こうしてイギリスから熊がいなくなりました

6件の記録
- 𝕥𝕦𝕞𝕦𝕘𝕦@tumugu2025年3月12日読み終わった1年ほど前に読了。原題は『Bears of England』、邦訳の題が秀逸。 タイトルにあるとおり、イギリスからなぜ熊がいなくなったのか(実際にイギリスには人間の手によって狩り尽くされたため、野生の熊はいないらしい)を怪奇と幻想を混えて描いた8本の話が収録されている。寓話のような雰囲気だが、ほっこりする話はない。 熊という存在をときには畏れの対象として、ときには人間の罪を喰ってくれる存在として、ときには虐げるさまを娯楽の対象として扱う人間の身勝手さが淡々とした筆致で綴られる。 熊を下級労働者として描いている話もあり、マイノリティのメタファーにも思えた。 訳者の田内志文氏によるあとがきと、酉島伝法氏による解説も含めておもしろく読んだ。