闇の奥

闇の奥
闇の奥
ジョウゼフ・コンラッド
黒原敏行
光文社
2009年9月1日
12件の記録
  • 幽霊の正体見たり枯尾花みたいな話だったんですが翻訳の黒原敏行氏の解説が面白かった "けれども、小説を素直に読めばコンラッドが植民地支配を批判しようとしてこれを書いたのではないことは明らかなように思える。極端な言い方をすれば、リンゴを描いた絵をミカンが描けていないと批判しても仕方がないのではないか" "クルツは豊かな才能を備えた人物だったが、そのすべての才能のうち、最も顕著で本当に存在感を持っていたのは、語る力、その言葉──表現する能力、人を混乱させ、啓蒙する、とびきり高尚でありながら卑しむべきもの、脈打つ光の流れ、あるいは見通せない闇の奥から発する欺瞞の流れだったんだ。" というときの「闇の奥」が創作上の熱帯であって実在のベルギー領コンゴであることがわからない人はけっこう多い
  • 🌼
    🌼
    @okiotashika2
    2026年7月9日
  • かつて、貿易会社で蒸気船の船長として雇われた船乗りマーロウは、象牙の交易が行われていたコンゴでの出来事を語り始める。 奴隷労働と病に苦しむ黒人たち、志は低いが自身の出世のために互いに腹の探り合いをしている現地の社員たち。そんな彼らが噂する謎の人物クルツ氏にマーロウは興味を引かれる。 やがて船は密林の奥へと進んで行き、自分たちが支配していると思われていた場所の原始的な恐怖に襲われる。そして果たされるクルツ氏との対面。 作中には、貿易会社の本社で編み物をしている二人の女、頭を測る医者、コンゴの出張所で不自然なほど身ぎれいにしている会計士、クルツ氏の信奉者の道化師の姿をしたロシア人青年というどこか奇妙な人々が登場するが、彼らにはどんな意味合いがあったのだろうか。 本書が植民地主義のみならず、人間の根源的な闇をも描いている話だということは分かるが、それではどんな話だと問われると困ってしまう。
  • 矢木拓穂
    矢木拓穂
    @yagitakuho
    2026年6月14日
  • 「征服というのはほとんどの場合、われわれとは膚の色が違い、鼻がちょっとだけ低い連中から土地を巻きあげることで、見て気持ちのいいものじゃない。」 これを植民地支配する側の国の人間な台詞とするの、攻めてる。 イギリスの小説家による植民地支配の闇を、主人公マーロウが過去を振り返る形で仲間の船乗りたちに語りかける形式の冒険譚。 暗く重いテーマだけど新訳はあくまで仲間に武勇伝やら思い出話やらを聞かせるような形式の軽い口語体なのでかなり読みやすい。ヨーロッパ、アフリカの読者であれば自国のことであるという当事者としてもっと解像度を持って真に迫ってくるのかな? 植民地支配について、啓蒙してやった/文明化してやった、と捉えることを馬鹿馬鹿しいとばっさり切って捨て、植民地で原住民を搾取し狂った人間を一人称の語りで生々しく描写している。 この時代のイギリス小説としては衝撃的だったのかな。 現代で(しかもアジア圏の読者である以上は他人事として距離があるのに)攻めてると思わせるぐらいには大胆に踏み込んでいる。 つい最近、文化相対主義について聞いたばかりだったのでヒェーッてなった。現代人である自分らは「文明的に優れている/野蛮で未開である」で序列をつけることが大きな誤りであることを知っているけれど、でもそんなお綺麗な言説は植民地の闇に分け入ったことがないから何の気負いも無く言えるのかもね。
  • 琴線に触れる言葉がある良い本だった
  • @llllllllllu
    2026年2月7日
  • akiyu
    akiyu
    @hon_U
    2026年1月6日
  • roiban
    roiban
    @roiban
    2025年12月28日
  • CandidE
    CandidE
    @candide_jp
    2025年9月29日
    めっちゃいい、めっちゃ面白い。訳もわかりやすい。読後感がボワボワして素晴らしい。構造がスマートでとても素敵。 虚構の連鎖と意味の増幅装置の中心に「闇の奥」はあって、それは深淵であり、無限だと思った。The horror! ーーーーー 以下、ネタバレを含む。 ーーーーー 『闇の奥』は、理解の届かぬまま進んでいく、その物語構造自体に魅力がある小説だ。 クルツは実像ではなく伝聞によって膨張し、最後まで輪郭を結ばない。読者は説明を与えられず、ただ宙吊りにされる不穏のみが募る。この「不完全さ」こそが、逆説的に作品の完成度を高めているように強く思う。 例えばこの構造を象徴するのが、ジャングルの奥地に突如現れるロシア人。弓矢の雨をかいくぐって登場し、クルツの使者かと思えば、単なる信者であり、ただただ狂気に魅せられた若者にすぎない。その「脈絡のなさ」が小説全体をぐらつかせ、不気味な余白を生む。秩序への期待を攪乱する異物の登場によって、クルツはもはや「人物」ではなく、「信仰や噂を増幅する装置」として機能する。実体は遠ざかり、神話が肥大化していく。 そして終盤にて、クルツはついに掴みどころのないまま舞台から退場し、物語は見事に宙吊りまま幕を閉じる。説明を求める欲望そのものが物語を駆動し、その軌跡は入れ子のように無限へと開いていく。読者は奥へ奥へと進むが、あるのは新たな謎だけだ。 虚構の連鎖と意味の増幅装置の中心に、「闇の奥」は存在する。それは深淵であり、無限である。このホラーめいた構造こそ、本作を秀作たらしめる美しさだと私は思う。
  • 本日お迎えした本
  • 甲賀
    @ko-ga
    2025年3月29日
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