終わりを確信しながらその手前でたゆたっている。そんな人たちの話。

トークの収録なので、ハスミンの文章よりとっつきやすい。

読み終わってしまったな。 小林信彦への信用。個人の一貫した評価軸にもとづく、後付けでないエンタテインメントの記録。歳月が流れ重複やズレが生じてきたとしても、そこに一人の人間を感じる。

国と言語のはざまで見えるもの、考えること。 装丁のように簡潔で風通しがよい読後感。

彼の文章もおどっている。リズムに敏感なひとだ。

「ヴィクトリア朝京都の寺町通221B」というだけでも頬がゆるんでしまうのに。 いしいひさいち版ホームズのファンでもあるので、メアリがいつ「センチ虫」と言いだすのかと。

『リア王』の解釈と表現。その試行錯誤の記録。新国立劇場開場時のトラブルと、役者から見た演出家・鵜山仁の姿も興味深い。

わからない事は徹底的に調べ、詳しい人に聞きに行く。ノンフィクションの書き手としての資質が、着物世界の疑問解消に生きる。 フォーマル以外は好きにしようぜと心が軽くなる。右前の起源はそんなピンポイントなのか。

大女優めんどくせー！でいっぱいだ。そういった駆け引きも含めて、自分が演りやすい環境を確保するのも実力の内なのだろう。なんだかんだ言って、新鮮な作り手との作業を楽しんでいるのだドヌーヴは。

黒酢買ってくる！

ずっと読み続けて。その間に彼らの環境や心持ちも変化して。本当の友人知人のように感じている。いろいろ堪える。