作家ごとの文章スタイルという以上に私とあなた、つまり作家と読者が共有しうる身体となって世界をともに見る」(p127) 私と世界との関係を模索する5短篇。 大江健三郎、好きなんだねえ。
- 2025年7月12日マンションポエム東京論大山顕読み終わった「代官山のロミオ&ジュリエット」とか! マンション広告に冠される詩的煽りコピー、マンションポエム。 邸宅、住まう、迎賓、杜などの独特の言葉から社会が説明されるという、表象文化論のお手本のような本。 マンションなのに「それは布」とか、著者がどんどんツッコむフリップ芸スタイル。 もちろんChatGPTにもポエム書かせてます。 都市論、東京論、タワマン論、横浜・湘南問題など惜しげもなく展開される。 「恋愛はローンを組まない」(p117) まさか恋愛や結婚、ジェンダーまで語られるとは。 わたしも川崎から東京全土を掌握したい。
- 2025年7月10日ヒルビリー・エレジーJ・D・ヴァンス,山田文,関根光宏読み終わった地球上のどこよりも豊かな国で。 ラストベルトの労働者階級を生きたJDヴァンスの自叙伝。 最貧困層から海兵隊を経て、アイビー・リーグのエリートへ。 全部書いてある。 そして後半は彼にしか書けない。
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