戦争の歌がきこえる
7件の記録
- 端隅@R_nut2026年10月2日読み終わった音楽療法士である著者が、アメリカのホスピスで出会った戦争経験者たち。死を前に思い出す戦争の記憶、失ったもの、話さなかった・話せなかったこと……日本ではない国で過ごした人々は、我々とは違う捉え方、認識をしている。別の角度から第二次大戦を見てみる、考えてみることができる。戦争も喪失も体験しなければわからない、それでもアメリカやドイツや中国など日本以外の国の人々がどういう経験をし、どう受けとめてきたのかを一部でも知らなければ、戦争の見方も偏ってしまう。 『補遺』(&あとがき)がとても良く、ここだけでもいろんな人に読んでほしい。「太平洋戦争」は中国戦線の意味を無視・軽視することにつながる(ある戦争をどう呼ぶかにも思想が表れる)こと、国によって謝罪や国籍の持つ意味が違うこと、日本語では政府と国民が区別されずに国名のみで表記されやすいことなど、気をつけたいことが多々あった。 日本に生まれ育った私たちは「社会的記憶喪失」「社会的忘却」のまっただ中にある。この「社会や集団にとって恥ずべき出来事や都合の悪い記憶ほど心理的抑圧が働きやす」く、なかったことにされがちな事象と向き合うにはどうしたらいいのだろう。ひとつが多角的に見てみること、「集合的記憶」からはみ出すような個人の記憶や体験を大切にすることなんじゃないかと思う。 ホロコーストの背景にあった、「自分たちのことを誇りたい、個人を超えたひとつの目的のもとで周囲と同化したいという感情」が、現在も各国で、そして日本でも高まりつつあるように思う。「ホロコーストみたいなことは、また起こる可能性があると思う。人間はそんなに変わってはいないから」の言葉が重く響いた。









