本を読めなくなった人たち コスパとテキストメディアをめぐる現在形 (中公新書ラクレ)

10件の記録
伊緒@i-o-i-o2026年3月15日読み終わった今時の本を読まない若者達の証言記録という感じの本。 無料記事やニュースの蔓延と動画サイトの隆盛によるテキストの価値低下、10ページの本も読めない若者、文章題が理解できない子供達、プリント1ページも読めない保護者。数百字の文字を読むより10分の動画を読む方がいい。長文はAIが要約してくれるから読む必要はない。読書は時間とお金がある特権的で選民的な富裕層のもの。著者が取材した若者達の読書に対する冷笑的な発言が並ぶ。 著者はこの本で何を伝えたかったのだろうか。変わっていく社会構造の現実を受け止めようとしながら、本音としてテキストに対する敬意や金銭が支払われないことへの怒りが述べられているように見えた。 私はビポットの動画でこの本を知って読んでみようと思ったのだが、動画の中で著者は、インタビューによって統計データだけでは見えてこない本音が見えてきた、という話をしていた。しかし、本では統計データは殆ど紹介されず、非読者の冷笑的な発言がこれでもかと並ぶ。本を読む若者の発言はごくわずか。本の中では今時のSNSの様相などを指してフィルターバブルという言葉も出てきたけど、この本自体がフィルターバブル的に見えてしまった。ちなみに私の職場の若者は4分の3が読書家である。 私も子供の頃から教科書以外の活字はほぼ読まなかったが、最近、読書系YouTuberを見ていたら本を読みたくなり、少しずつ読書筋トレをして、去年は年間100冊読むことができた。この本の中で本を読まない、読めなくなったという若者も、何かきっかけがあれば、歳をとってから読むこともあるかもしれない。 また、読書は富裕層向けになるというけど、ディズニーランド1回分、飲み会1回分、ブランドのカバン1つ、洋服1着分で本が何冊買えるだろう。図書館や古本屋に行けばもっと安い。ただ異なる趣味にお金を使っているだけで、本を読む人が皆特別金持ちなわけではない。時間についてもそうだ。可処分時間を何に使うかというだけの話で、動画を見ているか、本を読んでいるかの違いに過ぎない。 長文を読むのが特別な力かというと、それはそうかもしれない。ただ、走るのが得意な人、絵を描くのが得意な人、色々いる。それだけの話だ。 そもそもZ世代など今時の若者の価値観は多様で一面的には捉えきれないという説もあるが、本書で書かれたようなものの見方をする人達がいることもまた事実なのだろう。本書を通して、そのことを知れたのは、とても良かったと思う。 いろいろと考えさせられる一冊だった。




夏の季語@natsunokigo2026年2月23日読み終わった「読書行為はラテン語化する」という指摘が面白かった。内容的には「異文化」を見せてくれる分刺激的ではあったが、引用の出典が孫引きで残念な部分もあった。















