静かな基隆港

13件の記録
- ほおばるこ@hobaruko2025年6月19日読み終わった著者は人類学を修めた台湾の心理カウンセラー。グローバル貿易体制の変動が基隆港で働く労働者の生にもらたしたインパクトを、聞き取り調査をもとにたどっている。最後のほうで、変貌する基隆の街について述べてあるが、2025年の今はどうなっているのか現地を訪れたくなった。
- 犬山俊之@inuyamanihongo2025年6月8日読み終わった台湾北部の港湾都市・基隆(キールン)でのフィールドワークの記録をまとめたエスノグラフィー(ethnography/民族誌)。 事前情報なしで読み始めましたが、すぐに引き込まれ、静かな興奮を味わいながら読了しました。よい作品でした。 まずは、自分のような、台湾在住ながら台湾の事をあまり知らない人間にとって、今まで知りえなかった人々の生活を覗き見るおもしろさがありました。1980年代に世界有数の港として繁栄し、労働者が札束をポケットに入れて闊歩していた時代の記憶と、すでに「死港」となった現在人々の生活。 また、「できる男」として振る舞うことを重視する「文化」のため、家族や周りを不幸にしてしまう「男らしさ」の呪縛。彼らは「個人的な」運命を体験したのではなく、みなこの港町の歴史に生きさせられてきたのだと。基隆は台湾の自殺者数で常に1位か2位であると。 装丁を含めて地味な作品なので、なかなか注目を浴びにくいのかもしれませんが、自分にとって深く印象に残る一作になりました。著者、翻訳者ともに誠実で信頼できる書き手であると感じました。おすすめ。
- 台湾犬@Masa_SMZ2025年3月9日読み終わった「男らしさ」というイズムは何のためにあったのか。資本主義の僕(しもべ)、新自由主義の奴隷でしかない。 「男らしさ」を支えていたのは女たちであり、犠牲となったのは家庭、妻や子供たちだった。 港の景気が良かった頃は「男らしさ」を謳歌して、不景気になれば「男らしさ」は維持できず、さらには「人間らしさ」さえ失ってしまう。