15歳の花と、40代の黄美子さん。助けてくれた、おとなに見えたその人がそうではなかった。ちょっとした幸福や高揚感があっても、抜け出したようにみえて抜け出せない苦境が滲むように広がって物語を覆い尽くす。

いまだけの子どもの姿。保育園のともだちも親も先生も、なめらかに視点が入れ替わりながら、いとおしく脆いかけがえのない時間が紡がれる。必読。

書くために愛人を作り妻に狂気を起こさせてみた島尾、演じるように狂気を生きたミホ。二人の気狂いの共犯関係、怖い。まだ続きがあるけど、とにかく怖い。

子どもたちの文章の落ち着きと静けさが、この母の存在の明暗を反映しているよう。一気読み。

静かな語り口で価値観も規範も掻き乱してくる、爆弾みたいなエッセイ。アートに触れた時と同じような快感がある。

実母とのヒリヒリするような関係、娘という立場で母にわだかまりのある人には一読をおすすめ。

インスタやYouTubeで子供の動画配信してる人、戦慄の小説。そういう人は読まないし戦慄もしないかな。