幸せではないが、もういい (新しいドイツの文学シリーズ 12)

幸せではないが、もういい (新しいドイツの文学シリーズ 12)
ペーター・ハントケ
Peter Handke
元吉瑞枝
同学社
2002年11月1日
9件の記録
プールに降る雨@amewayamanai2026年1月18日読みたい読んでる読み終わった読書家の友人がよかったと言っていたので読みたい。 図書館で取り寄せてもらって読み始める。 著者が母について淡々と語る。訳のせいかわからないけど理解しにくい箇所が多々ある。つらそうな語り。 p.90 “彼女はどの本も、自分の人生を描いたものとして読み、それによって元気になった。読書がきっかけとなって、彼女は初めて自分自身のことを口に出すようになり、自分というものについて語ることを学んだ。本を一冊読むごとにますます多く、話すことを思いついた。こうして私は、彼女について次第に知っていったのである。” p.91 “もちろん彼女はそれらの本を、決して自分の未来の夢として読んだのではなく、ただ過去の物語として読んだのだ。その中に、自分がこれまでに逸してしまって、これからももう決して取り戻すこともあり得ないだろうと思われるすべてのことを見いだしたのだ。彼女は自分自身については、既にあまりにも早く、どんな未来も頭から追い払っていた。それで、いまやってきた第二の春は、そもそも、単に一度経験したことの美化にすぎなかった。 文学は彼女に、これから先は自分自身のことを考えるようにと教えたのではなく、そうするにはもう今からでは手遅れだということを告げていた。” タイトルは原語を直訳すると「これ以上望むべくもない不幸」となるが、慣用的な言い回しを転倒した表現でこのままではニュアンスが伝わらないので訳者が考えたとのこと。すべてを諦めたような言葉に聞こえるが、あまりネガティブな気持ちではないのかもしれない。 母の死の数週間後から書き始められた。 言葉では捉えきれない母という他者。 時代と社会から抑圧された存在から、読書をすることで主体性を獲得した。 寝る前に枕もとの灯りだけで読みたい。













