他人屋のゆうれい
25件の記録
トラ@Toreads12342026年5月6日叔父の死後、その部屋に住むことになった大夢。派遣の仕事でお金には余裕が無い。兄にも劣等感を抱き、後ろめたさもある。新しい部屋の向かい側に「意識高い系」本屋の小石川がいる。気に入らない。マンションの管理人はいつも怒っていて、とっつきづらい。中盤での独白、世界を愛しきれない事情。 幽霊の出現とその謎の解明を通して少しずつ心の殻にヒビを入れていく。大夢の成長物語。 小石川に対する冷たさとかは少し受け入れにくかった。 叔父さんがやっていた他人屋(なんでも屋)。周りの人たちのために汗を流すという行為は、世界との繋がりを保つし、大夢の成長に繋がっている。 無茶苦茶なようで「無くはないか」とギリギリ思わせてくれるところが王谷さんの好きなところ。



いちのべ@ichinobe32026年4月25日読み終わった気軽にサクサク読めるエンタメ小説、という意味では珍しくないのだが、「クィアへの目配せがあると、こんなにもノーストレスなのか……」という体感は他で味わい難いものだった。この小説の世界の中には、自分みたいな人間も存在することを想定されているな、という感覚。 主人公を含む登場人物それぞれに、それぞれの問題や課題があって、それらすべてが解決するわけではないけど、それでも人生は続いていくし、落としどころを見つけたり、関わりの中で変化が生まれる。その人間の営みが愛おしいなと感じられた。

ねり@dnim2492025年3月9日読み終わったホラーというかファンタジーものかと思って読んだら意外な方向に進んでいって、落としどころを探すって主人公も言ってたし落とすにいい場所を見つけてよかったなあという感じ

たなぱんだ@tanapanda2025年2月28日読み終わった感想ネタバレなし表紙のポップな雰囲気から気軽なエンタメ小説かと思い手に取ったら、思いがけず深い純文学的な一冊だった。いい意味で裏切られた作品。 物語の主人公は、急死した伯父の部屋に住むことになる。ところが、その部屋には幽霊がいた。……とはいえ、いわゆるホラー的な存在とは違う。玄関から出入りし、ラーメンを食べる。まるで生きた人間のように振る舞うこの幽霊は、一体何者なのか? 前半は、幽霊の存在がじわりと不気味な雰囲気を醸し出すホラー寄りの展開。だが後半になると、幽霊の正体を探るミステリーへと移行し、さらに物語が進むにつれて、これは「心の成長」を描いた作品なのだと気付かされる。 この小説で幽霊とは、ただの怪異ではなく、「何かに囚われてしまった人」のメタファーだ。主人公自身も、自分の殻に籠り、皮肉や冷笑で周囲を遠ざけて生きてきた存在だった。だが、幽霊の謎を追ううちに、彼の世界は少しずつ変わり始める。 物語の結末も絶妙。作中で出てくる「落としどころ」というキーワードに合った終わり方だ。すべてをきっちり整理するようなものではない。謎の一部は明かされるが、そこには余白が残る。それでも、登場人物たちが前より少し軽やかに生きていけそうな気配があることが、この作品の温かさにつながっているのだと思う。そんなやさしい気持ちのまま、本を閉じられた一冊だった。


















