その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

7件の記録
- ねむきち@ss04122025年7月23日読み終わったほんタメで何度か紹介を聞いていて、ずっと気になっていた。この度、Kindle Unlimitedに入っていたので読んだ。 仮説と反証の応酬に、自分の頭で考えると言うことを放棄して、鮮やかな推理合戦を純粋に楽しんだ。 推理の対象となる事件が重苦しいけどとても興味を惹かれるので最後までその興味が読了まで牽引してくれた。登場人物も個性的でよかった。作中キャラ皆頭が良くて、さまざまな個展が引用されていて、新しい表現を知っていけるのが楽しかった。 フーリンとリーシーの掛け合いが格調高くてでも可愛かった。探偵は悲惨な目に遭いすぎててもはや面白かった。 「老仏爺……我らが結んだ金蘭の契りをお忘れですか。私とあなたは唇亡歯寒。あなたあっての私、私あってのあなたでしょう。まだ鋭い牙をお持ちというのに、こんな辺境の島国で眠れる獅子を決め込まれてはたまりません。それは東の青竜を金魚鉢に、南の朱雀を鳥籠に飼うようなものでございましょう。 このリーシーの見立てでは、老仏爺の心弱りはすべてこの偵探先生に起因するもの。ならば今ここでその禍根を断ち、仮睡の虎を叩き起こしましょう。どうぞこの私が憎ければ存分にお恨みを。それが名刀の錆を落とす (砥石)となるなら、こちらも本望でございます──」 」 ▶︎表現がかっこよくて読んでるこっちも激アツな気持ちになった。 「「老仏爺。もしかしてこの男、前にロシア連邦保安庁の防諜部でケースオフィサーをしていたロシア人ではないですか? ほら、昔うちの麻薬ルートに介入した件で組織に拘束され、老仏爺の『歓迎』を受けた──」 ああ、とフーリンの脳裏に陰気な金髪ロシア男の顔が蘇る。そういえばこんな気色悪い雰囲気だったか。この女は性格はともかく記憶力は頼りになる。 「……確かに私はロシア語も話すしロシア人のように猫好きだが、ロシア人ではない……」 対不起(すみません)、と冷静な謝罪が入った。この女は存在自体が当てにならない。」 ▶︎冷静に失礼なフーリン視点の地の文が面白かった。
- 柴犬@storyseller2025年3月20日かつて読んだ🌀ミステリー読み漁りガールだった当時の私は衝撃を受けた。なんだこの、新しいミステリーは。ミステリーって普通、謎があって、それを一回解いてチャンチャン、という話じゃないのか。これは、奇蹟を証明するために、その他すべての可能性を潰していく物語だった。すげ〜