星の花

6件の記録
- fuyunowaqs@paajiiym2025年9月2日読んだひと目でわかるNaffyさんの装画に惹かれて前情報なしで読んだ。 架空の外国を舞台にしたジュブナイルらしい雰囲気で始まり、第一部の終盤で急展開、第二部では作品世界の土台と背景がきめ細かに拡張される。第三部は主人公の意志と行動が過去をすくい上げて現在と未来に繋がる波を生み出し、身辺から遥か世界へと人々を動かしてゆく壮大なフィクションだった。 ネタバレを避けたいのでくわしくは触れないが、読んでいてつらいと感じるシーンも多く、第二部の終わりまでたどり着いた時、あまり感じたことのないタイプの疲労を自覚して、本を閉じて数分歩き回った。 本書には作者によるあとがきや解説がない。好きなように読んでいいと許されているようで、なんとなく好ましかった。 装丁は田中久子さん。 田中さんのお仕事は、整然としたページデザインで読みやすい一方、カバーや扉などの色合わせが好みではないことも多い。ノスタルジックで切ない雰囲気の装画とカットなのに、このペンキ塗りたてみたいな鮮やかな青は……画面越しでは気にならないかもしれないが、実物はギョッとするくらいコントラストが激しい。物語の鍵となる象徴的な色だろうかと気をつけながら読んだけど、それらしい描写は見つけられず、もやもやが残った。